マガジンのカバー画像

わたしたちの話をしよう

41
これで生きていけるのかは分からないけれど、とにかく、「わたしたち」の話をするね。そのうえで、もっとできることを見つけ出すために、今のわたしに必要なことだと思うから。わたしたちには…
運営しているクリエイター

#創作

それでも、いっしょにいよう

ぼくたちの時間だよってきみが言う。 ぼくたちは、いつからぼくたちなんだろう。 ぼくたちは、ぼくたちだから、さみしくても、さみしくないんだよ。 だけど、もっとみんな、いっしょがいいね。 どこかにいるひとりぼっちに、教えてあげられたらいいな。 ぼくたちがいるよ。 あなたはそこでひとりぼっちでも、大丈夫なんだよ。 あなたはいるよ。 いなくならないんだよ。 どうしたら、見つけられるかな。 ひとりぼっちの、あなたがいるなら、ぼくたちはいていいんだって信じられる。 ぼくたちは、ぼく

庭に鳴る宇宙

君のための僕であることを僕は知っている。 僕のための君が君の全てではないことを僕は知っている。 僕の愛はそれほど大きな愛ではない。 僕はこれで足りている。 君の愛は大きくてその全てを僕が受け取ることはできない。 だから僕は、君のその愛を、必要とするものに惜しみなく与えて生かせるように、君が愛したいもの全てを愛せるように、君の歩みを支えて生きる。 君は選んで僕の隣にいる。 君が僕を信じているから、僕も僕を疑わない。 僕のための君がいるから他の全ての君が機能するのだと君が言う

意味が無くたってよかった

僕たちは「二人」になれたからよかったんだ 君はきっと「ひとり」だから 君を生かすまで 僕たちは、僕たちでは、終われなくなった 僕たちは意味のある「二人」になった 君が「ひとり」である限り 君の歌う「愛」を聴いている きっと誰かの心を突き刺すだろう そして誰のこともひとりにはせずに 君はすべてのひとりぼっちを抱きしめるんだろう 僕たちは、君に因って、意味のある二人になったから ひとりで行く君の背中を支えていよう 君の声が届くように 君の想いが流れ着くように 誰かの心を打ち破

生きてよ

ないしょ、 ないしょ、 ないしょのはなしは、していいの? ないしょだよ、 ないしょだよ、 ないしょってことだけ教えてあげる! なんのこと? いつのこと? だれのこと? ぼくのこと? ここは、 行き止まりだよ! ここから先に、 行きたいの? 本当に? 本当に? 本当かなあ? 本当に、ここから先に行きたいのなら、 ここは通らないはずだなあ? 本当に、ここを通りたかった? 来てみただけだね? いいよ!引き返していいよ。 いきろ、 いきろ、 君に教えてあげる! ここから、真っ

まだ、たまご

たまごを割る。時々、硬くてなかなか割れないのがあることに感動する。守られている感じがする。だけど、もしそのたまごがヒナの孵るたまごなら、ちょっと大変だろう。そのヒナには、たまったものじゃないのかもしれない。だって、ただでさえ簡単じゃないよね。たくさん時間をかけて、へとへとになって生まれてくる。ひと一倍硬い殻に包まれて生まれてくるヒナは、一大事なのではないかな。 殻は、強く守ってくれる。だけどそこから出て来たいときに、なかなか破れないとすると、果たして、無事に孵れるのか、ここで

いつかまたこの話をするね

光か、闇か、いまいちよく分からない。どちらもあるような、そんな響き。 あんまりキラキラしていない。でも、ぼんやりと明るくて触れば熱い。鋭く光ることもある。キラキラよりギラギラ。それって何だろうね。地底に棲む生き物かなあ。ごわごわしてるんだよね。でも、稲光りみたいな激しさもあるんだよ。蜘蛛みたいなイメージもある。モグラ、ミミズ、薄暗いところが好きな生き物。暗いところで眼が光ってる。眼じゃない?眼がない?じゃあ何が光ったの?魂かな。 ロマンチックな音と、泥臭い音が同居している。ダ

届くよ

準備をしている。 とっておきの僕達を、どこかで待っている誰かに届けたいから。僕達を整える。当たり前だけど簡単じゃない、大事なことでしょう? 僕達にできることは、それぐらいなのかもしれない。だから準備をするよ。 「物語」を、始めるための準備。 僕達の中では、もうずっと前から始まっていることなのだろうと思う。だけどね、いつだって、新しい始まりは待ち構えているんだよ。 僕は、始まりの時間がいつも好きだ。 特有のあの空気が。新しい風が通るあの瞬間が。とても好きだ。 僕達はいつだって

志を抱く

比べて考える必要はないと、一目で分かった。 これは、唯一の形であると。 私はあなたを愛したかったのではなく、「唯一の形」を探していたのだと、理解した。 愛することを知りたかったのではないのだ。私にとって、この胸にあるのは、本当に美しいものを求める心だったのだ。 あなたは美しい。 しかし私があなたを愛そうとすれば、その想いにはどこか隔たりがある。あなたは確かに美しい。 美しいあなたを、愛しげに眺める「そのひと」の存在があって、私はようやく理解した。 私の命は、美しいものに

いつも温かい手の存在を知っている

考えたいこと、考えて楽しいことは他にもたくさんあるのに、今日はどうしてかあなたのことしか考えられないな。 どんなに他にやるべきことや気がかりなことがあっても割り込んで来る情報というのはあるのだけど、たとえばあなたはそんな情報も越えて、わたしの一番手前なのか、大事なところなのか、脳なのか心なのかそれとも体なのか、わからないけど入り込んで、思考を全部押しのけて、感性を支配してくるんだよ。 他のもの、何も見なくていい。考えなくていい、感じなくていい。 あなたはすごいね。それだけ主