別れの予感

7年ほど付き合ったり別れたりを繰り返した元カレが私にはいる。
最後の別れはドラマのように爽やかでかっこよかった。というか、私がかっこつけた雰囲気で別れたって感じかな(笑)。

元カレは元カノコレクションか!というぐらい、歴代の彼女とSNSで繋がっている。ワガママなほど寂しがりやだから常に誰かと繋がっていたいんだろう。別れたのに意味不明だけどね。

彼から「俺、結婚したんだ」と連絡があったのは入籍翌日のこと。
驚いたけど「そうなんだ。おめでとう」と言って、なぜか新宿のカフェでコーヒーをご馳走した。その当時、私はまだ独身で恋人もいなかったけれど、わざわざ私に連絡してくる自体が彼の中でも私はより特別な存在だったのだろうと思う。

時を経て私は結婚し、彼には子どもが生まれた。
なんと私の子と誕生日が2日しか違わない。
彼は子どもの様子を時折SNSであげているんだけど、彼の子の成長を見るにつけ、付き合っていた頃に彼がふと言葉にしたある日の夕方を思い出す。


「俺にもいつかドーナツ好きな女の子ができるのかもな」。


ドーナツは私の好物だ。
その時、心が切なく揺れた。
それは、彼が私との将来を考えていることが嬉しかったし、その未来が訪れることはないとわかっていたから。

私と彼の関係はお互いの伴侶のそれとは別物だ。
互いの妻や夫が理解できない深みがある。良縁かもしれないし腐れ縁かもしれない。
それがわかっているからこそ、私は夫をたいせつにしようと思う。
あの人を深く愛し、傷つき、傷つけ、激しい恋愛をしたことは間違いない。だけどそれは永遠を共にする内容ではなかったんだとわかっている。
だからこそ激しく燃えられたのかもしれない。
夫との毎日は平坦で時にあくびが出るほどぬるま湯だけれど、結婚生活はこれで良い。

夫は元カレのように完璧ではない。でも、私はその生活におおむね満足している(時々腹が立つけれども!)。
私は幸せだしこれからもそうだろう。
あの人もそうであってほしい。

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