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そもそも品質工学 第17話 検査は無駄

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第三期の始まりです。

射出成型機の実験で問題を解決した2人。
果たして、次の試練は?
CI03の未来は?

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検査とは、問題を見つけるのが目的。

検査しても問題が見つからないなら、それは無駄な検査。

検査にお金をかけていますというテレビのコマーシャルを見かけるが、あれはこういう言い方ができる。

「自社の生産工程が不良品がたくさんできてしまい、検査しないと不安で仕方ないので、検査しています。」

どうですか?少し見方が変わりましたか?

先に書いた新型コロナウイルスの検査の話にもつながりますね!

・~・~・~・~・~・~・

さて、オンライン品質工学​の話です。

品質工学といえば、パラメータ設計というぐらい、オンライン品質工学は影の存在となっています。

何でですかね?
設計担当者と製造担当者の違いですかね?

個人的には、技術者は部品1つのコストについてはものすごくシビアですが、全体としてのコストについて全くと言っていいほど見えていません。

「ネジ1本減らした!これでコスト目標を達成だ!」

あのさ、ねじ1本0.1円で、10万台製造だとしたら、1万円の削減。
ネジ1本減らすのにあなたはどれだけの時間を使いましたか?
時給換算してみてください。赤字じゃね?

まぁ、製造工程でネジ1本をつけなくて済むようになって、製造スピードも上がるから、トータルで1万円ってことはないでしょうが。

計算してみましょうか。

フィリピンの工場で1日働くと、今は400ペソ。800円ってとこですね。
8時間労働としましょう。1本ネジをつけるのに多く見て2秒としましょう。

0.05円/1本×10万台=5000円
部品代含めて、トータル1万5000円?

部品の管理費?
そんなの、他のねじもあるから、さほど加えても…

…という思考ができるかどうかです。
それを行う価値と、行わない価値のバランスが見えていないのです。

検査も同じです。それを行う価値、行わない価値。
それのバランスをどう取るか。​


​​​工場の比較的古い人は、検査は必須といいます。
しかし、経営的な視点を持った上層部は、無駄なコストと言い始めているひともちらほら。

視点が、目の前の検査工程だけか、会社全体なのかで違うんでしょうね。

技術者でも、全体的な視点が必要です。
私も昔は、経営的な視点なんて、技術者には無用と思っていた時代がありました。

技術さえ極めていればいい。
経営学なんて理系には関係ない。

そんなことないんですよね。
技術者は科学者じゃないのです。
世の中に価値を生み出すことをするのが技術者です。

価値って何ですか?
端的にはお金ですよね?
(愛とか地位とか名誉ってのもあるかもしれませんが…)

私は、価値にプラスの価値とマイナスの価値があると言っています。
田口先生の定義する品質に近いかもしれません。
この思想については、またどこかでじっくりと語りたいですね。

ある1つの行動を行うと、そこに価値が発生します。
そこには、プラスとマイナスの価値があるわけです。
長所と短所、ポジティブとネガティブですね。

検査も同じく、​​​プラスの価値とマイナスの価値があるのです。

検査におけるプラスの価値:市場に不良品が流れない。後工程で付加価値をつける前に排除できる。

検査におけるマイナスの価値:検査費用。人件費以外に、その準備や測定器の代金。検査に時間がかかるので、もちろん生産数が落ちます。

これらのバランスをとります。
お金(コスト)で。

ここまで説明しても、検査必要だという人がいます。
じゃぁ、不良0%のケースは?

そう。​不良が0なら、検査は無駄​なのです。
そもそも検査の目的とは何か。

不良品を発見することです。
不良品が見つからないなら、その検査はただの取り越し苦労。
ただの時間の無駄です。

あ、「心配だったから」というお金を全く生まない”安心”という価値だけ生むかな。

お出かけの際に、駅前まできたけど…
「家の鍵しめたかな?」
「ストーブ消したかな?」

あわてて戻って確かめてみたら、カギは締まっているし、ストーブも消えている。
「あー、よかった」

さて、また駅まで行くか…。

ね?ただの時間の無駄でしょ?
何かお金的な価値を生みましたか?

その行動をすることで、プラスの価値とマイナスの価値が生まれる。
そして、トータルとして価値の高いほうを人間は無意識に選択して行動しています。

  鍵を閉め忘れている=泥棒に入られる=家財を失う
  ストーブがついている=何かに燃え移る=火事になる

人間は、この最後のマイナスの価値を大きく見積もります。

ちょっとクリティカルシンキングの練習してみましょうか。
そもそも論です。

あなたが、泥棒だったら、どこから入りますか?

私なら、庭先の窓から入ります。
窓の締め忘れが圧倒的に多いからです。
玄関先はカギが閉まっている場合が多いです。
また、ピッキングなんて時間のかかることを目立つ玄関先でやりたくないです。

玄関のドア、開いていたとして、そのリスクはいかほどなんでしょうね。

ストーブの消し忘れ。
火事になるんじゃないか!?

あなたが家にいるときに、ストーブってつけっぱなしじゃないですか?
四六時中ストーブの前にいないと火事になるのですか?
あなたが眺めていると、ストーブからの火事が無くなるのですか?

ね。そういうこと。
クリティカルシンキングを使うと、視点を変え、自分が想定している価値の大きさを変えることができます。

良くも悪くも、過大評価してしまっている場合。
非常に有効です。


最近話題の新型コロナウイルスの検査もそうですね。
私が別な記事で書いていますが、検査しても無駄なのです。
検査すれば、新型コロナウイルスは減るのですか?
全数検査したら、コロナウイルスは無くなるのですか?

無くなりませんよね?
じゃぁ、なぜ検査するんですか?
​「心配だから」​

で?何のメリットが?コスト減るの?
「コロナウイルスにかかった人を排除できるから」

排除したら、今後新型コロナは無くなるのですか?
無くなりませんよね。


コロナの発生原因を無くすしかないのです。
それが予防です。
手洗い。汚れた手で目や口にウイルスを運ばないことです。

製造工程も同じです。
​​​製造工程が不良を作らないような、健全な状態にすることに注力すべきです。

​検査をいくらしても、不良品はへらないのですから。​

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