美しく青きビーチ、ひとりじめの朝
真夏のイタリア
風光明媚な地中海の村で
時差ボケのせいで早くに目が覚め
退屈をもてあました息子と
ビーチを散歩する
まだ、デッキチェアが埋まる前の
ひそやかな朝
パッチワークみたいな
色とりどりに置かれたチェアには
ひとりの人影もなく
昼間の喧騒は嘘のように
波の音が静けさを引き立て
涼やかな風がわたしと息子の頬をなでる
あと1時間もすれば
地中海の強烈な日差しが顔を見せ
この美しいビーチは
涼を求める海水浴客で賑わいはじめる
こんなにも、ひとりじめできる
贅沢な時間はあと少し
そんなわたしの感傷はいざ知らず
息子は波打ち際へ駆けていく
みるまに、今日着る分の服が濡れていき
わたしは1日の計画が崩れるさまを
ぼんやりと見つめながら呼びかける
「そろそろ行くよ？」
「朝ごはんまでもうちょっと！」
子どもとの旅は予定変更が付きものだ
そして、その偶然の出会いの方が
旅の記憶に残ったりするのだから
皮肉だね
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