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15 物語を話す人

子どもの頃の夢は?と聞かれると、絵ばかり描いていたので、「絵本作家」と答えていました。

ついさっきまで、自分ではそう思い込んでいましたが、もっともっと小さい頃の記憶が、今日唐突に思い出されてびっくりした、という話です。

私は幼い頃、夜布団に入ると、絵本の読み聞かせではなく、カセットテープで物語を聞かされていました。

赤ずきんちゃん、白雪姫、シンデレラ…

幼稚園児の私は、スポンジが水を吸うように、カセットテープで聞いたお話を、一言一句、抑揚や間まで記憶して、それを園で披露していたそうです。

両親はお店をしていたので、いつも幼稚園バスに迎えにきてくれていた祖母が、「先生からすごいねって褒められたよ」と誇らしげに教えてくれたことが、記憶の奥からポロっと出てきました。

それがいつからか、人前で話すことに緊張するようになり、苦手なことのひとつとなり、すっかりそんな特技があったことは忘れていました。

こんなに大人になってから、仕事の一環として、恐怖心を乗り越えながら、大勢のお客さんや生徒さんに話して伝える、ということをしています。

私が小さい頃、なりたかった大人って、物語を話す人だったのかもしれない。

アナウンサーや演じる人にはならなかったけど、豊かな生き方を、楽しむことを、料理を通して伝えようとしています。
のびのびとみんなの前で、身振り手振りで話し、喜んでいた、幼い私が思い出されました。

何とも不思議なタイミングで出てきた記憶です。

というのも今日は、偶然が重なってできたような1日だったのです。
たまに、やるつもりもなかったのに、行くつもりもなかったのに、そこに運ばれるように居る、ってことがあり困惑するのですが、今日はまさにそんな日でした。

そんな奇妙な流れに乗って、夕方、タイミングが合ってうちにやってきた友達と、1時間ぐらいお茶をしました。これも予定外です。

彼女は、これからの自分の生き方に悩んでいました。自分は何が向いているのか、好きなことは何かわからないと。
話をうんうん聞いてあげることしかしていませんが、それがきっかけで、私は何がやりたかったかなぁとぼんやり考えているうちに、小さい頃の夢を突然思い出したわけです。


ここからはちょっと難しく書いてしまいますが…
自分が今選んで行動している、と思うこと自体が間違いで、全てはそういうふうに決まっていて、ただ未来からそれに沿って流れて来てるのだ、という感覚を、最近とてもよく感じるのです。

自分以外の人と絡み合って流れは成り立っている気がするから、複雑にも感じるわけですね。

でも至ってシンプルに出来ている。
無自覚に潜在的に、すでに自分で未来を決めてるってことなのでしょう。

私は幼稚園児の頃に、もしかしたら、みんなに物語を伝える人になる!と決めたのかもしれません。

そうなると、答え合わせを毎日しているみたいですね。

あっちに行ったりこっちに行ったりする必要はなし。
小さい頃の私が、そっちじゃないでしょ!と地団駄踏んでいるのが見える気がしてきました。

私たちがやるべきことは、未来を思い出すこと、ただひとつです。
「人生は自分を思い出すゲームだ!」
という、前回の記事の「師匠の言葉」に通じるではありませんか。
もしみなさんに、説明がつかない偶然か重なって、夢を思い出せたら、素直に従ってみると面白くなってきますよ!

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