「慶應義塾中等部」学校説明会に行ってきた
2018年の秋に参加した「慶應義塾中等部」の学校説明会の感想が下書きに埋もれていたので、現時点で得た他の学校との比較など、思うところを加筆して公開してみる。順番では8校目の学校説明会。
文化祭まっさかりの秋シーズン、慶應義塾の普通部(男子校・日吉)と中等部(共学校・三田)では、それぞれ「労作展」「展覧会」という名前の学習結果の発表会がある。クラスごとの模擬店や、ライブやショーなどの出し物があるわけではなく、学習成果物の展示と、いくつかの校友会(部活動)の発表があるだけで、他校の文化祭とは一線を画している。
中等部の方は、この2日間の「展覧会」とあわせて学校説明会が行われる。今となってわかったことだが、慶應義塾大学の付属校は、ほかの私立中学がこぞって開催している受験生向けのオープンスクールや授業体験会、あるいは塾主催の説明会といったものをいっさい行わないようだ。(かろうじて合同説明会には参加している…?)生徒を集めるための営業活動にコストを割く必要はないという経営判断なのか。なので、説明会に行くなら、この2日間を逃すとチャンスはまた来年、ということになる。
ちなみに、中等部と同じく、大学付属で共学校の早稲田実業は、塾主催の説明会も、夏のオープンスクールも実施する様子。ほか、MARCHの付属校も、受験生に向けて様々なイベントを実施している。少子化で各学校が生き残りをかけて危機感たっぷりに動くなか、これだけ他校が「受験生Welcome」モードを出しているのに、慶應にはそれがいっさい感じられないのはわたしだけだろうか。高嶺の花というか、敷居の高さというか、この姿勢だけでも慶應のカラーが出ているように思う。
以下、備忘録として印象の良かった点と悪かった点を。あくまで、我が家に合う・合わないを含めた、いち保護者の感想なのであしからず。
印象の良かった点(メリット)
受験を目標にする学校ではないので、勉強で他と競うことを主な目的としていない。「受験・部活・校則」ではなく、「学業・校友会・行事」を教育の3本の柱として、バランスよくやっていくとのこと。まあ、これは大学付属校の最も強みになる部分だろう。
校友会活動は、1つの校友会につき、平均週3回以内。かけもちは可。そして校友会の一覧を見ると、「社会研究会」「地理研究会」「報道研究会」「歴史部」「気象・天文・生物愛好会」など、息子の好きそうなジャンルの校友会が多くある。共学でありながら、この男子校のようなマニアックな文化系ジャンルの多様さは、他校ではあまり見かけなかっただけにポイント高し。
3年の選択授業で、ふだんの授業では扱わない内容や、教員の専門分野を生かした内容を受講。クラスの枠を超えたメンバーで学べる。あまり詳細な紹介がなかったのだけど、実施科目一覧を見るにつけ、いわゆる教養系の探究型授業と思われる。
印象の悪かった点(デメリット)
一学年の人数は、1クラス約40人(男女比は2:1)×6クラスの計240人。幼稚舎からの持ち上がりは、学年で男子20名前後、女子40人強、という感じ。女子は全体の半数近くが幼稚舎からの進学となる。1年から2年はクラス替えあり、2年から3年は持ち上がり。共学を謳っていながら、一学年の中で男子が多いのは不自然な気もするが、これは早実も同じ。人数が少なくても、女子の方が偏差値も高く、精神年齢も高いので、存在感があるのかな?あと、我が家は共学志望なので、高校から男子校・女子校にわかれてしまうことだけが希望とあわない…。男子はほぼ全員が日吉にある高等学校へ進学。
中等部には学食がないとのこと。3年間、お弁当が必須。「寝坊したから今日は学食でお願い!」といった逃げ道がない…。不安…。
その他雑感
公式行事のある日以外は、服装の指定はなし。ただし、中等部生としてふさわしい服装であること、という但し書き付き。パーカーはかろうじてOKのようだけど、デニムはNGらしい。これは、かえって毎日の服の選択が悩ましいのでは…。他にも、「べからず」式の禁止事項は最小限だが、自由の中に規律を求める、というスタンス。また、スマートフォンの持込は禁止とのこと。
高等学校の紹介がいっさいなく、大学への推薦枠の具体的な話もなかった。高等学校とはキャンパスも離れているし、そもそも男女で分かれるし、普段は中高で交流がなさそうな印象を受けた。普通の中高一貫校とは勝手が異なる様子。日吉の高等学校の学校生活が知りたければ、そちらの説明会(あるのだろうか?)に参加しないといけないのかな?そもそも参加できるのか…?
また、今年の6月にはプレジデントファミリーから大胆なタイトルの雑誌が出ている。一瞬、慶應とのタイアップ本かしらとも思ったけれど、いまさら宣伝する必要もない学校だし、昨今の付属校人気を受けての、純粋な編集企画なのかな…。
買って読んでみたところ、巻頭の「代々慶應」の家庭紹介で、父親+子どもは慶應なのだけど、一緒に誌面に登場している母親の経歴が空白になっていることに、いろいろと邪推をめぐらせてしまった…笑。夫婦で慶應と開示しているご家庭は1軒だけだった。
慶應卒の著名人インタビューは、全員がほぼ経営者の家系で、さもありなんという感想。あとは、「小中高大どこからが一番入りやすいか?」などの受験シミュレーション。もちろん、幼稚舎が一番入りづらいことは周知だし、Twitterなどでは「早慶は大学から入るのがコスパ良し」とも言われているが、慶應を熱望する家庭はコスパでは選ばないだろう…。中学受験の内容としては2ページだけ。それでも傾向はつかめるので興味深く読んだ。
最後に、早慶MARCHの付属校の相関や特徴が図解で載っていて、これは初心者にはわかりやすかった。慶應を中心に、大学付属校全般を検討しているなら、一読の価値はあると思う。