「界」が好きな話

 おもちゃが好きだったりするのですが、自分はコレクターではなかったりします。近年は買いたい欲も減衰気味で、玩ゲル係数(消費支出を占める玩具購入費の割合)もひところよりは低くなっていると思ってます。

 その反面で玩具に関する知識・情報欲は年々高まるばかり。そう考えると自分は「おもちゃが好き」なのではなく「おもちゃ業界」が好きなのかもと思い至ってます。

 日本をはじめ海外のおもちゃメーカーとその商品群はすべて文脈を持っています。単純に商品ラインナップを調べるだけでもドラマがありますが、パテントやライセンス、生産請負といった文脈を解き明かすことで、ひとつのおもちゃの背景が浮き彫りになっていく様は何よりもごちそうだったりします。この快感をうまく言語化できないのがもどかしいのですが、つねに脳内で自分だけの「プロジェクトX」が放送されていると思っていただければ……。

 こうしたおもちゃの楽しみ方はどこに起因するのかと考えてみたら、プロレス雑誌にあると思い至りました。それもかつて存在していた「週刊ファイト」の提唱した「活字プロレス」という概念に強い影響をうけているのかもしれません(この辺りに関してはまた改めて書いてみたいです)。

 なので自分の場合は「活字プロレス」ならぬ「活字おもちゃ」といったノリで楽しんでいたりするのですが、それはそれで妄想のタネとなる"事実"が必要なわけで、大昔の文献などをコツコツと”事実”掘り起こしていたりするわけです。

 「小菅のジープ」に始まる玩具の戦後史は素材の歴史でもあるので、そこから見てもなかなかに面白いものが見えてきます。また、メーカーにしても玩具六社会の時代とか掘れば掘るほど新たな発見があります。

 そう考えると、自分の興味はおもちゃ業界、アイドル業界、アニメ業界、出版業界、放送業界、オカルト業界、プロレス業界etc……。

 そのモノよりも、モノを取り巻く状況が大好物なのかもしれません。

 


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