見出し画像

シャンテン数の数え方

大したことではないんですが、先日、シャンテン数の仕組みがどうしても気になり、居ても立ってもいられなくなったので、一念発起して調べてしまいました。

自慢になるのかわかりませんが、私はこれまで3シャンテン以上のシャンテン数を真面目に数えようとしたことがありません(~シャンテン以上というのは、~が増えてアガリから遠くなることを指します)。

知ったところで「なんかいいことあるんだろうか」以外の感想が出てこないからです。

「数えないのになんで3シャンテン以上かどうかがわかるんだ」というツッコミが来るかもしれませんが、麻雀をそれなりに打ったり、何切るを作ったりしてれば、見た瞬間に2シャンテンまではわかるようになるんじゃないかと思います。3シャンテンはそれより遠いかどうかで判断しているようです。それで充分でしょう。

わからないというよりわかりたくないというか、不要なことに脳のリソースを割きたくないのです。

これは過去に何も考えず、正面からシャンテン数を数えようとして撃沈した経験から来ていると思っています。一旦消耗すると向こう十年は数える気が起きなくなります。このたび十年ぶりに数える気が起きたわけですね。

いつまでもわからないのも癪は癪なので、やる気のあるうちに少し腰を落ち着けて考えてみることにしました。

ゆっくり考えたら案外簡単なことだったので、ここにまとめておくことにしました。これはその記録です。

シャンテン数とは何か

「シャンテン数」というのは

「テンパイまであと何手かかるか」

を表す数です。テンパイが0シャンテンです。

例えば、「2」シャンテンなら、有効牌と不要牌を「2」回入れ替えればテンパイという意味です。

ただ、これを数えるには、以下の3種類の区別が必要です。

①「メンツ手」(4メンツ1ヘッド形)
②「チートイツ」
③「国士無双」

です。①が普通の形、②と③が普通じゃない形(変則手と呼ぶ)。形が違うので場合分けが必要になります。

手牌のシャンテン数とは、この3種類で一番値の小さいシャンテン数です。

例えば手牌が、メンツ手7シャンテン、チートイツ5シャンテン、国士7シャンテンなら、その手は5シャンテンという感じです。

ちなみに変則手を含んだシャンテン数を「標準形」、メンツ手のみのシャンテン数を「一般形」というようです。天鳳の牌理ではそう出てきます。

覚える必要は全くないんですが、謎の紛らわしさに笑ってしまいました。

問題となるのはメンツ手のシャンテン数なので、まずこれを考えます。変則手は後述します。

                                まとめ
シャンテン数は3種類の数え方があって、一番値の小さいシャンテン数をその手牌のシャンテン数という

①メンツ手のシャンテン数

まずは数え方のルールです。

ルール

★1 ブロックの定義
 ここではそれぞれ、メンツ(例 789m)、トイツ(例 西西)、ターツ(例 13m)、複合トイツ(例 557p)、リャンカン(例 468s)をブロックと呼びます。槓子はトイツ×2ではなく、暗刻+1で数えます。

★2 ブロックのカウント最大数
 ブロックは最大5つまでカウントできる(6ブロックでも5ブロックになる)。

★3 重複使用の不可
 抜き出した牌は重複して使えない。例えばリャンカン(357s)は「塔子(35s)+フォロー牌(7s)」とみて1ブロックと数える。

★4 各ブロック間の優劣
 ブロックが6個あるときは、メンツ>トイツ(複合ターツ)>ターツ(リャンカン)の順に数える。

例えば、

画像1

この牌姿は6ブロック(23m、789m、34p、79p、13s、78s)ですが、ルール★2よりブロックは5つまでしか数えません。

また、ルール★4より、数えるブロックは

メンツ(789m)>トイツ(33s)>その他のターツ(23m、34p、79p、78s。ターツ内は順不同)

の順に数えるので、メンツは含まれます。

                                 まとめ

ブロックは最大5つまでカウントできる

シャンテン数の数え方

手牌向かって左側から、

① ブロックの個数を数える
② メンツの個数を足す
③ 合計を8から引く

※例外 「5ブロック0トイツ」の場合、1を引く。

やるのはこの3ステップです。例で説明します。

なお、牌姿からは全て西を切ったときのシャンテン数を計算します。

例題1

画像2

1(13m) 
1(789m)
1(357p)
1(113s)

の計4ブロックです。

次にメンツの個数を足します。

メンツは789mの1メンツ。なので1です。

これらを合計します。4ブロック1メンツなので、合計は5です。

この合計の5を8から引きます。

8−5=3

この8から引いて出た数がシャンテン数です。

なので、この手は3シャンテンです。基本はただこれだけです。

例題2

画像3

今度は少し省略して書きます。

1(13m) 
1(79m)
2(34567p)+1
1(113s)

向かって左列の数字がブロック数、右の+1がメンツの個数です。

この手は5ブロック1メンツの計6。これを8から引きます。

8−6=2

なので2シャンテンです。

34567pのところ、慣れてないと止まってしまうかもしれませんが、「大体2ブロックだろ」くらいでOKです。

345p+67p
でも34p+567pでも2ブロックです(どちらの分け方でも1メンツできるので1を足すのを忘れないよう)。

例題3(5ブロック0ヘッド形)

画像4

この牌姿は、

「向かって左から13mで1、79mで1、34567pで2、13sで1の計5に、メンツ1個で計6。この6を8から引くから2シャンテン」

となるように見えます。見えるんですが違います。

何が違うのかと言うと、

「ヘッドの有無」

です。この手にはヘッドになりうるトイツがありません。

メンツ手の和了形に必要なのはあくまで「4メンツ1ヘッド」なので、5ブロックが揃っていても、ヘッドになりうるブロックがないと条件を満たしません。

なので、

「5ブロック0ヘッド」の形は4ブロックまでしかカウントできません。

ブロックをバーっと数えたあと修正が必要になる例外です。

ですから、4ブロック1メンツで計5。これを8から引いて、正しくは3シャンテンです。

ちなみに、「メンツが暗刻ならトイツの代わりになるのでは?」と疑問を持たれる方もいるかもしれません。

たしかにそれはその通りですが、その場合はそのメンツは暗刻としてではなくヘッドとしてカウントするためメンツ分の+1が消えます(その代わり0トイツ分のー1も消えます)。

ルール★3により、メンツとヘッドの重複使用は不可です。

1(13m) 
1(79m)
2(34567p)+1
1(13s)
※5ブロックだが0ヘッド −1

8−(5ブロック+1メンツ−1〔5ブロック0ヘッド〕)=3

3シャンテン

例題4(6ブロック)

画像5

この形は6ブロックです。

(1)6ブロックでもカウントできるのは「5ブロック」までです(ルール★2)。ブロック数は5です。

(2)また、ルール★4より、メンツ>トイツ>その他ターツの順に数えるため、メンツ分のを足します。5+1=6。

(3)さらに「5ブロック0トイツ形」です。

なので(1)で5ブロックとしましたが修正が必要です。

トイツがない(ヘッド候補がない)ため、4ブロックまで(4メンツ1ヘッドの4メンツ部分まで)しかカウントできません。

そのため合計から1を引きます。6-1=5で合計5です。

この合計5を8から引くと、この手は3シャンテンです。

2(34567p)+1
1(13m) 
1(79m)
1(13s)
※5ブロックだが0ヘッド −1

8-(5-1+1)=3

結論は3シャンテンになります。

以上です。再度まとめておきます。

数え方は手牌の向かって左端から、

① ブロックの個数を数える
② メンツの個数を足す
③ 合計を8から引く

※例外 「5ブロック0トイツ」の場合、1を引く。

ちなみに天鳳位のタケオしゃんも同じ方法を以前に発見してました。


練習問題

以下の牌姿から西を切った時点での、メンツ手のシャンテン数を求めてください。

問1

画像6


問2

画像7


問3

画像8


問4

画像9


問5

画像10


問6

画像11


問7

画像12


問8

画像13


問9

画像14


問10

画像15


問11

画像16

問12 出る9s。チー打西。前後の比較(牌姿借りました)

画像20

問13 出る3s。ポン打9m。前後、喰いタンで比較(牌姿借りました)

画像21

問14 出る8s。ポン打白。前後、喰いタンで比較(牌姿借りました)

画像22

②チートイツのシャンテン数

チートイツのシャンテン数は「テンパイまであと何個トイツが必要か」というだけの話で、原則、手の内のトイツの数を6から引けばシャンテン数が出ます

なぜ6なのかというと、チートイツは7個トイツを作れば和了なので、6トイツでテンパイだからです(シャンテン数はテンパイで0になります)。

ただ例外があって、手の内が槓子3つとトイツ1つというような、孤立牌自体が不足するケースは除きます。そういう手はカンしてあがりにいきましょう。

ちなみに実戦的には、「4トイツあればチートイツ2シャンテン」であることを理解していればそれで良いと思います。手の内にトイツが4つあったら最低でもその手は2シャンテンなのです。

槓子のケースは以下のサイトから学びました。

                                まとめ

チートイツは、「6-トイツの数=シャンテン数」

③国士無双のシャンテン数

国士無双のシャンテン数は、手の内の一九字牌の種数を13から引くんですが、国士にはヘッドが1つ必要なので、1種だけは重複があってもシャンテンが1つ進みます。

例えば、9種11牌なら13−9種=4なので、「4シャンテン」と答えたくなるところですが、1種はヘッドに使えるので13−9−1=3で正解は「3シャンテン」になります。

これも実戦ではほとんど使わない知識でしょう。実際、国士やってる最中は、あれとあれがないとかきちんと把握しているはずだし、シャンテン数をぱっと出す必要があるとしたら鉄竜さんくらいしか浮かびません。

ちなみに国士13面待ちの形は、変則手込みだと0シャンテン(国士テンパイ)ですが、メンツ手のみのシャンテン数は8シャンテンになります。

また、例えば「東ヘッドの1m待ちの国士テンパイ形」から、東をポンして何か1枚切ると、手牌は0シャンテン(=テンパイ)から6シャンテンになります(東明刻のみ1ブロック1メンツなので、8-1+1=6)。

考え得る中で最悪の副露なのではないかと思います。

                               まとめ

国士無双は、「13-(一九字牌の種数)ーヘッド1種=シャンテン数」

Q&A

Q1 なぜ出てきた数字を8から引くのですか?

A1
 メンツ手のシャンテン数の最大が8シャンテンだからです。

手牌13枚の内から何でもいいので5枚選びます(この5枚を和了に必要な5ブロックの各ブロックに1枚ずつ割り当てます)。

選ばれた5枚を除いた残りの8枚を、4メンツ1ヘッドを構成するのに都合の良い牌と交換すると、どのような牌姿でも4メンツ1ヘッドの和了形を必ず作ることができます。

これはつまり、メンツ手のシャンテン数が9以上(9シャンテンとか10シャンテンとか)にならないということです。

Q2 Q1の説明では孤立牌を1ブロックと数えたのに、実際のカウントでは孤立牌を1ブロックと数えないのはなぜですか。

A2
 シャンテン数を出すには、ターツとメンツを区別する必要があります。

合計を13ではなく8から引くという操作で、すでに各ブロック1枚ずつ、何かしら孤立牌を選んでいるのわけです(しかも計算が簡単になります)。

この孤立牌に+1枚してできるパーツ(ターツ、トイツ、複合トイツ、リャンカン)をブロック数をカウントすることで数え、孤立牌+2枚組(メンツ)を、再度メンツ数を加算することで両者を区別しています。

Q3 左端から2度数えないといけないのを1度にまとめられませんか?

A3
 メンツを2として左から数えてけばたしかに1度で済むかもしれませんが、実際にやってみると、数えている途中で「あれ?何ブロックだっけ?」となるので、一旦ブロック数を確定してからメンツを足す方が結局はわかりやすいと思いました。

はしがき

アカギ4巻(p36)で、ニセアカギが本家アカギに対してシャンテン数の勝負をふっかけるシーンがあります。

問題になるのは以下の牌姿です。

画像17

彼の注文は、

上の10牌に、下の9牌をガラガラして3枚引いて4シャンテンを作れ

というものでした。

ちなみに9牌は

画像18

です。

メンツこそありませんが、すでに4ブロック(468m、135p、99p、78s)あるため、4シャンテンを作るとなるとこれ以上ブロックは増やせません(これは作中で南郷さんが解説しています)。

X=(ブロック数+メンツ数)とすると、

式で表せば、

8−X=4シャンテン

ブロックが4、メンツが0なので、

8−(4+0)=4シャンテン

これ以上、Xを増やせないのです。

例えば9mや7pという牌は、引いた時点でリャンカン(1ブロック)がカンチャン×2となって、Xが増えてしまうのでアウトです。

例えば、9mを引いたとすると、46m、89m、135p、99p、78sの5ブロック0メンツ1トイツになり、この時点でXの合計が5になってしまいます。

要は、うまいこと孤立牌を引いてくださいという問題です。

正解は1s、1m、4sの3種で、確率は2.38%と述べられています(私は確認していません)。

初めてこの問題を見たのはおそらく中学生の時ですが、ようやく理解できたと思います。

はしがき2

画像19

上は井出洋介・小林剛著の『麻雀技術の教科書』p184からの抜粋です。

私は、5トイツあればチートイ1シャンテンなのに、そこからトイトイに移行するとなんで3シャンテンになるのか、その理由を長らく理解できていませんでした。

シャンテン数が一手で2つ以上下がることなんてあるんだろうかというのがわかりませんでした。シャンテン数は上記3つの種類が異なる場合には1手で2以上変動するわけですね。それがこの度、腑に落ちました。

ちなみに副露判断でチートイからトイトイへの移行がよく問題になるのは、このためだと思います。

副露判断は、一般には、「速くなるか、高くなるか」という判断だと思いますが、チートイからトイトイへの移行は、1シャンテンから3シャンテンとかになるので、シャンテン数だけならかなりの後退です。打点も変わらないかチートイのが高い場合があります。

チートイ・トイトイ鳴き問題は、「それでも鳴いた方が速い手牌があるのではないか」という議論なのだと思います。

解答

問1 8-5=3
問2 8-5+1=4
問3 8-3=5
問4 8-3=5
問5 8-(5+1)=2 5ブロック1メンツヘッド有
問6 8-1=7 メンツ手7、トイツ手5シャン 十三不塔形
問7 8-4=4
問8 8-5=3 6ブロックですがカウントは最大5ブロックまで
問9 8-4=4
問10 8-(4+1)=3
問11 8-(5+1)+1=3 5ブロック1メンツヘッド無
問12 前:8-(5+1)=2 → 後:8-(5+2)+1=2
問13 前:8-(4+2)=2 → 後:8-(3+3)=2
問14 前:8-(4+1)=3 → 後:8-(3+2)=3

下のサイトはもう少し詳しく書いてくれてます。わかりやすかったです。

上に引用したタケオしゃんのサイトより「シャンテン数当てゲーム」です。

ネマタに教えてもらったサイトです。

下は古いサイトですが、この時点ですでに基本的な考え方が述べられてます。先達はあらまほし。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?