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『やってみたいことがあるのだけれど』 

その日の横浜はよく晴れていた

時代が時代なら神として崇め奉られたであろう
稀代の雨女は赤レンガ倉庫へと降り立った

青い空 白い雲 倉庫の煉瓦色が映える映える

目的はひとつ

男性ブランコのコントライブ
『やってみたいことがあるのだけれど』
を観るためである

絶好の単独日和の恩恵に与り、周辺を散歩する

海を眺めたり、ランチに頭を悩ませたり、
お土産選びするうちに、遂に電子チケットが届く

チケット確認

前から2列目 センターブロック

天を仰いだ 仰天 天を仰ぐと書いて、仰天
熟語の成り立ちを身をもって示してしまった

そこから非常に心落ち着かない3時間を過ごす
そわそわ そわそわ

そして、いよいよ開場

物販列に並ぶ すると列が進む度におばけが 
ふわふわ ふわふわ

雰囲気の作り込みが凄まじい
気分はアトラクションのQラインに並ぶが如し

おばけたちの撮影に勤しんでいると、
あっという間に物販列先頭に

お目当てのパンフレット、ピンバッジを購入

きっともう手に入らないと思っていた
『七支のコント』製本台本とポストカードセット
も購入できたのは嬉しい誤算だった

着席、そして、開演───

そこから約2時間はあっという間だった

滑稽で、優しくて、愛おし切なくて、
ほんのり狂気をはらんだ男性ブランコの単独は
夢か現かの境目が曖昧で、白昼夢のようだった

とんでもないものを観てしまった…

押し寄せる多幸感で脳が溺れつつ、
興奮冷めやらぬうちに感想を…と
メモ帳アプリを立ち上げるも語彙力は消失

もぬけの殻、そう、もぬけ もぬけですこれは

いつのまにか
語彙力もぬけおばけになってしまったようだ

さあ、この幸福感をお供に、中華街に繰り出して
小籠包を2、3個放り込みにでも行きますか…

もぬけおばけ、
浮き足立った気持ちで窓を見やる──

雨、大粒の雨、じゃじゃ降りの雨、じゃじゃじゃ

予定変更 踵を返しまっすぐ駅に向かう

いつもならうんざりする
雨女という汚名も今日はちょっと楽しめそう

なぜなら、今の私は汚名を着こなし
歌い飛ばす方法を知っているからだ

「汚名を〜汚名を〜 お洒落に着こなす〜」

上機嫌で鼻歌混じりに歩んだ先にはBIGな観覧車
よこはまコスモワールド、駅とは別方向

どうやら方向音痴という汚名も
重ね着しなくてはならないようだ…

苦笑いしつつ
もぬけおばけは横浜を後にしたのでした


ここからはネタバレ・考察有



「やってみたいことがあるのだけれど」

この一言をきっかけに、幾つものコントが
舞台上に立ち現れては消えてゆく

男性ブランコのコントライブ

『やってみたいことがあるのだけれど』

その感想を書き連ねたいのだけれど



【プロローグ「漫才師」】

(注:会場中は写真撮影OKでした。)

舞台上には1本のサンパチマイクと、
上手・下手に1枚ずつ黒塗りのパネル。
舞台中央は少し段が作られていて、
アクトスペースに。

おや、コントライブでは? 
(京都公演)

舞台上手にはイーゼルが鎮座ましまし。

よく見るとunpisさんのビジュアルデザインが裏面に
(京都公演)
客席からの全体像
(京都公演)


いったいこれらを使って何が始まるのか…。
ドキドキしていると、温かな照明の舞台上に
トニー・フランクさんが登場。

そして、上記のイーゼル前へ。

イーゼルが譜面台代わりだ…!とあまりの
お洒落さに度肝を抜かれるなか、心地良い
ハーモニカとギターの生演奏がスタート。

思いがけずトニーさんの生演奏を
聴くことが叶い、喜びに震えつつ、
ゆったりとした音楽に耳を傾けていると、
曲調が一気にアップテンポに。
ライティングも音楽に合わせてカラフルに変化。


そして、ついに、
男性ブランコのおふたりが登場───。


様々な柄の生地がパッチワークされた
彩鮮やかなジャケットを纏い、マイクの前へ。
そのまま漫才のようにトークがスタート。

穏やかなトーク、和やかな雰囲気が漂う最中、
浦井さんがひとこと。


「やってみたいことがあるのだけれど」


おふたりの佇まいが、会場を漂う雰囲気が、
ぴりりっと締まるの感じた。

浦井さんの言葉を受けて、
平井さんが了承の言葉を発した瞬間──。

アコースティックギターが掻き鳴らされ、
おふたりの頭上のライトがぱあっと光る。
そして平井さんが上手、浦井さんが下手へと
移動し、パネルをぐるり。

たちまち現れる数々の衣装を纏ったトルソー。
そのまま舞台上で着替えを始めるおふたり。

つまり、舞台上に現れたこの衣装たちが、
これから披露されるコントの衣装…!

気付いた瞬間、息を呑む。演出が最高すぎる。

着替えの所作の美しさ、お衣装の丁重な扱い、
そして細やかな身嗜みの整え。
着替えさえも魅せるおふたりの上品さが素敵。

衣装を纏い、所定の位置に。

そして、コントがはじまる。


【観光案内】

野宮:浦井さん 亮太:平井さん

観光案内所に勤務する野宮の元にやってきた、
亮太と名乗る男性

「あなたの思い出の地を観光したいです」

そう告げる亮太に、怪訝ながらも
自らの思い出の地を案内する野宮

思い出の終着点に着いた時、
亮太から告げられる衝撃の告白

亮太は26年後の未来からやってきた
実の息子だったのだ

僕が生まれたから… 父さんは音楽をやめたのかな

亮太

亮太が"観光"を決断したのはどうしてだろう。

26年後の未来で過去への観光が流行っている
とは言っても、きっと何かきっかけが
あったと思うんですよね。

「いい父親です」
「たくさん愛情を注いでくれてます」

と、亮太の口ぶりから察するに、
野宮さんはご存命だと思うので、
生前の父親の思い出を巡りたくて…
とかではなさそう?

だとすると、父親の人生を巡る観光は、
一種の自分探しの旅だったのかなと。

自分の存在が父親の人生の楽しみを
奪ってしまったのでは…と、
燻る不安感を抱えて26年生きてきた亮太。
自分が生まれる前の父親に会うことで、
音楽を辞めた理由を探り、
その理由が自分であっても受け入れる覚悟が
できたから観光を決意したのかな?

観光当初はきっと口に出すつもりのなかった
不安をポツリと溢したのは、
きっと、浮かない顔をする自分のを気にかけ、
引き留めてくれる野宮さんの優しさに
触れたからなんだろうなあ…。

ギターをまだ弾いているのか、と聞かれ
(切なそうに手を見つめる)
という件から、何かしら野宮さん自身に
理由があってギターを辞めたことが伺えるけど、
それを抜きにしても、亮太が物心ついた時から、
26歳までギターに興じる姿を見たことがないというところから、趣味の時間を削ってでも
亮太との思い出を作ってくれるような
父親だったんだろうな、野宮さん。

そんな優しい野宮さんだからこそ、
自分のことで思い詰める息子を見て、
その苦しみから息子を解放するべく
「あまり親を舐めない方がいいです」と、
厳しくも愛のある言葉を投げかけるところが
素敵だなあと。

「自分で考えて考え抜いて出した結論を、
 子供のせいにする親なんていません」
「少なくとも、私はそんな親にはならない」

確固たる自分を持っている野宮さんだからこそ
言える言葉だと思う。

「これから思い出の地になるといいますか…」
と自分が“おぎゃる“病院を、まだ赤の他人だと
思っている男性に紹介してくれる時点で、
野宮さんが息子のせいで趣味を辞めた…なんて
思考が生まれる人でないと、気付いて亮太…!

(この「おぎゃっちゃう」大好きなのですが、
亮太がふざけて言っていた訳では無いという
ことは、そう遠くない26年後の未来の流行語
なのかもしれない。)

最後まで敬語で話していた野宮さんが、
亮太からのお願いを聞き入れるときだけ
「わかった」とラフな言葉使いになったのが、
父と息子感があっていいな〜、と思っていた
のですが、台本を読んでいると、
亮太が息子だと明かした後から
父親らしい言葉遣いを野宮さんがしていたので、
浦井さんの演技プランによる変更なのかな?


【音楽家】

音楽家:浦井さん 三叉路のアクマ:平井さん

「僕には才能がない…」

音楽家は藁にもすがる思いで
三叉路のアクマとの契約を結ぼうとする

しかし、願いと引き換えに予想以上の寿命を
差し出さねばならないことに怖気付く音楽家

遂にはアクマ相手に寿命の値切り交渉を始める

なんとしてでも人間の寿命が必要なアクマは
その値切り交渉に応じるが…

こうして悪魔として存在していたことも、
全て遡って無かったことになる

三叉路のアクマ


アクマの世界では毎年、規定の人間の寿命
“税じゅみょ“ を納めなければならない。

アクマなので、税じゅみょを納めずとも、
死ぬことはないが、アクマの世界でいちばん
重い罰則『虚無の罰』を受けることになる。

『虚無の罰』とは自分の存在が一切合切全て
無くなってしまう罰のこと。

自分は確かにそこにいても、それを認識する
相手や、確かに存在していたという記憶、
記録が全て無くなってしまったら、
ほんとうにそこに自分はあると言えるのかな?

実際のところ、音楽家が超絶技巧の
ギターテクニックを欲しがるのは、
人の心を動かしたいという動機があって、
たぶん現状では彼の演奏を気に留めてくれる
相手はいない訳で。それってきっと
『虚無の罰』に近いんじゃないかと。
"おもしろたのしい"はずの音楽も、聴いてくれる
相手がいなきゃ、ただの空気の振動。

そこにやってきた三叉路のアクマが、
"おもしろたのしい"音楽とやらを聴かせてくれと
頼み、聴いたら聴いたで、下手と野次る。

でも、彼の演奏をまっすぐ受け止めてくれたのは
間違いなくアクマただ1人な訳で。
やっと彼の音楽が、彼自身がそこにある、と
認められた瞬間なんだと思う。

"あなたがいて、わたしがいる"

男性ブランコのコントって、この考えが根底に
あるものが多いような気がするんだよなあ。
だから人の心を深く揺り動かす感動がある。

そしてこれは、男性ブランコ 対 お客さん
にも通じてるんだと思う。

全国でコントライブを開催しても、お客さんが
沢山入って、経済としても成り立たせたい、
という夢をもつ平井さん。

まさに "男性ブランコがいて、お客さんがいる"。

だからこそ、生み出されたコントなんだろなと。

と、まあ、なんやかんやと述べたけども、
差し出す寿命が思ったり長くて、値切り交渉や
寿命カムバックキャンペーンの有無を
問いちゃう音楽家さんや、音楽家から
ちゃっかり年収分の寿命をいただいて、
かわいいユニネコーンを飼おうとしてる
アクマにめちゃくちゃ笑ったコントだったなあ。


【おっちゃん】

セイちゃん:浦井さん カッちゃん:平井さん

セイちゃんとカッちゃん
ふたりは小学校からの幼馴染のおっちゃん

思い人である、わたこさんに告白しようとする
カッちゃんは緊張のあまり、
セイちゃんに付いてきてほしいと頼む

「無理やあ!無理!」
駄々をこねるカッちゃんとなだめるセイちゃん
小さな頃からふたりの関係性は変わらない様子

果たしてカッちゃんの告白は
無事成功するのか…?

最後にはいつもビシッと決めてくれるんや
カッちゃんは、そういう人や

セイちゃん

もし、これを読んでくださっている方の中に、
このコントを観ていないという方がいたら、
いつか観られるかもしれないその日に備えて、
すぐさま以下を読まずに引き返してほしい。

それぐらい初見でこの感動を味わってほしい。

【2024年3月21日追記】
なんと今なら男性ダディでこのコントが
観られるとのこと…!皆さん、ぜひに…!

ここからはネタバレOKな方だけ、どうぞ。

はじめに言います。めちゃくちゃ笑い、
そして泣きました。それはもうぐずぐずに。

あの日観たこの15分のコントを、
私は一生涯忘れることはないと思います。

セイちゃんとカッちゃん、幼馴染おっちゃんの
ドタバタ告白劇かと思いきや、過去と現在を
自在に行き来し魅せる、友情のおはなし。

台本・音楽・衣装・音楽・照明・演出・演技…
そのどれもが素晴らしすぎました…。

衣装がリバーシブルになっていて、
過去と現在を行き来する演出凄すぎる…!
そして衣装をリバーシブルしながら、
声色の変化でおっちゃん→こどもへの変化を
観客に伝えるおふたりの演技の細やかさよ…。
演技と演出の意図に気付いた時、ぞわわっと
背中に駆け上るものがありました。

京都のホテルにて描き殴り 細かい所が違うかも

ここからは、おはなしについて…。

告白になかなか踏ん切りがつかないカッちゃん。
セイちゃんに何か良い文言がないか問います。

テレビの受け売りだ、と言いつつ、
アドバイスをくれるセイちゃんに対し、
「いつも助けられてばかりだ。ありがとう。」
とカッちゃん。

それに対し、何か思うことがあったのか、
一呼吸置いて深く「…うん。」と感謝の言葉を
受け取ったセイちゃん。

ここの浦井さんの演技がなあ…。良い…。
後々、ここの間の理由が明かされます。

わたこさんへの告白が無事成功したカッちゃん。
見守っていた無二すぎてもはや無一の友人である
セイちゃんをわたこさんに紹介しようとします。

しかし、ここでセイちゃんから衝撃のひとこと。

カッちゃん、僕の紹介はせんでええよ
わたこさんには、見えてへんから

セイちゃん

セイちゃん、もうこの世にはいなかったのです。
つまり、おばけだったんですね。

セイちゃん、いつおばけになったんでしょう…。

おっちゃんになっても、おばけになってまでも、
告白を心配してついて来てくれるほどの親友が、
この世を去っていたことを、カッちゃんが
知らないなんてことはきっと無いと思うのです。

セイちゃんはもしかしたら、カッちゃんの告白
前日、若しくは当日に息を引き取ったのかも…。

肉体を離れながらも、カッちゃんのことが
心配で心配で、見守りに来てくれたセイちゃんの
優しさを思うと涙が出てくる…。

告白の成功にお祝いの言葉と、
カッちゃんへの今までの感謝を残しつつ、
この世の別れを告げて去ろうとするセイちゃん。

あんな、カッちゃん
セイちゃんはいつも助けてくれるって
ゆうてるけどな、あれ、逆やから
いつも助けもうてたんは、こっちや

セイちゃん

前述の間の理由はこれ。
セイちゃんも、カッちゃんに対し全くおんなじ
気持ちを感じていたからこそ、その感謝を神妙に
受け取っていたんですね…。

男性ブランコのコントは、作中に覚えた小さな
違和感が必ず後から観客に種明かしされるので、
本当に物語の展開が絶妙だなと。惚れ惚れ。

状況が飲み込めないカッちゃん。
やんや、やんやふたりは言い合いながらも、
遂にセイちゃんは最後のお別れを告げます。

またずっと先で会おうや

セイちゃん

「またずっと先で会おうや」=
「カッちゃんはわたこさんと長生きしてくれよ」
ってことだよなあ…、セイちゃん…。

別れを告げた後、カッちゃんに背中を向け、
のそのそ歩くセイちゃんの背中が寂しくて…。
その背中に向かってカッちゃんがいくら
セイちゃんの名前を呼んでも、振り向かないのも
ほんとうに寂しくて…。

そして最後、時間は巻き戻ってふたりの幼少期に。

鍵っ子だったセイちゃん。
親は働きに出ていて遅くまで帰って来ません。
そんなセイちゃんと常に行動を共にしていた
カッちゃん。遅くまで一緒に遊びます。

カッちゃんの両親は心配していないのか?
カッちゃんは自分に気を遣っているのでは?

セイちゃんはカッちゃんに疑問をぶつけます。

そして返ってきた答えは…

おりたいから、おんねん

カッちゃん

とてもシンプルだけど、
人間と人間の繋がりでいちばん大事なこと。

まさに "あなたがいて、わたしがいる" だなと。

セイちゃんが何故、カッちゃんに対しあれほど
までに感謝をしているのかの答えを最後に提示
する構成、ほんとに凄すぎる…。圧巻。

カッちゃんの返答を聞いて、手をきゅっと握り
ながら、はにかむセイちゃんがいじらしくて…。

現代のカッちゃんがいくら呼んでも
セイちゃんはもう現れないのに、
時間が巻き戻って幼少期のカッちゃんが
セイちゃんを呼ぶと、ぴょこんと袖から
走り出てくるこの終盤の対比が
もう堪えきれなくてな…。

トニーさんの素晴らしい音楽と照明効果と
相まって、涙が止まらなかった…。


見えてないおばけになったとしても、
肉体が滅びたとしても、誰かの心・記憶に
残っていれば自分は有り続ける。


そんなことを感じさせてくれたコントでした。

余談なのですが、横浜での席が真ん中ブロック
下手寄りだったので、カッちゃんの告白が
目の前でした。気分はわたこさん。

カッちゃんの告白席、あれは心臓が跳ねましたわ。


【随時更新中】【研究者】

クボくん:浦井さん 博士:平井さん

珈琲ゼリーから珈琲だけを100%抽出し
純粋なゼリーを生み出す研究に没頭する博士

世の中、不思議なことばかりじゃないか
複雑に絡み合ってるものばかりじゃないか
だからね、僕は純粋なものに憧れるんだよ

博士

『おっちゃん』では、肉体が滅びたとしても、
誰かの心・記憶に残っていれば自分は有り続ける。
と感じた。

それでは肉体が残ったとして、核となる心が
ごっそり抽出されたら、純粋な人間であっても
それは自分であると言えるのか?

『おっちゃん』と『研究者』は非常に
対照的なコントだと思った。

クボくんの中に渦巻いていたのは、
珈琲ゼリーの中の珈琲のように
ドス黒い感情だけど、その感情がクボくんを
クボくんたらしめていた核でもあるわけで。

クボくんから悪意を抜き取ったあとの博士の
フラットさが怖かったし、
クボくんも何も言葉を発さず目だけが
キラキラ光を纏っていて不気味だった…。

純粋な人間になれたんだねぇ
抽出できるなら注入できるんじゃない?
博士の最後のありがとう恐怖 
横浜の時には感じなかった気がする

【随時更新中】【絵描き】

禅:浦井さん 敬太:平井さん

力がどうだの、そんなのどうだっていい
大事なのはな、敬太が、
ここにあるっていうことなんだよ

【随時更新中】【服屋】

服は記憶である

アントン・ウェーバー

13年間の記憶を失った紳士が、
今回の単独で披露された6つのコントの
衣装生地を組み合わせた、つまり"着憶"を
パッチワークして仕立てたジャケットを
纏うことで、"男性ブランコ浦井"として
再び舞台センターに立つ演出に痺れた。

なんと美しい帰結。

平井さんが口紅をグッと手の甲で
拭ったのも痺れた。

【随時更新中】
【エピローグ「漫才師」】

作中、登場人物間で
「やってみたいことがあるのだけれど」
の応酬があるが、じゃあ、タイトルの
『やってみたいことがあるのだけれど』
は誰に向けたものなのか? 
客席にいる私たちなんだろうな

"あなたがいて、わたしがいる"

観客が入ることの大切さを演劇サークル時代に
痛く思い知らされたお二人だからこその、
観客もコント世界に招き入れる演出が良い 
「お客さんも集まってんねんから」で客電点く演出

全てはコントだったんだろうな 夢幻のコント 
コント『漫才』
コント師であり漫才師でもある男性ブランコだからこその演出

漫才とコントの境目がない
2022年のM-1を経たからこその単独

男性ブランコのこれまでとこれからが
詰まった単独のように感じた


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