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そもそも品質工学 第149話 基本と目的と確認実験

これまで説明した部品を組み合わせて、パラメータ設計をする際のポイントを解説します。

ついてきてくださいね!

うわー、大事なポイントを怒涛の如く解説しているなー
これじゃ、受講者は消化不良になりそうw

・ロバスト設計と品質工学における直交表の目的
・基本機能と目的機能
・要因効果図の見方と因子の選び方
・確認実験と再現性の意味
・再現しないときの対処方法

たった20ページちょっとでこれだけの話をするなんて、無茶ぶりもいいとこ…
では、もう少し解説を加えていきますね。

・ロバスト設計と品質工学における直交表の目的
最適条件を探す?違います。
もうその時点で、方向性を間違っています。
技術のロバスト性の評価をするのが、ロバスト設計の目的です。

あなたが作ったその技術。
それがどれだけ丈夫か、市場の荒波にもまれてもちゃんと動くのか。
それを評価するのが目的です。

誤差因子に弱かったり、制御因子間の交互作用を利用した設計になっていたりすると、確実に市場でトラブルを呼び寄せます。

あなたの作った技術が、主効果でくみ上げられていて、誤差因子にも強いことを証明するのが、ロバスト設計です。

要因効果図でいい条件の組み合わせを見つけるなんて、二の次です。
最適化できるかどうかは、いい制御因子を選んでいるかどうかだけです。

そして、評価できているかどうかは、いい機能と、いい誤差因子をえらんでいるかどうかです。

だから、直交表の目的も、実験工数の削減ではありません。
ましてや、再現性を得ることでもありません。

交互作用を効率よく見つける。
再現性が低いかどうかのチェックなのです。
これを勘違いしている人が多いです。

再現性が低いから失敗じゃないのです。
再現性が低いことに気が付き、交互作用があることを知り、弱いシステムでくみ上げていたことに気が付くこと。
これが直交表の目的なのです。

はい、再度質問です。
パラメータ設計の目的は?


・基本機能と目的機能
基本機能は本当に難しいです。
着やすく、基本機能はこれですなんて言ってはいけません。
口に出してはいけない、あのお方」ぐらいのレベルなのですw

マンガの中でも話した通り、物理法則でのエネルギーの推移がどうなるかを的確に測れて初めて、基本機能って言葉をつかえます。

でも、現代の技術ではほぼ測れないでしょう。
なので、私たちがやっているのは、ほとんどが目的機能です。
もっとレベルが落ちると、理想機能です。

とはいえ、品質工学の事例もかなり溜まってきました。他の先行事例を参考にしながら、目的機能を1歩ずつ基本機能に近ける努力をしていく必要がありますね。


・要因効果図の見方と因子の選び方
要因効果図を見た瞬間、あ、これはダメだなってのは、SN比と感度の傾向が同じか、ちょうど逆になっている事例です。

同じになっているのは、おそらく評価方法が望大特性に似ている状態です。
ちょうど逆になっているのは、望小特性に近い評価になっているものです。

つまり、見せかけの機能で、品質特性を測っているのに近いということ。
結果がこうなったら、機能が大丈夫かどうか、もう一度よく考えましょう。

水準の傾向が同じでも逆でも、それじゃばらつきと感度を合わせこむのは難しいでしょうし。

SN比や感度で、片方の変化が小さく、片方が大きい因子があったらラッキーです。
その因子を使って調整ができます。

一番いいのは、SN比の変化がなく、感度だけが変わるもの。
これがあると、目標値に合わせこむのがすごく楽になります。

SN比は高ければ高いほどいいので、これは変化が大きいものが多ければ多いほどいいですね。ばらつきを小さくできますので。


・確認実験と再現性の意味
実は、実験計画法では、確認実験は無いのです。
なぜだかわかりますか?

そう、科学実験だからです。
目的が、「因子の平均的な傾向を調べたい」なのです。
だから、確認実験をして、組み合わせのロバスト性を調べる必要はないのです。

しかし、品質工学は違います。
・実験そのものの繰り返しの再現性
・組み上げたシステムの市場(誤差因子下)での再現性
この2つを確認しているのです。

だから、最適条件と、比較条件を実施し、その絶対値の再現性と、差の再現性の2つを確認するのです。


・再現しないときの対処方法
再現しない時は、以下に注目します。
・技術の目的
・機能(入力ー出力)
・誤差因子
・計測
・制御因子間の交互作用

実験にミスがないならば、この中のどこかに問題があります。

一番楽なのは、制御因子間の交互作用。
これが原因なら、制御因子を変えればいいだけ。
これは、要因効果図の山谷の形状とか、1つ1つ実験の生データを追うことでわかります。

計測も結構な確率であります。
いい加減な測り方をしているならまだ対処は楽なのですが、実は欲しいものを測れていなかったなんてケースがあります。
特に計測器の内部がブラックボックスで、出てきた数字だけを信じている場合に多いです。
計測器の仕組みを調査することで、「え?そんな方法で測ってたの?」みたいなことが往々にしてあります。

そして、意外と軽く見られがちなのが、誤差因子。
「N1とN2で別れていればいいんだろ?」ぐらいの認識でやると失敗します。
ちゃんと機能のエネルギーの流れを邪魔するものでないとだめです。
誤差因子もエネルギーの次元で考える必要があるってことです。

そして、機能。
これは静特性だったら問題外。原因は静特性です。
動特性にしていたら、機能のまずさがデータから見えてきます。
直線じゃないとか、原点を通過してないとか、等間隔じゃないとか。
エネルギーの流れがどうなっているのか、データを見ながらよーく考えましょう。

最後、これが最も難しい。
技術の目的です。
なぜ難しいか?
それを信じ切っているからです。
疑うということすらしないのです。
それが実際には違っていても。

そして、その技術の目的が当たり前すぎるのです。
だから、よけいに見えない、気が付かない。
こういったときは、第三者に意見を求めて、その意見に耳を傾けるコト。
ようは、クリティカルシンキングをするってことです。

これはいける!って思った時こそ、落とし穴があるものです。

ふぅ、こんなとこですかね。
補足説明多すぎーw

いつもは、マンガ1本に付き1つのお題をいれているのですが、この回は総まとめなので、たくさん入っています。

じっくりと理解してくださいね!

さて、そろそろストーリーも終盤。
つとむ君の技術者としての思いとは?
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