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僕はサスケVSコマンダーのどこが好きだったんだろう

ハムスターが昔のビデオゲームを現行機に移植しておっさんゲーマーの注目を集め続けているアーケードアーカイブスで、僕の大好きなサスケVSコマンダーが配信されまして、これは遊ぶしかとすぐに購入したんですね。で、遊びます。相変わらず楽しい。サスケVSコマンダーは新日本企画(のちのSNK)が作ったシューティングゲームで1980年10月頃からゲーセンに出回ったのかな。僕は当時10歳か。すでに近所のゲームコーナーには入り浸ってたけど、大きなゲーセンに行くようになったのは昭和に流行った五段変速のギアがついた自転車手に入れた小学5〜6年の頃からだからよく遊んでたのは世に出て1〜2年後ってところでしょうか。当時本当によく遊びました。1ゲーム20円だったってのが1番大きい理由ですが。

前置きはこのくらいにして。いつの頃からか僕の中に「ビデオゲームの面白さ誰かに伝えたい欲」というものが芽生えましてブログなんか始めてSNSで繋がって現在に至るのですが、流石に今「サスケVSコマンダー超面白いからみんなも遊んでくれー!」と言い放つのは厳しい。僕は相変わらず超面白いと思ってるんですけど、SEKIROや戦国無双がある現在では、ねえ。若い人に「しょぼっ、つらっ」って言われても文句は言えない。ということで、今回は当時のゲーセンの風景を思い出しながら僕がこのゲームをどう受け止めて、どこに惚れ込んで、そして今改めて遊んでどう感じたかをつらつらと書いてみようかと思います。
それでは。

1982年頃の僕

自転車っていいですよね。手に入れた瞬間に世界が一気に広がります。近所の商店街の空きスペースにある5〜6台のテーブル筐体の中にあったゲームとメダルゲームしか知らなかった僕が、自転車手に入れたことによってテーブル筐体50台以上並んだ世界に行けるようになりました。しかも1プレイ20円!最新ゲームは50円とか100円だったので遠くから見てました。そんなロケーションで遊んでた頃にサスケVSコマンダーに出会ったのでした。

当時の僕のゲーム観ってのは「新作スゲー!」「インベーダーやパックマン古臭え!」って感じだったかな。ビデオゲームの進化スピード凄まじかったですからね。新作が出るたびに世界が変わる。この頃僕が通ってたゲーセンはブロック崩しからギャラガやタイムパイロットなど色んなゲームが雑然と並んでたところでした。しばらくするとゼビウスやドルアーガの塔がやってきたりして、まあ、インベーダー時代遅れと言われても止む無しでしょうか。今なら登場した背景、後世に与えた影響など色んな角度から眺めて「スペースインベーダー凄い!パックマン革新的!」と断言できるんですけどね。そういえば3月にスペースインベーダーインヴィンシブルコレクション出ますけどこれみんなどう受け止めるのかな。ファミコン、スーファミぐらいまでの移植は時代遅れ感感じながら遊んでたけども、僕は今だとこの頃のゲームは古典だなあ。レトロゲーム通り越してビデオゲームの古典。楽しむには当時の文法を理解し歴史背景まで読み解く知識がいる、ちょっと敷居の高いジャンル。そんな感じ。ちょっと横道逸れました。失礼。

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出会った頃の印象

「忍者が降ってくるのが愉快!撃ったら落ちてくる死体ウザい!ボスの登場かっけー!」そんな感じで忍者の世界観に大喜びだったでしょうか。そして世界観を構成するのに一役買ってた背景もかなり気に入ってました。。ゲームの中に風景がある。スペースインベーダーは黒い空間でした。ギャラクシアンでは青や黄色のドットを配して宇宙を表現。そしてサスケVSコマンダーではゲームの中に京都(らしきもの)が現れた!ここにかなり心惹かれてたと思います。ビデオゲームの表現力は本当に驚くべきスピードで進化していって、サスケVSコマンダーに感じたロマンも数年後には忍者くんや影の伝説が上書きして過去のものとしてしまったんですけど、それでもサスケVSコマンダーの画面の中にある風景はずっと好きでしたね。今でも大好きです。

2020年に遊んでみて

思ったほど古さを感じませんでした。むしろ風情がある。ビデオゲームから色んな刺激や感動をもらってきましたけど、10代に味わった感動は人格を形成する上での土台の部分に深く刻まれますので特別なのかもしれませんね。かもしれない、じゃなく、特別ですね。10代でファイアーエムブレム風花雪月や十三機兵防衛圏に出会った若者の行末がちょっと心配に。いや、大変羨ましいです。あと「思い出は美化される」「記憶はけっこう嘘つき」といったことを昔のゲーム遊び直した際感じる事けっこうあるのですが、サスケVSコマンダーは当時と変わらずの楽しさで安心しました。

ゲームそのものに目を向けますと、これまでインベーダーフォロワーのひとつと思ってたんですけど、今遊ぶとちょっとそれは違うかなと思うように。というのもスペースインベーダーってやつがアタリのブレイクアウト、ブロック崩しのフォロワーとして生まれてきたのではという印象を持ってまして、インベーダーブーム後に出てきたギャラクシアンを始めとするナムコの1画面のシューティングは色々な要素を取り入れて進化するも「画面上部に部隊を配置する」という部分はブロック崩しのブロックのDNAを引き継いでそうだからインベーダーの直系という印象ですが、サスケVSコマンダーの敵はドロンと湧いてひたすら降ってきますのでどちらかというとギャラクシアンの編隊の影響を受けて出てきた、ギャラクシアンから分岐して登場したのかなあという印象を持ちました。ギャラクシアンがお父さんと考えるのがいいのかもなあ。

サスケVSコマンダーといえば倒した敵が死体として降ってきまして、これに触れるとミスとなるためゲーム史上初の打ち返し弾なんて言われてたりしますけど、落ちてくる動きから地面に落ちた様まで単純なドット絵ながらよく表現できててとてもいいです。当時は20円とはいえ大事なお小遣い投入しての真剣勝負だったのでそこまでよく観察……してたか。お金ないんでデモ画面見て脳裏に焼き付けてたか。この頃のゲーム鮮明に覚えてるの多いけど要素が単純とか色々理由考えられますが、下手くそゲーマーだった僕はプレイ時間<見てる時間だったので沢山見て覚えた説の方が有力な気がする。

元祖打ち返し弾に加えてボーナスステージという名のボス戦も特徴のひとつです。ボス登場から攻撃方法、こっちがミスった時のデモなど当時は大変衝撃的でとても印象に残ってるんですけど、これ今見ても最高でした。ボス登場時繰り出す忍術名ドットで表示されるんですけど、今見ると凄さと同時に微笑ましさを感じます。そういえばサスケVSコマンダーのイントロは英語なのにボーナスステージのボスは日本語なのなんでですかね。知ってる人いましたら教えてほしい。

しかし今改めて見ると当時としては画期的な要素がいくつもありますね。打ち返し弾にボス戦といった部分も大きいですが、イントロがあり、舞台があり、ボスの名乗りがあり、とストーリーが感じられる点が凄い。僕がサスケVSコマンダーのこと大好きなのは、薄暗いゲーセン内に浮かぶブラウン管の海の中で、物語を感じられる風景を見せてくれていたからなのかもしれません。

ビデオゲーム史1周目の最後尾ではありますが、ビデオゲームが進化していく様を、リアルタイムでずっと見続けていられるというのは本当に幸運なことだと思います。未だ飽きることなくゲームを遊び続けてますけど、新作遊びながら「これのお父さんはアレかなあ。ここはあれの影響っぽいなあ。」という楽しみ方ができるのは長いこと遊んできたからこそで、この点に関してはこの時代に生まれた幸運にひたすら感謝するばかりです。今出会ってる新作も辿っていけば必ずどれかの古典に行き当たるはず。若者が今サスケVSコマンダーを遊んでもあんまり面白くないかもしれません。しかし、昔を知っていると今のゲームがもっと楽しくなるかもしれませんので、おっさん向けのコンテンツと思われてるかもしれないアーケードアーカイブスをはじめセガエイジス、スイッチオンライン向けのファミコンソフトなどに触れてビデオゲームの歴史を辿ってみてはいかがでしょうか。今回紹介したサスケVSコマンダーはシューティングゲームや忍者ゲーの歴史を辿る際存在感を示してくれると思いますので一度是非。ついでに「サスケVSコマンダー面白い!」と思っていただける仲間が増えるとうれしいです。

サポート頂いたものは概ねゲーム会社に回ると思います