12週の壁を超えろ

「有吉の壁」大好き。
あれは有吉さんが基準とする笑いの壁を超えられるか否か!を芸人たちが○×の判定をかけて競ってる。
壁って、ひとつのハードルとなる基準値みたいなものを表現するときに使うよね。

階段でいうと、まだまだ上らなきゃいけないけど、
転がり落ちることもなく少し休憩できるかな、みたいな。
あの階段の踊り場に到達したときの心境に近い。

12週のなにが壁なのか。
結論から言うと、妊娠は15%の確率で流産を起こす。
その9割が12週までに起こるんだって。
みんな知ってた?

私は、ざんねん!まったくもって知らなかったよ!
初期で15%も流産するの?こっわ!知らねー!!

エロいことはほっといても知るけど、
「女性だけが知ってればいい」みたいな情報って自分から手に入れにいかないと分からない。
しかも妊娠出産って神聖視されすぎててタブーみたいになってない?
望まぬ妊娠を防ぐ!は家庭科で勉強したけど、子供が欲しくてもできないひとがいまや5組に1組!とか、不妊治療に300万!とか35歳までの出産以降は障がいのリスクが上がる!なんてぶっちゃけ習っていない。芸能人とか40代でも出産してるやんけ。
そっち教えた方がよいのにしないのはなぜ?日本人の出生率を下げたい誰かの陰謀?
望まぬ妊娠について言及するのも同じくらいセンシティブな問題だろがい!
ここがヘンだよ、日本の性教育。

その日本教育のタマモノ、私。
本屋さんに並んでる「早く赤ちゃんが欲しい!」とか「そろそろかな?って思ったら読む本」とか「たま○よ」なんぞ、
この世でいちばん買うのが恥ずかしい本に分類される。やったな日本教育、刷り込み大成功やぞ。
「正直言ってエロ本買う方がまだマシ!!」と叫んでたら夫がドン引きしてた。

これは私が苦肉の策で生み出した方法だが、ブックオフとかで中古品なら、それらの本を買うハードルはかなり下がる。
小説3冊くらいと、昨年発刊くらいのたまひよを持ってレジに並ぼう。
たまひよの新書を1冊買う予算の中で、たまひよとさらにカモフラ本を3冊も用意できるぞ!やったね!経済的!
ちなみに掲載されている情報は、最新とそう変わらない。
付録いらない派の私には、十分だ。


っていうか妊娠について調べ始めたら怖いことばかり出てくる。
流産するのは初期だけではない。後期流産も存在する。
15週以降の安定期というのは「あくまでつわりが落ち着く人もいるよ」ってだけ。
つわりが落ち着かない人もいる。
そのころだって流産の数字が少ないってだけで可能性はあり続ける。
出産しても死産の可能性もあるし、生まれても五体満足かどうかなんてだれも保証してくれない。
仮に五体満足で産まれたとしてもまともに育つかわからないし、非行に走ったらどうやって止めるの?
こちらが円満でも、湊かなえ作「夜行観覧車」よろしく、隣人とのトラブルで家庭内不和だって起こり得る。一家離散、路頭に迷ったらどうしよう!

考えだしたらキリがなくて不眠必至、ってことでこのあたりから思考を強制シャットダウンした。

とにかく流産は、防ぎようがないもの。
「育つ量のエネルギーをもってこなかった」胎児側の問題。それは事実。

でも、ネット検索魔になった妊婦はたくさんの不安を感じるのよ。
なのによく知りもしないで、「わー楽しみ!いつ周りに言おう!親には?職場には?友達には??性別はいつわかるの~!?」なんて頭がお花畑のハイテンション夫が身近にいたらどうしよう。
「ちょ、ちょっと待って。まだまだ、いろいろ、今後のことなんてなんにも分からないから!!!」と叫びたくなるに違いない。

例えるなら友人と入った喫茶店で、隣に座った前澤友作氏に
「きみの話、たまたま聞こえてたんだけど、面白いね」と去り際に言われたと、仮定する。
それだけならいいのに、どこから聞きつけたか、
自社の社長から昼休みに呼び出され、「前澤友作氏と友達なんだって?うちへの融資を口利きしてよ」と恐喝まがいの依頼を受けるような、そんな気分を類似してる。

前澤氏に声をかけられたのはたまたまだし、
何が面白いと思って声をかけてくれたかこちらにはわからない。
卵子と精子の気まぐれな動向も、それくらい私にはわからない。腸内フローラの動向がわかる男性だけ、当たり前のように聞くのを許してあげる。
社長さんよ、そんな偶然の産物をアテにするな。私に期待するな。
ついでに言えばお前は社長じゃない。前澤氏ですらない。
君は喫茶店で、向かいで話を聞いてた友人だ。夫だ。
私が前澤氏に話しかけられたところ、見てたろ。
ならば経緯を整理し、社長に説明して、
私を気まずい空間から救助するべきだ。

あくまで例えだから、前澤氏が行くような喫茶店は知らねぇ。

しかし調べれば調べるほど不安になるのだ。
禅問答のような、「流産しちゃったらどうしよう」を聞かされた時の対処法を考えよう。
いちばんやっちゃいけないのは
不安を伝えられた夫側が、「胎児側の問題だから防ぎようがないらしいよ。気にしても仕方ないんだから」とか訳知り顔で諭そうなんてしないように。
お前は、己の腹の中で生きていた人間がこれまた己の腹の中で死ぬ恐怖を、1ミリでも感じたことあるのか?
釈迦がうまい物をたらふく食い、美女たちを侍らかしまくってた王子時代に説法を開始したとして、庶民のだれかその話を聞くか?彼は恵まれた環境から身を窶し、飢餓し、苦悩し、悟りを啓いたから説得力が出たのだよ。

経験したことがある、もしくは体を入れ替える黒魔術を実行しない限り、お前の発言に説得力はない。
釈迦じゃないなら、諭すべきではない。

話しが世界三大宗教の一つにまで及んだが今回の記事の本旨はこれだ。
12週検診終えてきたよ。
順調だった。

カレンダーアプリでスケジュールを共有しているから夫も知ってるはずなのに「妊婦検診どうだった?」みたいなの聞いてくれないから
興味ないみたいで寂しいなー。なんて前回の検診でも思っていた。

今回も聞かれなかったら報告しないでやろうかな!なんて思っていたけど、
夫帰宅後、顔を合わせて2分で「妊婦検診どうだった?って聞いて!」と
クソデカボイスで訴えてた。

「きみの話、たまたま聞こえてたんだけど、面白いね」と去り際に言った前澤氏、
実は京都的言い回しの達人で、「声量バグってる、喫茶店全体に君の声が響いてたよ」と大人として諭してくれていただけかもしれない。

大人らしく諭してくれるひとの意見は素直に聞いた方がいい。
多分、「うるせー」の一言で済む話を、わざわざオブラートに包んで相手のために言葉を選べるひとは、釈迦並みの徳を積んだ人に違いないから。

私は釈迦にも前澤氏にも会ったことがないが、
喫茶店でトイメンで話しを聞いてくれる夫のことは好きだ。

溝が生まれないように、声量を調整しながら今後も大切に過ごしたい。


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