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グランプリを獲る"覚悟" / 4238毒島誠インタビュー


クラシックで久々SGV

やっぱり関東開催だったじゃないですか。お隣の準地元なので、頑張りたい気持ちが強かったです。ただ、引いたエンジンはほんとに良くなくて、序盤からバタバタでした。だいぶ手を入れましたが、日に日に良くはしていくことができました。優勝戦は出足に寄せていたので、伸びはすごく弱かったです。それはしようがないことですが。自分の仕事がしっかりできるセッティングにして臨みました。
優勝は20年のチャレンジカップ以来ですから、3年4か月ですか…。長かったですね。正直、もう獲れないのかなって思っていたので。GⅠは勝っていましたが、周りにはSGを勝てていないと不調というか、もう終わったんだろうなって思われるというか…、僕自身もありましたから。
勝てない葛藤はありました。というかSGを勝てないというよりも、記念で結果が出なかったんですよ。(21、22年も)GⅠを2回優勝していますけど、それ以外はほぼ優出もしていなかったので。なので実力が落ちてきたな、と。スランプとかじゃないです。もう自分の実力がなくなってきたんだと思いました。スピードだったり、レーススタイルだったり。業界にとってはいいことですが、強い若手が出てきたり。グランプリに出ても、ここ2年は1stで敗退でしたし。苦しかったですね。

スロースターター返上?

7月までにSGを勝ったのは初めてですね。オールスターもグラチャンも。いつもはそうですよね。下半期に活躍するというか(笑)。でも賞金面を含めて、余裕とかは全くないですね。だってクラシック直後の住之江GⅠも大村GⅠも予選を通過できてないですから。この時点で焦りというか、クラシックを獲ったことを忘れてるんですよね。ファンの方に賭けてもらっている以上は、目の前のレースで結果を出さないと意味がないですから。賞金的に余裕ができたとかどうとかは言ってられないです。SGもまだ始まったばかりです。オーシャンカップなんて(選出順位が)下から5番目くらい。危機感しかないですよ。でもこれから結果を残せれば、心に少しは余裕ができるかもしれませんね。

40にして惑わず

変な意味で意気込みがなかったかもしれないです。準地元で頑張りたいんですけど、捨てるものというか失うものがない状況だったので。目の前のことをコツコツやるというか、「勝ちたい」で行くんじゃなくて、やったことが結果になればいいなくらいの感じでした。これまでは絶対に勝たなければというか、まあオールスターもそうなんですが、成績を残していない中でたくさんの票をいただいているので、ファンの方々もそういうの(勝つ姿)を期待しているんだろうなって感じてましたし。
今回クラシックを優勝できたのは、やっぱりメンタルでしょうね。これでもかっていうくらいトレーニングをして準備して行ったので「もう負けないよ」って心構えで。1月に40歳になったんですが、向き合うところを変えて。もう40ですから(笑)。
でも38歳くらいからもうアラフォーな感じで、いろんな部分が落ちてきているというか…。もう維持ですよね。トレーニングで肉体的には上がるんですけど、反射とかスピードっていうのは上がらないんですよね。なので維持することと、他で補うためにアプローチを変えなきゃいけない。テクニックだったり調整面だったり。人生の折り返しですからね。ここからはアダルトな走りになってくるでしょうし。
例えば、エンジン出しを含めて昨年一年ちょっとの間、自分の調整を今までとガラリと変えたんですよ。出足寄りにしていたのを伸び寄りにしたりとか、回転域を全く変えてみたり。ものの見事に結果が出ませんでしたが、グランプリを獲るために変えなきゃいけないことがあると思うんで。年末勝てないのもそこなんですよ。逆に結果が出なかったことで、やっぱり自分のスタイルを貫いていいんだって思えました。そこで本来の調整をやっていったら、何となく結果がついてきました。
やっぱりグランプリを獲るためにやっているとこがあるので。そこを獲りたくていろんな取り組みをしています。
フライングも最近、切ってますよね。勝てなくなって、焦りもあったんだと思います。20年の10月に平和島のGⅠで久々(5年ぶり)に切ったんですよ、前付けに行って。オール2連対かなんかで勝ちに行って切ってしまったので。最善を尽くしたと言えば尽くしたんですが…。

好調・群馬支部

すごいですよね。育ってますよね。決して大人数の支部じゃないですけど、土屋(智則)と椎名(豊)と関(浩哉)と。この3人が若手を引っ張ってくれていますね。それにあいつらが頑張ったから、僕もまだ頑張れてるかもしれないです。活躍は自分事のようにすごくうれしいです。でもやっぱり勝負事なので、一番になりたいじゃないですか。2人ともSGを初優勝して、うれしいんですけど、悔しさもあるし刺激ですよ、すごく。ゴールデンウイーク戦の(富澤祐作の)初優勝もうれしかったです。グループは違うんですが、家が近いのでうちの(ペラの)工場で頑張ってるやつなので。お見事。泣きっぷりもお見事でした(笑)。でも泣けるっていうことはそれだけ思い入れがあるんですよね。僕は一回もレースで泣いたことがないので。自分のことにはメチャクチャ冷めてるんですかね(笑)。まだまだ負けてらんないです。

業界の未来

この年齢になると、業界のことを考える意識がすごくありますね。業界全体のことにベクトルがしっかり向いていると思います。例えば社会貢献とかも、すればいいってもんではないですし一過性では意味がないですから。みんながちょっとでもそういうことを考えられるようになったらいいですね。若い選手の模範と言ったらちょっと重いですが、でも背中を見せられるように頑張らないと。僕自身、一緒になっていろいろな話をできる人になりたいです。

グランプリを獲る"覚悟"

周りの人は毎年のように「今年こそは」って言ってくれるんですよ。グランプリで優勝できるんじゃないかって。いやいや、獲った後に言ってって思うんですけどね(笑)。
でも今までは覚悟が足りなかったんですよ。何だかんだ負ける理由を作ってじゃないですけど。この前、家でも妻とこういう話をしてたんです。「まだチャンスがあるじゃん」みたいな。俺が獲るとか、全てをレースに捧げるとかっていう。クラシックに向けてはその思いが強かったです。そういう覚悟を持ってレースに臨む、獲りに行くっていうよりは全能力を発揮するっていう思いです。
逆にやることやって全能力を発揮して負けたら、しようがないですし。満足、満足じゃないというよりも、これが今の自分の実力ってことですから。

今後の戦い方

やることは変わらないです。目標というか、絶対に達成しなければならないなっていうマストなものはグランプリ。全てはそのための準備だと思っています。しっかり準備して目の前の1走1走をしっかり走る。それだけです。目の前のことを頑張れなければ、絶対にたどり着けないので。(負けて)文句を言われようが、それだけ期待されて見てもらってるってことだと思っています。多くの人がボートに興味を持ってもらえるようなレースがしたいです。そして終わった時に、いい1年だったって言えるようにしたいです。

profile

毒島誠(ぶすじま・まこと)
1984年1月8日生まれの40歳。
2003年5月桐生で92期生としてデビュー。
SGは13年の丸亀メモリアルで初優勝。通算では優勝78回、うちSG8回、GⅠ16回。今年5月の丸亀で通算1500勝を達成した。
妻は元レーサーの池田幸美さん。
同期には安達裕樹、松村敏、大峯豊、今井裕梨ら。

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