どっちが勝つか三代目

 オモチャというのは賞味期限があります。かつてオモチャの売れ筋の寿命は3ヶ月と言われていました。無形の情報が商材として飛び交う現在。ブログ記事の鮮度の寿命は数日、つぶやきの寿命は数時間などと言われている感覚からすると「随分寿命長いんじゃね?」という気がするかもですが、有形の工業製品が主流であった昭和の時代では、かなり目まぐるしい製品サイクルだったのです。

 そんな製品寿命が短い世界なのでメーカーは延命対策に必死になります。一回こっきりの生産でなく、2回、3回、できることなら永遠に生産回数が増えて行けばそれに越したことはないわけで、絶えず売り場の棚を確保できるのが理想の姿であったりします。

 その結果、商品がブランドあるいはレーベルとして定着していくオモチャも登場します。

 トミカ、リカちゃん、超合金、海外に目を向ければホットウィール、バービー、レゴ、などがそうしたブランドとして定着しているといえます。

 いわゆるブランドとして定着しているオモチャは、変わることなく時を重ねているのではなく、生き物が環境適応していくように、その歴史を紡ぐ過程で様々な模索を繰り返していきます。その過程で絶滅の危機を迎えたり、代変わりというか世代交代をしながら、さらなる枝分かれをしたりと試行錯誤していくわけです。

 かつては親子二世代で楽しめるといった長寿ブランドも今では三世代で楽しめるというものも少なくありません。共通して言えるのは原初の形であるオリジナルと世代交代を重ねた現在の姿は大きなギャップがあります。こうした歴史と文脈を博物学的に俯瞰できるのもオモチャの楽しみであったりします(まぁこれはオモチャに限った話ではないと思いますが)。 

 バービー人形も、かつては理想的な女性像の記号的存在でもありましたが、近年は美意識、価値感の多様化に呼応する形で体型や骨格なと、大きく変化しています。つまり、常にその時代の世相にあわせて適応しているわけです(私個人の意見としては、人形の体型は記号でしかないので、そこまで現実を反映する必要はないかなぁと思うのですが)。

 そんなわけで、10年後のバービー人形がどのような変化を遂げているのかと考えると、ちょっと楽しかったりします。きらびやかなファションの世界を具現化した着せ替え人形がファストファッションに身を包んだりするのはそれはそれでアイロニー(皮肉)が効いていて面白いと思うのですが。



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