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『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』 (2018.5.26.公開)

先日試写会で、5月26日公開のイタリア映画『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』を観てきました!

映画凡人の私には、イタリア映画といって思い出すのは「ライフイズビューティフル」です。
好きな映画ベスト50本に入るくらい好きです。
「ライフイズ…」をご覧の方はお分かりの通り、ホロコーストでのユダヤ人親子をユーモアを交えながら描いている傑作です。
私はイタリア語はチンプンカンプンですが、何故か彼らの言葉を聞いていると、楽しい気分になります。
イタリア語の会話の抑揚が、日本語の楽しいときの会話の調子に似ているからでしょうか?
つまり、イタリア語は言語的にユーモアやコメディの素地があると言えると思ってます(完全な私見です 笑)。

本作「いつだってやめられる」もコメディ要素満載のお話です。
本作は3部作の2作目なのですが、1作目では様々な分野の優秀な頭脳を持つ教授達(化学、生物学、法学、語学、文化人類学、マクロ経済学など)が生活のために、それぞれの専門知識を生かし、法の網をかいくぐる合法ドラックを開発し、麻薬カルテルを組織するという、「ブレイキングバット+オーシャンズシリーズ」的な話でした。
本作では1作目のその後を描いています。
1作目では犯罪集団でしたが、本作では逆にその知識を生かして、合法ドラックを作っている別の麻薬カルテルの撲滅のために警察に協力するという話です。
ストーリーだけでワクワクしてきませんか?
こういうケイパー物の場合、登場人物が魅力かどうかがとても重要だと思いますが、本作はその点完全にクリアしてます。
教授が10人も出てくるので観ていて混乱しそうですが、見た目も雰囲気も違うし、各々が個性が強く魅力的なので直ぐに判別ができます。
鑑賞後「また彼らに会いたい!!」と思います。

本試写は、荻上チキさん(TBSラジオ Session22のMC)と監督との対談が映画開始前にありました。
ネタバレ無しの素晴らしい対談だったので、以下にその内容を記しておきます。

本作の着想のきっかけは、イタリアで実際に起こった、アカデミアでの貧困デモだったそうです。
リーマンショックの後、ギリシャやイタリアで財政危機があったことは記憶に新しいですが、それに伴いアカデミアで働く人たちのワーキングプアが問題になりました。日本でも同様の問題は起こっていますので、他山の石ではない問題です。
イタリア映画は元来コメディ要素が強いらしく、その伝統は第二次大戦後から始まったとか。
本作のように、一見悲惨などん底の状況の方がコメディとして仕上げやすく、戦後にコメディがイタリアで盛んになったのも第二次大戦の悲惨な状況があったからではないかと監督は考察していました。
監督は前作が長編映画デビューで、それまで短編映画やCMなどを撮っていたとか。
前作がスマッシュヒットしたおかげで続編の依頼があったのですが、イタリアでは続編を作ることがあまりないらしく、3部作として後2本作らせてくれるなら引き受けますと言ったところ、プロデューサーに承諾されてしまい作ることになってしまったと言ってました。
単純に1作目の続きとしては作りたくなかったので、2作目では1作目の少し違った角度からの話を描いたそうです。
あと、日本のテレビを見ているときにCMで、ハイジのおじいさんがDJの格好をしているのを見てびっくりしたらしいです。
作品と同様、とてもユーモア溢れる明るい方でした!

text by matsu

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