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「早稲田実業学校」学校説明会に行ってきた

時系列は戻って、2019年の塾主催の説明会。通算10校目は「早稲田実業学校」へ。早実は昨年の文化祭に行っているので、学校や生徒たちの雰囲気はなんとなく把握しているが、昨年の入試から「思考型」の問題を出すようになったと聞いて、そのあたりの話が聞ければと思っていた。

全体の印象としては、早稲田大学や文科省からの要請に応えて、「変わらなければ」という危機感が強いことを感じた。特に、2022年の学習指導要領改定を受け、高等部のカリキュラムは大幅に変わるだろうとのこと。例えば、現状は高校2年からの文理選択も、そろそろ文理に分ける必要はなくなるかもしれない、とか、現状は高校3年では卒業研究はないが、この後は変わるかもしれない、など、まだ決まっていないが変えようとする姿勢を実感した。

最近は大学側からのプレッシャーも強いのか、「大学付属校はぬるま湯」というのは過去の話で、中等部でも、基礎学力+英語力+探究型授業で、きっちり勉強させていくという印象。いくつかの教室を、ディスカッションできるような形態にリニューアル中という話もあったし、そもそも中学受験の段階で「思考力を問う問題」が入ってきたことが、求める人材の変化を物語っている。

以下、備忘録として印象の良かった点と悪かった点を。あくまでいち保護者の感想なのであしからず。


印象の良かった点(メリット)

大学付属(早実は厳密には「系属校」だが)の最大のメリットは、大学への進学が(ほぼ)確約されていることだが、今回は高3次の推薦基準の具体的な説明があって大変参考になった。2018年の卒業生は394名で、推薦の定員は452名、つまり枠は余っている状態なので、学部を選ばなければ全員がそのまま大学に進学できる。また、毎年約1%程度は医学部など外部の大学を受けるそう。ただし、今後の大学入試改革のなかで、推薦の定員が減る可能性もあるとのこと。早実としては、枠はできる限り確保していくと言っていたが、ここは注視していきたい。
そして気になるのが、希望の学部に入るための基準。高1~高3の学年末試験の成績(200点×3回)と、高3の2回の学力試験(300点×2回)のスコア順で学部を選べるというしくみ。6割は第一希望の学部に進学しているとのこと。2018年でいえば、政経、法、商、社会科学部は推薦の定員が埋まっており、ほかは余っているようだった。人気の学部の度合いがわかる。
ほか、大学の付属の利点としては、大学教員や様々な分野で活躍するOB/OGによる講演会があり、キャリア教育が盛んなこと。また、高2、高3次では放課後に大学の正規授業を受講でき、高校に在学したまま大学の単位が取れるしくみがある。これは興味のある分野がはっきりしていて、もっと深く学びたいという意欲がある子にとってはとても良い制度だと思った。学部を選ぶときの参考にもなりそう。
中3では、自分でテーマを決めて取り組む卒業研究レポートがあり、面白いのがインタビュー取材が必須なこと。これは中1の段階から、4~8名の班別で、会社や研究所や公共施設の専門家・担当者に取材し、まとめてレポートを作成する授業があり、そこで段階的に指導を受け、生徒たちが自ら計画・行動することで社会性を養うというもの。いわゆる探究型の学びを重視し始めているらしく、現状は高3では卒業レポートはないが、今後は導入するかもしれないとのこと。また、教室内の配置をディスカッションしやすいように変えたり、2022年には校内のwi-fi環境を整備して、iPadを持たせるように整備中らしく、学校側から「変えていく」という意思を感じた。


印象の悪かった点(デメリット)

校外教室、いわゆる修学旅行がすべて国内であることが意外だった。一度くらいは海外で英語研修があると思っていたら、中2は駒ヶ根、中3は飛鳥・奈良、高2は九州。もちろん国内が悪いというわけではないが、都立の小石川が中3でオーストラリアと高2でシンガポールに行くのに、私立校でも一度も海外に行かないものなのかと、ちょっと驚いた。もちろん個人ベースでの英語研修や留学制度はあるようだけど、対象の人数も少ないし、全員を行かせるような強制力のある機会がほしかった…。
早実といえば、野球部を筆頭に体育会のクラブが強い印象があるが、説明会では「野球だけでなく文化系も充実していますので」とフォローされていた。が、パンフレットを見るとやはり文化系の数が少なく、息子の好きそうな社会系・鉄道系は小規模な同好会レベルなので、もしかすると肩身が狭かったりするのかなと。あとは、文化祭の様子をみても、体育会系の子を中心としたスクールカーストがありそう…に見えたのは先入観かな?この点が息子には合わないかもしれないと思っている。
キャンパスは広いがマンモス校なので、食堂のスペースが高校生で埋まるため、中学生はなるべくお弁当で、というアナウンスがあった。残念…。


その他雑感

2002年に男女共学になり、初等部もこの年から開校。中等部は40人学級×6クラスあり、男女比は2:1。ただし、活発な女子が多く、行事では女子が引っ張っていくシーンも多いので、あまり男女の人数差は感じないそう。これまでいろいろな学校を見てきたが、女子が強い、という傾向は共学校あるあるな気がする。
同じキャンパスに初等部600名、中等部700名、高等部1300名と、合計で約2600名ほどの生徒が通うマンモス校。文化祭のときは初等部の生徒も多く来ていて、先輩たちの姿が自然と見られる、というのは、同じキャンパスで生活する付属校の利点かなと思った。
高校からの入学生もいるため、授業は基本的に先取りはせず、学年に応じた内容をきっちりやっていく。一部、高校レベルの内容まで深める部分もあるが、高校に入ってからきちんと系統立てて学ぶので心配はない、とのこと。御三家などの進学校では、高2までに高3までの内容を終わらせて、高3では受験勉強に専念できるカリキュラムになっているが、とりわけ数学や英語の進度が早く、息子にとってはヘビーなのでは?と思っているので、学年相応のペースで学べる方がいいのかな、と。


入試について

説明していたのが社会科の担当の先生だったので、社会の話が主だったが、2018年度より、その場で考えさせる問題を出すようになり、食らいついていく姿勢が大事。記述も多く、30分の試験時間で解かせるにはハードだと思う、とのこと。試験内容を一度にガラリと変えることはできないが、おそらく徐々に思考系の問題に移行していくのだろう。ほかも科目の話も聞きたかったな。

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