健康は歯から②
頬の腫れ増するる春の午後。
桜の開花を待たずして咲く痛み。
とにかく運命を変えてくれる。
そんな歯医者を見つけるしかないんだ。
一心不乱に調べた。
会う人みなに爆笑される頬っぺただったので、ひとときの笑いを提供した後、
「凄い歯医者しらない?」
すがる思いで聞き続けた。
そして、
後輩「超優しくて痛くなくて丁寧に治してくれる歯医者ありますよ!!!!俺も教えてもらったんですけどめちゃくちゃ良かったです!!!!
ただめちゃ人気です!!!!!
ちなみに車だと駐車場はないんですけど向かいのゲオに停めれますよ!!!」
いやそれだよ。
ようやく知ることができた。
後の俺を救う、
エターナルヘブンシャングリラユートピア。
N歯科クリニック🦷✨
ただ、やはりめちゃくちゃ人気らしい。
一ヶ月待ちはザラだと。
人気とはそういうことである。
いや、1ヶ月、、、、??
31日、、、、、???
744時間、、、、?????
え、、
44640分待てと、、、、、???
冗談は奥歯の痛みだけにしてくれや😁🫵
とまぁ引き笑いの絶望を待たずして、
流石の超人気N歯科クリニック。
なんと予約時に優先的に案内してくれる“合言葉”があるらしい。
【今、痛み止めを飲んでいます】
これを一言添えるだけで、天龍人の如く、予約を待っている多くの下々の人間を押し除け最優先で予約を取れるらしいのだ。
本当に無知とは怖いものだ。
知っているだけで人生を勝ち抜ける。
ありがとう合言葉。
あとは1秒でも早く予約するだけ。
................。
押せない。
最後の一歩が踏み出せない。
あとは予約の電話を入れるだけなのに
歯医者への恐怖心が俺を襲う。
このままでは地獄の果てで朽ち果てることは頭で理解できているのに。
来週の俺は、
今頃どうしているのだろう。
もう歯医者にはいったはず。
苦難を乗り越えた俺は一層凛々しく笑っているのか?
とにかく進むしかない。
前を向け。
逃げ道を探し続ける人生はここで終わり。
ぶつかれ。
進め。
考えるな。
プルルルルル....
受付「はい、N歯科クリニックです。」
俺「あにょ〜......虫歯で.......予約したくて.....」
受付「はい。初めての患者様ですか?」
俺「アッ....初めてです.....ネットで見まして.....ヘヘッ....」
受付「ありがとうございます。現在ですと予約可能なのがですねー来月の〜.........」
ここだ。
俺「アッ....アッ...あのですね!!!!!!!」
受付「はい?」
俺「今!!!痛み止めを飲んでいます!!!!!!!!!!!!」
受付「......」
受付「患者様。今、痛み止めを飲んでいるのですね?」
俺「はい!!!痛み止めを、すごい沢山飲んでいます!!!!!!」
受付「なるほど、“緊急”の患者様ということですか....」
俺「(ククク、控えろえ。余は痛み止めの者え。わかったらさっさと最短予約で迎えろえ。)」
受付「........そうしますと、しばらくお待ちいただくことになるかと思いますが本日18:30に一度来院出来ますか?」
俺「はい」
今日か。
まぁそうだよな。
俺はもう止まれないレールに乗った。
進むしかない。
変わるしかない。
この道の先で。
受付「それでは18:30お待ちしております。けんけん酒場様。」
ところでほんとに向かいのゲオに車止めちゃって平気なのかな?ゲオにバレたら怒られるよな?
続く
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