中野四葉のこれまでの心情を推測

本稿は週刊少年マガジンで連載中の漫画「五等分の花嫁」の登場人物、中野四葉に対しての考察である。
作中のネタバレが多々含まれており、最新話である86話をまだ読んでいないのであれば、読むことは強く推奨しない。

86話「シスターズウォー エキジビションマッチ」にて作中の大きな謎、主人公の風太郎が過去に京都で会った女の子の正体が中野四葉であることが明らかになった。

以下は四葉の心情を筆者なりに推測したものとなる。なお、筆者は四葉推しであるが、できるだけ論理的に考えるよう努めた。しかし、都合の良い解釈と感じられた場合や間違いなどがあれば是非ご指摘いただければと思う。

これまでの四葉の心情の変遷を推測

まず登場する1話。この時点で四葉は風太郎が過去に京都で会った男の子であると気づいていそうだ。

序盤は風太郎に抵抗する姉妹達の中で唯一協力的なキャラクターであり、続く林間学校編でも風太郎に良い思い出を残すために頑張ると風太郎への好意は序盤からしっからと描かれていてる。

そして21話「おまじない」
四葉の「好きだから」からの「嘘」のコンボが炸裂するこの回。四葉をこの回で好きになった読者も多いだろう。
単純にからかっていたとも、本気だったとも取れるような描写だったが、四葉が京都の女の子であると確定した以上、やはり好意は嘘で無かったのだろう。

では何故「嘘」にしてしまったのか、そこを読みとく鍵は3話での風太郎の発言だろう。
「恋とは学業から最もかけ離れた愚かな行為」。
四葉は風太郎のこの発言をしっかりと気にしているようで、後の72話でも言及されている。
恋愛に興味のない風太郎に告白をしてもOKはもらえない。だから嘘にする必要があった。少し差異はあるが後の二乃と三玖と似たパターンではないだろうか。

そして36,37話「勤労感謝ツアー」
四葉と風太郎のデート回。四葉の姉妹に対して利他的な点の過剰性が初めて作中で示される回でもある。
風太郎は勤労感謝の日として四葉に感謝の贈り物を送ろうとするが、四葉は頑なにこれをスルーし続ける。これは風太郎が借りを返せば帰ってしまうことがわかっているから風太郎とのデートを長引かせようとしていたのだろう。
四葉はこの回では
「デートですよデート」
「(ペアルック)やっちゃいます?」
と積極的に風太郎にアピールをする。
また風太郎の心からの笑顔を見て、「欲しいものはもうもらいました」と好意が順調に育っているように見える。

しかし、順調に行っていた四葉と風太郎の関係に二つの転機が訪れる。
一つ目が41話「7つのさよなら③」である。
深夜に公演で話す風太郎と五月、二人の話を盗み聞きしていた存在が示唆され、未だ作中で明確に描写されていないがこれこそ四葉であると思われる。
ここで四葉が知るのが、過去の自分が風太郎へ与えた影響だ。
「いつか誰かに必要とされる人間になる」そのために風太郎は勉学に励んでいた。いつか誰かに必要とされる人間になるためにと。
しかし四葉はこれを受け入れられない。かつて風太郎に語った「私がみんなのお手本になる」どころか足を引っ張り、前の学校から転校させてしまったのだから。
四葉はここから、風太郎の思い出の中の過去の自分と現在の自分のギャップに苦しむことになる。

そして、二つ目。姉妹達からの風太郎への好意だ。
最初こそ他の四人の風太郎への好感度はほぼ0に等しかった。
だが、姉の三玖、一花、二乃は明確な恋慕を風太郎に抱き始め、妹の五月も風太郎を友人として認め始めている。
四葉がいつそれに気づいたか、明確な描写は無いが、51話 「初の春」では風太郎の頬のクリームを舐めた時に殺気を感じているし、次第に気づき始めてはいただろう。
ここでまたしても四葉を縛るのが、前の学校からの転校だ。
81話「シスターズウォー 四回戦」での四葉の台詞「姉妹の皆が私より幸せになるのは当然です」
四葉は自分が姉妹よりも幸せになることを許せないのだ。無論他の姉妹を差し置いて、風太郎との交際などできるはずもない。

以上二点が四葉のターニングポイントとなる。

ここから四葉の風太郎へのアピールはぐっと少なくなる。

56話 「最後の試験が四葉の場合」は作中で初めて前述した転校の原因が四葉であることが明かされる。
ここでも風太郎が四葉を助け、また四葉の恋慕は深まってしまったように見える。

そして66話「スクランブルエッグ⑥」ここでは一花の応援を始める。この時点で既に一花の風太郎への好意は気づいているようだった。
論拠は85話 「シスターズウォー 七回戦(裏)」の四葉の「いつも消極的になってる子を応援してたのかも」「こうなるって少し考えたらわかるはずなのに…」という言葉だ。
この後からは消極的な三玖の応援をしている。三玖がもっとも消極的だったからだろう。

そして問題の72話「学級長の噂」
クラスメートからの付き合っているのかという質問や「上杉くんの方は満更でもないかもよ」という言葉に明らかに四葉はわずかな可能性を感じたのだろう。
だからこそ四葉はそれを拒否するように風太郎と別々に荷物を運ぼうとしたり、五月に代わりを頼もうとする。四葉にとって風太郎の好意は自分ではなく、他の姉妹に与えられるべきものなのだから。
そして放課後の教室、風太郎と二人きりの四葉はついに「私は上杉さんが嫌いです」と言い出し、風太郎に真意を問い詰められる。
ここでの風太郎の言葉が非常に重要だ。その点は以下の二つ。
・四葉と風太郎が恋人はありえない
・以前は完全に否定していた恋に幾分か肯定的になっている
奇しくもこれは四葉の願い通りだ。風太郎から四葉への恋慕はありえなく、それでいて恋愛に対しては肯定的な態度に変わっている。姉妹が風太郎と結ばれる可能性は以前より高まっている。
だから四葉は風太郎の前では笑顔でそれを「一歩前進です」と喜ぶのだ。
だが、勿論心の底から嬉しいはずがない。
過去の自分である京都の女の子は風太郎の中に強く残り続けているのに、現在の自分は風太郎にとって恋愛の対象としてありえないのだ。
またしてもギャップに苦しめられて、その上で出た言葉があの表情での「ありえません」ではないだろうか。

四葉の風太郎への思いは現在(86話時点)でも変わっていないように思える。
シスターズウォーでは全員が幸せになるということの難しさを五つ子のいさかいから知ったものの、86話の最後に改めて「これでいいんだよ」と発言し、決して風太郎に自分が京都の女の子と明かすつもりはないようだ。

まとめ

・四葉が風太郎に正体を明かせないのは思い出の京都の女の子と現在の自分にギャップを感じているため。
・四葉は風太郎が好きだが、決してその恋が実ってはいけない(姉妹よりも幸せになってはいけない)と考えている

作中では既に四葉の異常なまでの利他的な点が風太郎から指摘されており、妹の五月も四葉の行動に疑問を呈している。来週以降の話ではきっと四葉のその点に関してより言及がなされるであろう。

筆者としては四葉が花嫁になれずとも(無論花嫁になってほしいが)幸せになれることをただ祈るばかりである。

以上、拙い文を最後まで読んでいただきありがとうございました。来週を楽しみに待ちましょう。

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