誕生!!
朝起きる度、昨日の自分がどうでもよくなっていることに気が付く。
どうでもよいままで、すっと思い出されるのだから、「昨日」は、知らない人たちが走ったり飛び跳ねたりしている運動場を眺めるときみたいに、網膜のずっと外側にある。
19歳になった。けれど、19年分の記憶も技能も友達の数(質?)もないのだから、僕は僕を19歳だと証明できないし、たぶん僕はずっと、せいぜい2, 3歳であり続けるのだと思う。
だから、「昨日」の自分は僕と同い年だ。遠くに住むようになった幼馴染みたいな、緊張感がある。普段はどうってことないのに、どうしようもなく会いたくなる時が来たりする。
ご先祖様はナスとキュウリに乗ってくるけれど、彼は彼の残した言葉に乗ってやってくる。僕は「明日」の自分が心配だから、今日もこうして言葉を残していく。
朝起きる度、僕は僕として誕生していた。
ハッピーバースデー。
蝶がひらりと舞うように、浮かんだ声が言葉になった。