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地テシ:235 「狐晴明」が無事に終わったよ!

オリックス・バファローズ、クライマックスシリーズ突破おめでとうございます! リーグ優勝に続いて日本シリーズへ挑戦ですね。
実家が阪急電鉄沿線だった私は幼少期、オリックス・バファローズの前身である阪急ブレーブスが好きでして。なにしろ上田監督の下で日本シリーズ三連覇の黄金期ですから、無敵に強かった時代ですよ。
そんなワケで、今ではあまり野球に興味の無くなった私でも今年のオリックスの活躍は嬉しかったのです。

いやいや違う違う!
オリックス・バファローズのリーグ優勝を祝っている場合では無い!
いや、オリックスの優勝はめでたいことなんだけど!
オリックスはオリックスでも、オリックス劇場で上演されていた「狐晴明九尾狩」が無事に終わったって話だよ!

思い起こせば昨年の春。「偽義経冥界歌」の東京公演が途中で三週間中断したりして、なんとか辿り着いた福岡公演も一回も上演しないまま東京に帰って参りました。
そして今春。私は参加しませんでしたが「月影花之丞大逆転」も同じオリックス劇場での大阪公演半ばで中止となりました。
劇団☆新感線の本公演としては二公演続けて無念の緊急停車を余儀なくされてきたのです。昨秋上演の予定だった「神州無頼街」に至っては発車するコトすらできませんでした。ああ、遙かなるかな終着駅。


しかし!
ようやく「狐晴明九尾狩」が完走致しました!
終着駅まで辿り着きました!

いやあ、長かった。「けむりの軍団」以来二年ぶりの完走です。ご来場頂きました皆様も、ご来場頂けなかった皆様も、色々とご心配とご迷惑をお掛け致しましたが、なんとか完走することが出来ました。ありがとうございました。
なんだかもうドキドキハラハラする数ヶ月間でしたが、無事に終わってホッとしております。皆さまのご協力に感謝致します。

「狐晴明」が無事に終わり、一年半ぶりの旅公演から自宅に帰って参りまして、久しぶりに舞台のない日々を過ごしております。次の舞台は年末の【シンる・ひま】オリジナ・る ミュージカ・る「明治座で逆風に帆を張・る!!」です。こちらも無事に出帆して無事に帰港できるコトを目指して頑張りますよ!


とか年末の話を書いていたら、来春の「神州無頼街」のHPも更新されて様々な情報が公開されてしまいました。

なんと富士市での公演も決まったんですよ。富士山麓を舞台とした作品ですので、これには大きな意味があると思います。
元々は出演するはずだった橋本じゅんさんが出られないのは残念ですが、公開された宣伝動画ではじゅんさんがナレーションしていますよ!



えー、というワケでね、こちらの地テシも通常運転に戻りまして、演劇の話は少なめに、ゲームとか地形の話を中心に書いていきたいと思っております。
いや、思ってはいるのですが、今のうちにね、前回に予告致しました「五芒星」と「四神」の話を書いておこうかと思うのですよ。せっかくこの公演をキッカケにお越し頂いた方が多い中、予告だけしておいて書かないのも締まりが無いと思いまして。
ただし、今回も私なりの解釈で書いていますので、間違っているかもしれませんのでご注意下さい。

まずは「五芒星(ごぼうせい)」について。
五芒星というのは図形の一種です。いわゆる「星形」に似ていますが、星形が交差のない輪郭で描かれるのに対して、五芒星では五本の線が交差して中央に逆五角形が現れます。
図で表すとこういうことですね。

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五芒星は洋の東西を問わず、神秘的で美しい図形として古くより愛されてきましたが、陰陽道に於いてもまた特別な意味合いを持っています。
陰陽道の基本理念として「陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)」という考え方がありまして、万物は「陰と陽」という相反する形で存在するという「陰陽説」と、万物は「木・火・土・金・水」によって構成されているという「五行説」が合体したものです。
で、この五行には「五行相生(ごぎょうそうしょう)」と「五行相剋(ごぎょうそうこく)」という関係性があり、相生を繋ぐと正五角形に、相剋を繋ぐと五芒星になるのです。

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この五行相剋を繋いだ五芒星は陰陽道で重要な図形であり、魔除けの呪符として使われています。安倍晴明も紋として使用しており、晴明を祀っている京都の晴明神社でも神紋となっています。

実は、「狐晴明」でもこの五芒星が随所に出てきます。晴明が式神を呼び出す時に使う「形代(かたしろ)」にも描かれていますよね。
そして、照明部が照らし出すスポットライトとしても使われているのですよ。晴明が術を掛けるために印を結んでいる時などに、真上から五芒星の形の照明が降り注いでいるのです。一階のお客様には判りにくいかもしれませんが、二階・三階のお客様ならば床に映し出された形で気がついたかもしれませんね。
今作の照明プランナーは原田保さん。長い期間に渡って新感線の舞台を彩って頂いております。原田さんにはお話を伺えなかったのですが、照明オペレーターの浜野洋平さんに伺ったところ、晴明に限らず、術を掛ける時には五芒星の照明が使われていたとのこと。
ちなみに、五芒星を正位置(トンガリが上を向いている)に使うと良い意味になるのですが、逆位置(トンガリが下を向いている)に使うと悪い意味になるという説もあります。で、今作での五芒星の照明も、良い術を掛ける時には客席から見て正位置に、悪い術を掛ける時には逆位置に設定してあるんですって。
もう一つちなみに。陰陽道指南の高橋圭也先生から伺ったのですが、五芒星を書く時は左上の《水》から右に水平に描くのが第一画なのだそうです。ほら、晴明がフーリン姉弟を正気に戻す時に邪念剣で描く印も左上からだったでしょ。


続いて「四神(ししん)」について。
晴明が唱える真言にも「青龍・白虎・朱雀・玄武」という言葉が出てきますね。これが四神です。この四神は中国から伝わった霊獣でして、天の四方を司っています。そして、それぞれに決められた方位と色があるのですよ。

青龍(せいりゅう)は東で青。
白虎(びゃっこ)は西で白。
朱雀(すざく)は南で赤。
玄武(げんぶ)は北で黒。

一幕終盤で利風の正体を暴こうとした晴明が唱える真言に「左に青龍、右に白虎、前に朱雀、後ろに玄武」とあるのは、南に向いた時の四神の各方位を表しているコトが判りますね。
この四神も照明によって表されています。舞台上にある四本の柱は、パッと見は木で出来ているような茶色ですが、内部に仕込んである照明によって自由に色を出すことができるのです。
一幕半ばの回想シーンで、元方院に取り憑いた藻葛前をあぶり出す時に、若き晴明と利風が真言を唱えます。その時には四本の柱が一本ずつ四色に光るのですよ。ただし、玄武の黒は表現できないので紫色になっていますけどね。
もちろん他のシーンでもこの柱の照明は大活躍しております。ホントに不思議なんだよね。ちゃんと木で出来ているように見えるのに、内部が光るとキレイに彩られるのです。ちなみに、この柱は四色だけじゃなくて、自由に色を出すことができます。ラストシーンで全部が真っ白になったりもしていましたよね。
新感線では照明も見逃せないんですよね。

とは言ってもねえ。公演も終わっちゃったのにねえ。今ごろ照明の注目すべき点などを言われても困ってしまいますよね。今更言われても確認できないよ!
でも大丈夫! 11/23(火祝)にはディレイビューイングが行われますよ! 全国約90館もの映画館でもう一度「狐晴明」が見られちゃうんですよ! 劇場で見落としちゃってたアレとかコレとかを大画面で大音量で! もう一度見られちゃうんですよ!
今度は照明とかも注意しながら見てみて下さいね!



ええと、そんなワケでね、狐晴明の基礎知識講座もこれで本当の終わりです。次に共演する時まで中村倫也の「な」の字も出てこないと思います。
その替わりと言ってはなんですが、現在発売中の演劇専門誌「えんぶ」誌上にて、あまり似ていない似顔絵と文章で中村倫也さんをご紹介しております。よろしければそちらもご覧下さいませ。

さあ、次回からは本当にターゲットの狭い記事しか書きませんよ! ですので、フォローとか外しちゃっても恨んだりしませんのでご安心下さいませ。そもそも、この公演のことを書き始めたらアクセス数が急増したので、それにお答えしようと思って始めた基礎知識講座なんですから。これからはまあ、好きにやっちゃいますからね。

では、また。