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「両手いっぱいに芋の花を」が心に沁みました

面白いゲームに出会えると、それだけで幸せになれます。毎日毎日、スマホにコンシューマにPCにとものすごい数のゲームが発売されてまして、ほんとに数が多すぎて、面白いゲームにたどり着くのは至難の業です。そんな中で面白いゲームにたどり着けるとそれだけで幸せになります。そして「面白いゲーム見つけた僕えらい!」と褒める。自己肯定感の低い僕が自分を褒められる数少ない瞬間を与えてもらって感謝です。

僕はダンジョンRPGが好きで、最近想定外の100円セールでTLを賑わせていたエクスペリエンスの「モン勇」は発売日に定価で買いましたし、日本一ソフトウェアの「ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団」もスイッチ版を買ってある。うん、買ってあるけど遊んでない。「買ったのに遊ばないの!」と、ゲーム代をお小遣いでやりくりしてる若い方には怒られそうですが、ガレリアの前に「ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団」というのが出てまして、そちらに心底惚れた僕は続編も買ったんですけど、シリーズ物はある程度面白さが予想できる(と思ってる)から、つい後回しにしちゃうんですよね。遊ぶ気はあるんです。ただ起動するまでが遠い。その点完全新作は強い。ダンジョンRPGっていっても色々ありますので、遊んでみないと分からない。じゃあ遊ぶかとシリーズ物よりもはじめようという気になります。

そんなこんなで始めました。ダンジョンRPG、だけでなく、最近の多くのゲームで僕の鬼門になってるのがキャラメイク。正直言っていいですか。面倒くさいです。40代前半くらいまでは頑張ってキャラメイクしてましたが、最近は面倒で。僕、ミートピアというRPGが大好きで、あれもMiiを使ってがっつりキャラメイクできるので3DS版は当時大好きだった銀魂のパーティ作ったりなんかしてキャラメイクに時間費やしましたが、スイッチ版は雑にFGOキャラ数体作ったところで飽きちゃってそのまま始めてしまいました。

加えて、ダンジョンRPGのキャラメイクにはもうひとつ重要だけど面倒な要素があります。それがキャラのステータスを決める際のダイスロール。基礎ステータスを割り振れるボーナスポイントですね。僕が10代に出会った、ダンジョンRPGの礎を作った名作「ウィザードリィ」からあるシステムで、通常は一桁のボーナスですが、低確率で20ポイント以上もらえるという。今はも少しインフレしてますでしょうか。今の若い人に分かりやすく伝えるならそうだな。元祖リセマラです。といっちゃってもいいでしょうか。どうでしょうか。いいポイントが出ると、序盤から強いだけでなく上級職になれたりと色々メリットが多いので当然粘って頑張るところなのですが、これも中々に面倒な作業。最近のダンジョンRPGはダイスロールが超高速化されてるのでガンガン回せるんですが、ガンガン回しすぎていいポイント出た瞬間にうっかり飛ばしてしまう事故もありなかなか厄介ですね、ほんとに。

と、ダイスロールに文句言ってしまったところで芋の花の話です。このゲーム、ダンジョンRPGの当たり前ともいえそうなキャラメイク時のダイスロールがありません。ついでに、これまたダンジョンRPGにありそうな、善・中立・悪といった属性もない。触れるのは容姿と職業。一つのセーブデータで8人までパーティを編成できます。職業は8つ。ということで、全職業揃えたら冒険の始まりです。気軽!お手軽!大英断!と、長くダンジョンRPGで遊んできた僕は感銘を受けました。また、やられた時のペナルティがないのも、気軽に遊べるいいポイント。魔法やスキルが尽きて、戻るの面倒だなと思ったら強い敵に突っ込んで全滅して帰るのが1番楽という状況。これもウィズ以降キャラロストに怯えて遊んでた身からすると思い切った仕様で、その割り切りにちょっと痺れます。

 シンプルにしてもキャラメイクしてパーティ組んでダンジョンを潜る魅力は損なわれることはありません。戦闘は基本的にプレイヤーが先手取れる作りなのですが、そこに魔法や特殊攻撃、バフ・デバフなど行動順を早くしたり遅くしたりする要素が加わり、さらにスタミナの要素もあって、スタミナ回復にも1ターン要するので、その回復のタイミングも重要になって…と、考えることは色々あります。芋の花は3人パーティです。3人だから悩ましい。いつもどこかがちょっと足りない感じですが、そこをどう補って戦うか、パーティ組み替えてあれこれ考えるのが楽しい。中盤ぐらいまでくると、どうしても強い構成というのが決まってきますが(というかウィザードの魔法がかなり強く、アプデで弱体化されたものの、それでもアタッカーはウィザードですかね、やっぱり)その構成を少しいじって他の職業で勝てるか試すのも楽しかったです。戦闘で得られる経験値はレベル差が広がるともらえる値が減っていき、最終的にはゼロに。敵が一戦一戦手強く、ちょっとでも経験値が得られるうちは気を抜くとやられちゃうバランス。しっかり勝ちを拾うため、職業に加えスタミナや精神力を管理して戦い抜くところに楽しさを置いたゲームだったでしょうか。シンボルエンカウントでしたので「目の前の敵を、職業やスキル使い分けて攻略して」という作りです。弱点がはっきりしてる敵が多く、また耐性もしっかりあるため、職業の持つスキルは重要。こういうタイプのゲームは活かせる職業のメンバーが育ってなくて泣きながらレベリングということも間々ありますが、このゲームはその点のフォローがあって、レベルの高い相手からはガッツリ経験値をもらえます。強い先輩2人に引率させて数戦こなせばある程度使えるところまで育ってくれます。また、職業ごとにスキルポイントがあり、割り振って得られるスキル選びがほんとに重要なんですが、こちらも、ある程度進めると振り直しができるようになりますので「これはちょっとスキルの割り振りしくじったな」という場面でも安心です。

ダンジョンの作りもよかった。1つのフロアに高低差があったりして、仕掛けを解く楽しさが味わえました。モデリングの風合い的に、おじさんは大好きなダンジョンマスターを思い出しました。リアルタイムじゃないので、敵を鉄格子に挟んで削って倒すという芸当はできませんでしたけどね。

さてさて、ここまでは戦闘は歯ごたえがあって探索も楽しいダンジョンRPGという感想ですが、僕がこのゲームで遊んで最も楽しかったところ、このゲームで大好きなところはキャラクターモデリングのよさ、可愛さ、芸の細かさ。アートワークが本当に素晴らしかった。

左から大コウモリ、スライムの君主、まよい狼

それはキャラメイクの時から始まっていました。僕はゼルダの伝説シリーズで一番好きなリンクさんはと訊かれたら、風のタクトやDSの頃に出た2作で活躍したトゥーンリンクさんと答える、可愛さのある造形好きなもので、芋の花のキャラの等身にまずグッときます。使えるパーツは多くないものの、それを組み合わせて表現できる可愛さが絶妙で、人間からエルフにドワーフ、オーク、ゴブリンまで、とても愛嬌のあるキャラに仕上げることが可能。装備品で見た目も変わり、加えて、パラメータには直接関係ない被り物による変化もいい感じで、愛着のあるパーティが編成できます。ゲーム内に出てくるNPCもかわいい造形の中に哀愁も感じられて世界観にマッチしてます。さらにさらに、敵のモデリングと攻撃や魔法のエフェクトも可愛さとかっこよっさの塩梅が絶妙。いちいちかわいくてかっこいい。中でも一番痺れたのはやっぱりラスボスの、あの全体攻撃でしょうか。大変、大変美しい。これはもう、これ読んで遊んでみようかなと思ってくれた方がいたならば、是非遊んで、その目で確かめてほしい。

ダンジョン探索中メニューを開いたとき、ダンジョンの場所によってキャラの様子が変わって、その場の雰囲気を見て取れるとこも最高でした。このゲーム、戦闘中でも休憩中でもRスティックで、ゲーム内の風景をぐりぐり動かせるので、フィギュアのジオラマを色んな角度から愛でることができまして、ここも最高に萌えるポイントです。

そしてそして、本作最大の魅力、チーフさん。とにかくかわいいチーフさん。戦闘でコールすると、通信機を通して色々アドバイスをくれるチーフさん。ひとつ前のエントリーで、「RPGタイム!ライトの伝説」でゲームマスターを熱演するケンタ君のかわいさに心撃ち抜かれた感想文書きましたが、またもや似たようなシチュエーションに萌える感想文書くことになるとは。このゲームは、退廃した世界で、芋の花の種を探し出して食糧難をなんとかしたいと考え、プレイヤーが率いる調査団を迎え入れることにしたチーフさんの物語です。そう言い切れるほどに、チーフさんの存在が大きい。

本作の出発前のメニュー画面では、チーフさんと共に拠点でくつろぐパーティの様子を見ることが出来ます。ダンジョン探索で得た戦利品の中には、この拠点を飾るアイテムもあります。拠点の日常風景に飾られるだけのアイテムなんですが、質素な作りの拠点に、徐々に装飾品が加わり、チーフさん囲んで賑やかになってく様子もよかったなあ。そんな世界で奮闘するチーフさん。ダンジョンの入り口で振り返るとチーフさんの可愛さも最高ですが、終盤ストーリーが動き、そしてクリアした時のチーフさんを見てたら、「チーフさんのために頑張って本当によかった」と、心から思って少し泣きました。最近ちょっと泣きすぎな気がするのは歳のせいかな。

手を振るチーフさん。かわいい。

面白いゲームに出会えると、それだけで幸せな気持ちになれます。そしてそのゲームに最後まで付き合えて、最高の終わりを迎えられたら、こんなにうれしいことはありません。クリア後にダンジョンうろうろすると、NPCのテキストが少し変化してたりして、その辺の芸の細かさも含めて、僕はこの作品が大好きになりました。

「両手いっぱいに芋の花を」

うん、そうですね、このタイトルが、このゲームのよさを端的に表してると思います。ポストアポカリプスな世界を生きるストーリーですが、温かさのある作品ってのも大変珍しい気がするな。本当に本当に、いい作品に出会ったなあ。

以上、「両手いっぱいに芋の花を」の感想文でした。このゲームに携わった皆さんに、両手いっぱいのありがとうと感謝を込めて。

サポート頂いたものは概ねゲーム会社に回ると思います