続•模型店にて

またある日の事、老舗の模型店に入ろうとしたら入れ違いで店のお父さんが険しい顔をしながら出ていった。手にはミッキーマウスのキーホルダーが付いた鍵を持っており、俺が「あ、ミッキーマウス？」と思った瞬間、店の奥からお店のお母さんの声で「そんなミッキーミッキーばっかり言われてもちゃんとミッキーマウスの付いた鍵て言われんとわからんわ！！」とものすごい怒号が響いた。
俺がキョトンとしているとお母さんはハッと気が付き「あら✨いらっしゃい。バンダイ？♥」と満面の笑みで語りかけてきた。

お父さんはまだお店から少し離れただけの距離を歩いており、俺は別に買う物はなかったがこっちが気まずくなり色を塗る筆だけ買って帰った。
なんとなく敗北した気分だった。