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外伝が好き

私は、外伝が好き。
本編では脇役だった人物にスポットライトを当てて、その人が過ごしてきた人生の喜怒哀楽を描くような外伝が好きです。
物語の大きなうねりを楽しむ本編の中で、主人公を支え引き立てる人々。
ほんの少ししか出番がなくても、その人の人生が確かにあると思うと、物語の陰影が一層濃くなる気がします。

私の好きな外伝は……
 上橋菜穂子さんの『獣の奏者』の外伝『刹那』
 雪乃紗衣さんの『彩雲国物語』の外伝『骸骨を乞う(上・下)』
  (「完結編」と書かれているから、正確には続編なのでしょうか)

ラノベやファンタジーが大好きな私にとって、この二つは宝物みたいな作品です。
『刹那』は、本編では描かれなかった主人公エリンの愛の軌跡の物語と、エリンの師であるエサルの青春の物語が柱。
『骸骨を乞う』は、主人公秀麗の最晩年の様子や、彼女の死後の夫劉輝とその娘の物語を綴る「続編」と、劉輝の前に最後まで立ちはだかった猛将旺季とその弟子たちを描いた物語(いわゆる外伝)からなります。
信念を持って運命に抗い続ける人生も、抗えない状況に流されながら懸命にもがいて生きる人生も、どちらも切なく愛おしい。

リアルな世の中で、潔く生きるのは難しい。
モブの一人の声に耳を傾けてくれる人を探すのも、なかなかに難しい。
だからこそ、手のひらできらりと光るような外伝に心惹かれるのかもしれません。

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