令和5年3月16日(木)『イチョウ五重奏団』(於:渋谷公園通りクラシックス)を聴いてきました
桜もちらほら咲き始めた3月16日(木)、「渋谷公園通りクラシックス」で開催された『イチョウ五重奏団』を聴きに行ってきました。
★イチョウ五重奏団メンバー
新澤健一郎さん(p)、太田朱美さん(fl)、谷口英治さん(cl,bcl)、帆足彩さん(vln)、橋本歩さん(vc)
【開場】19:00 【開演】19:30
この日は日本中がWBC(対イタリア戦)のテレビ中継に熱狂していて、さすがの渋谷も人出が少しは少なかったはずなのです。
…なのですが、JRの改札を出て渋谷スクランブルスクエアから外に出るまでの間、なんと三回も人にぶつかってしまいました(泣)
「ハチ公前交差点は何処?」と半分泣きそうになりながらお店を目指す私…。
コロナ禍の間にすっかり様変わりした渋谷の様子に驚きつつも、渋谷へはお芝居やインディーズバンドのLIVEをよく観に来ていたのである程度は土地勘があったはずなのに。
気を取り直して会場の入っている建物の山手教会を目指します。人波をどうにかこうにかかいくぐりながら渋谷西武百貨店の横を歩き、ほどなくすると教会が見えてきました。
ほらね、さすがに迷わずたどり着いたよ、よかったねー、と安心したのもつかの間、今度は会場の入口が見当たりません…Oh, my God(*_*)!
慌ててお店のホームページを再度確認↓
「東京山手教会、地下駐車場入口の地下へのスロープを下り、奥のつきあたり、右側にある赤いドアが当店の入り口です」
場所は確かに合っています。
目の前に山手教会の建物があり、駐車場の入口に「公園通りクラシックス」と書かれた看板もかかっているのです。
しかーし、駐車場へと続く坂道しかなく、どこにもお店の入口らしきものがありません。山手教会の建物入口の方にも回ってみたのですがエレベーターは上の階にしか行かないし…
もしや、これはこの駐車場を下りてゆけ、ということなのか?
恐る恐る駐車場を下り、下りきった場所にたどり着き右を向くとお客様らしき方がおふたり赤いドアの前で待っていらっしゃいました。ああ、よかった。たどり着けた…
たしかにホームページに記載されている通りの道順なのですが、これはさすがにわかりにくい。次にいらっしゃる方のため、私の身体半分が地上から見える様に立って列に並びました。
数分後、案の定、不安そうな顔をした女性が下りてきて「今日、演奏があるのはここでいいのかしら?」と話しかけてきました。
私「ちょっとわかりづらかったですよね。まだ開場前なので開いてませんがココで大丈夫ですよ」
あまりにもテンパっていたので店舗外観撮影し忘れてます。ごめんなさい。
★当日演奏を聴きにいらしていた坂上領さんのTwitterにお店外観の写真が上がっています↓
○坂上領さんの感想ツイート
https://twitter.com/gamirs/status/1636358136524333056?t=vbTwNstagBcdCH5tmdNmXQ&s=19
『サンダーバード』に出てくるミンミン(トレーシー家の執事の娘。アランと恋仲。ブレインズの助手として整備に携わることもある素敵なキャラクター)に似た、意志の強そうな、それでいてチャーミングな女性(以下、ミンミンさんと表記)は、この後、矢継ぎ早に私に質問を投げかけてきました。
ミ「今日はどんな曲を演奏するのかしら?」
私「さぁ。ピアニストの新澤さんはじめ、みなさん幅広いレパートリーをお持ちですし、かなり変わった編成なのでとても楽しみですね」
ミ「(あなた)何か楽器やってらっしゃるの?」
私「へ?楽器ですか?」
(思いも寄らぬ質問にビックリ)
私「親が九州に転勤になる中1の夏休みまでピアノは習ってました。あとはギターかな。『禁じられた遊び』とフォークソングのコードぐらいしか弾けないですけど(^-^;)」
ミ「まあ!じゃ、どうやって今回のこの演奏会、お知りになったの?どなたかのお知りあい?」
私「いえいえ。Twitter見て来ました。ピアノの新澤さんやバイオリンの帆足さんの一ファンなだけですよ」
ここから彼女とはいろんな話をすることになるのですが、会話を交わすうち、彼女は本日ご出演の谷口英治さん(クラリネット)の生徒さんであるということ、そして今回のような様々なジャンルの曲が演奏されるクロスオーバー的な演奏会はどうやら初めてらしいということが朧気ながらわかってきました。
本日ご出演のみなさんは、ソロでのご活動のほか、複数のユニットにもご参加になってご活躍中の方ばかりなので、様々な経路から聴きにいらしているだろうなぁ、とは予め思ってはいたのですが、今までLIVE会場では出会わなかったタイプの彼女。彼女とはこの後も新鮮な会話が続きました。
初対面とは思えないスピードでいろいろな話をするうちに開場。お店の中に入ると、そこは駐車場の形状をうまく利用した音の響きの良さそうな空間が広がっていました。
私はピアノの新澤さん側(ステージ向かって左)の前から二列目に着席。ミンミンさんは、クラリネットがよく見える同じ列の中央あたりに着席。
ミュージックチャージのほか1ドリンクオーダーが必要だったので、辛口のジンジャーエールを注文。
ジンジャーエールは甘口と辛口の2種類。
辛口はめちゃめちゃ生姜感が強くて、なかなかの飲み応え。氷が溶けるにつれ濃さも変わり、味の変化も楽しめました。美味しかった(^-^)
開演まで少し時間があったのですが、ミンミンさんが心細そうな様子で「ねぇ、隣に座ってもいいかしら?いつもは顔見知りがいるけど、今日はひとりだからなんだか寂しくて」
「私でよければどうぞ」
私はLIVEへ大抵ひとりで出かけてしまうのであまり気にしたことはないのですが、初めての箱だったり演奏者さんだったりする場合、心細く感じることもあるのでなんとなく彼女の気持ちもわかります。
ふたりで横並びになりながら、ステージに並んでいる楽器を眺めます。
ステージ向かって左から
フルートとピッコロ、それにアルトフルートが!その横にはクラリネットと並んで、なんとバスクラリネットが!!映像では何度も拝見していますが生で観る(聴く)のは初めてかも。
そしてチェロ、一番右はバイオリンの席。
ピアノはフルートとクラリネットの席の後ろあたりにありました。
なんという贅沢な編成でしょう!
管楽器が5本も並んでいるんですよ。
しかもベースやドラムといったリズム隊がないのです。どんな音が鳴るのかワクワクドキドキしてきました。
ほどなくして開演。
1stステージ一曲目は、ジャコ・パストリアスの『Liberty City』。お馴染みの軽快な調べが流れてきました。
リズム隊のない編成なんですけど、新澤さんのピアノだったり、橋本さんのチェロだったり、それぞれの楽器から心地よいリズムが身体にトントンと届いて気持ちよくスイング♪
谷口さんのクラリネットも彩さんのバイオリンも艶々響いてとっても気持ちよさそう!
太田さんのフルートは小鳥のさえずりのようにかわいらしいし、橋本さんのチェロは全体をふわっとやさしく包んでくれて。
新澤さんのピアノは、ソロで演奏なさる時とはまたちがう楽しさで、どちらかというとパキッとした歯切れのよさが際立ってる感じでしょうか。ピアノの音に捕まりながら私もすぐにスイングしてました(^-^)
そして、全部の楽器がわっと合わさる時の爽快感、重厚感!とてもとても心地よかったです。
2曲目は、谷口英治さんのオリジナル曲『恋とリードは振り回されるくらいがいい 』。
様々なスタンダードのモチーフも感じられる楽しい曲。春風みたいな曲を聴きながら『のだめカンタービレ』のオーボエの黒木くんのことを思い出していました。リード使う楽器って大変なんですね。MCも楽しかったです。
パット・メセニーの『James』やデューク・エリントンの『Mood Indigo』といった曲に続き、太田朱美さんのオリジナル曲『樹の詩』が演奏されたのですが、この曲のチェロ、うまく言葉に出来ないのですがとてもとても素晴らしかった!
厳かなチェロの独奏から始まり、他の楽器が合わさってゆきます。大地にしっかり根を張り大きな枝を伸ばした木の姿がそこにありました。
太田さんのアルトフルートのふくよかな柔らかな響きも心地よく、弦の橋本さん、帆足さんのおふたりの音は風に揺れる葉音のようでもあり、谷口さんのクラリネットは木陰に憩う人の想いのようでもあり。
演奏の素晴らしさに圧倒されて、音が鳴り止んだとたん、私もミンミンさんも思わず顔を合わせて「スゴイ!」と叫んでいました。
音の響き方がとても豊かな箱だったということもあると思うのですが、祈りをささげる場所柄もあったのでしょうか。たくさんの想い、記憶が大きな木に集まり静かに佇んでいる、そんな景色が見えてとてもとても美しかったです。
新澤さんのオリジナル曲『イチョウ並木』で1stステージが終了。
休憩に入るのを待ちかねていたかのようにミンミンさんが「衝撃だわ!こういう感じの演奏会、私はじめてなの!」と興奮覚めやらぬ感じで感想を伝えてくれました。
私もあれこれ感じたことをお伝えして話に花が咲いていた時、客席のみんなに声をかけに来てくださった新澤さんが近くにいらっしゃって。いつもながらのあたたかくやわらかな素敵な笑顔で話しかけてくださいました。
拙い感想をお伝えし、ミンミンさんのこともご紹介したところ「えー、偶然のすごい繋がりなんだね」とひとこと。
ん?
あ、もしかしてそもそも友達だった2人が、片や谷口さん、片や新澤さんつながりでここに来た、と理解してくださってる?
「いえいえ、私たち今日はじめてここで会ったんですよー」「えー?!」
ですよねー。
この馴染み方だと傍目にはそう映りますよね。本人たちもビックリしてるんですから(笑)これもまた音楽のチカラ、でしょうか。素敵な音を共にわかちあうと一瞬にして垣根がなくなるものかもしれません。
2ndステージは、新澤さんアレンジ・ドビッシーの『月の光』 からスタート。
新澤さんのソロピアノで何度も聴いている曲なのですが、この編成で聴くとまた新たな美しさが。
この編成バージョンで初演奏の
『The First Quarter Moon Meets Jupiter』(上弦の月と木星)は、ソロピアノバージョンよりもスペースオペラ的な広がりが感じられて楽しめました。
また、エグベルト・ジスモンチさんの『7 Anéis』の演奏前には、ジスモンチさんから届いたばかりの音声メッセージも聴かせていただけて感動しました。
2ndステージ最後の曲『Quiet Leaves』が終わると鳴り止まない拍手はすぐにアンコールの拍手へと変わりました。
武満徹さんの『翼』を演奏してくださったのですが、後半はメンバー全員による合唱も。
坂上さんもTwitterにお書きになられていましたが、愛に満ち溢れた美しい演奏でした。
演奏が終わっても拍手は鳴り止まず再びアンコールの拍手が。
ダブルアンコールには、遅れて会場入りしたお客様もいらっしゃったこともあり、一曲目の『Liberty City』を演奏してくださいました。
同じ曲を2回聴かせていただいたのですが、どちらの演奏も素晴らしかったです!
終演後、物販コーナーに並んでいたCDを買いたくて、帆足さんにお声がけしてチャランガぽよぽよの1stアルバムをゲット(^o^)
彩さんがサインしてくださったうえに、客席後方でひそかに演奏を聴いていらした坂上領さんにもサインしていただけてうれしかったです。
で、私がサインをいただいている間、なんとミンミンさんが待っていてくださったのです。ふたりで一緒に渋谷駅まで感想をたくさん言い合いながら歩きました。
ミ「この次はいつかしらね?」
私「秋くらいには聴けるといいですね」
私「その前に、谷口さんのジャズ演奏や他のメンバーの皆さんのLIVEにも行きたいなあ」
ミ「そうそう!次は先生の演奏会でまたお会いしましょう!絶対聴きに来て!」
私「ジャズをちゃんと聴き直し始めてるところなのでぜひ」
ミ「絶対よ!約束ね!」
渋谷駅で別れながら、ミンミンさんは何度も力強く「絶対ね」を繰り返しながら手を振ってくれました。
お互いの名前も聞かず、“約束''といってもいつ会えるかもわからない。
でもこういう約束の仕方、嫌いじゃありません。彼女にはきっとまた会えることと思います。
美しい音の記憶、そして楽しいひとときを共に分かち合うことのできたぬくもりを感じながら、渋谷駅の雑踏へと急ぎました。
イチョウ五重奏団の音がいつでも聴けるようにCD出たらうれしいなあ。
次回が待ち遠しいです。
★新澤さんのライブ振りかえりブログ
https://kenichiroshinzawa.hatenablog.com/entry/2023/03/17/002412
★追記
https://note.com/kshinzawa/n/nb40c9e44030e
○2022年10月17日
中目黒『楽屋』でのイチョウ五重奏団の演奏
https://www.youtube.com/live/98nqb1PciaU?feature=share
★新澤健一郎さん
https://lit.link/kshinzawa
★太田朱美さん
https://ohakemi454.wixsite.com/mysite
★谷口英治さん
https://taniguchi-eiji.com/
★帆足彩さんTwitter
https://twitter.com/ayamusi82
★橋本歩さん
https://www.ayumi-daga.com/
★渋谷公園通りクラッシックス
http://koendoriclassics.com/
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