potekomuzinを観に行った。

今日はpotekomuzinのワンマンライブ『妥協公演』を観に、新代田FEVERへ。9年のキャリアにして初のワンマンらしい。音楽に限った話じゃないけれど、「はじめて」に早いも遅いもない。彼らには彼らのタイミング、今日という日が来るべくして来たのだと思う。

FEVERは普段出していただくライブハウスの中でもわりと広いほうだ。フロアも広いけれど、ステージがまず広い。何か後ろめたいものがあるとか、堂々としていないバンドは相当にちっぽけに見える。音響は良いのかもしれないが(私には正直、音の違いは分かっても良し悪しの評価まではできない)、このハコをうまく捌けているバンドはほぼ観たことがない。

potekomuzinはスリーピースバンドだけれど、今日の彼らはステージの広さを感じさせなかった。余白に目がいかないステージだったと思う。

死んじゃうじゃんかの企画に出てもらった後、ベースのまっつん(マツイヒロキ)は「すべてを昨日のステージに置いてきた」と言った。我々の企画に今持てるすべての力を出しきってくれたという意味だったのだろうか、あるいは、過去に寄りかかったり馴れ合いに甘んじたりするのは今日で終わりという意味だったのではないか。悔しい、すごく悔しい。

タイトルは『妥協公演』。「妥協」は彼らのキーワードで要所要所に出てくる。

「20代の頃は日比谷の野音でワンマンがしたいとか、ガツガツしてたんですけどね、もう最近は諦めましたね」
「今年の春だっけ、調布の一休で『無理じゃね?』って(笑)」
「ノリと勢いでアメリカツアー行って、帰ってきて『どうする?』『そろそろワンマンやる?』で、今日ですよ。野音ではなく新代田で。妥協したから(笑)」

「でもね、諦めたら何でもできるようになった。その気になれば今日の夜でも配信できるしね。いいですよ、諦めるの(笑)」

時流や誰かのペースに合わせるのは諦めた、自分たちのやりたいことをやりたいようにやる。長年培ってきたもの、これまで大切にしていたものでさえも「すべてを昨日のステージに置いて」。 言葉にできるぐらい割り切って、前を向けているのは、彼らのかっこいいところだと思う。我々はどうかな。

堂々とした3人の佇まい、一番グッときた「中級者同盟」、あっという間の時間。すごく合点がいった。

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