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よみもの

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比較的よく見て頂けている記事や、個人的によく書けたなと思うもの、より見てもらいたいなと思えるものなど、「こんな感じの記事を書いているよ」というのが伝わりやすそうな記事をまとめまし…
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#フィクション

はみだす、ふみだす、うみだす、はぐくむ

はみ出してゆく 抑えきれないきもちが 踏み出していく みずから飛び込む 生み出してゆく まだ見たことのない世界を あるいは、 生まれないまま、 目に見えないものを、見えないまま 形のないものを、形のないまま 名づけもしないまま あるいは、ただ名を呼んで、はぐくむ きもちがある そのきもちに触れるものに 出会うために はみ出してゆく、 踏み出していく もっと大きくなるために、もっと拓いていくために、 切り分けられるものは切り分けて、 切り分けられるはずもないものはそ

いるんだよ。なかまたちは、いるんだよ

いるんだよ。 どう説明したらいいのかなんて分からない。 説明なんかなくても 当たり前に、いると思えたから だってどうしようもなくそこにいるんだよ。 こんなかたち? あるいはこんな? こんな時だってあるよ。 かたちがなくても確かに感じるものだよ。 触れる。 においを知ってる。 音もする。 気持ちを抱くよ。 顔がはっきりしてるひとも、 形が不確かなものも、 色がたくさんのものも単色のものも。 みんなおんなじだ。 会話をしてくれるやつもある。 言語は分からないけど

「またお話しよう」で続く日々を想って

 僕たちが力を合わせなければ何も生まれない。途方もない、独りの時間を過ごしてきたはずだよ。あとはもう、僕たちだから意味のあることを求める時間しか残されていないんだろう、だからこんなにも、また話したいと思うんだろう。  ひとつひとつの自分の細胞が、残らず全部、受精卵になり得るものであるように思う。生殖のための細胞だけじゃない。これは比喩的な意味を多分に含んでいる。僕たちの言語が区別を失って統合されることがあるように。  影響や干渉と自覚することのような。自分の持つ情報の全てが

「解放」

あなたとはちゃんと話をしておかなければいけないと思っていた。 はぐらかさずに、わたしも、逃げずに、ちゃんと向かい合って。 それは本当の姿じゃないんでしょう。 わたしはどこかで分かっている。だけどあなたは理解を望まない。 「君は本当はみんな解っているんだろう」 そんなさみしい顔をしないでよ。 (あなたはわたしから逃れたいのではないのだな) どこかで巡り会う必要があるのなら、放たなければ。 ずっと閉じたところに置いておくのではなく、開いて、広い世界を泳いでいって。そうして