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地テシ:349 2024年開幕のお知らせと江口寿史展

新年早々、大変な事が立て続けに起こっている2024年、皆様ご無事でしょうか。ソワソワする時はいっとき情報を遮断して深呼吸して下さい。大きくゆっくり深呼吸して下さい。自分の精神の安定を確保するのも立派な仕事だと思います。


そんな2024年。二年続いた「稽古初日」シリーズも今年はなく、落ち着いた新年を送っております。恒例の年越しゲームはUbisoftの「ANNO 1800」でした。いわゆる「SimCity」タイプの街造りゲームです。いや、昨年のゲーム・オブ・ザ・イヤーを総ナメにした「バルダース・ゲート3」ももちろんプレイしてはいるのですが、不慣れなテーブルトークRPG系のゲームのため、中々にややこしくてゆっくりとプレイしておりました。10時間ほどプレイしたところでキャラを作り替えて頭からやり直したりね。
そんな大晦日、そういえばダウンロードしたままプレイするのを忘れていたのがあったなぁと「ANNO 1800」を思い出しました。PC版は評判が良くてずっと前から気にはなっていたのですが、PS5版が出たので喜んで買ったくせにすっかり忘れていたのですよ。忘れてたんかい。
私は街造りのミニスケープにめっぽう弱くて、やり始めたら止めどころを忘れて没頭してしまうほど大好物です。でもなんだか要素が多すぎて難しそうだなあ、まあ年末だしちょっと気分転換にやってみるか、みたいな軽い気持ちで初めて見たらチュートリアルもストーリー仕立てで意外と遊びやすい。ほうほうなるほどと遊んでいたら、案の定のめり込んでしまって気付いたらそのまま年越しですよ。

ただの街造りではなく、船を使った探検や島の開拓、他国との外交や交易が重要となる要素が多くて新鮮に楽しめました。いや、今も楽しんでおります。確かに要素は多いし戦争もあるけど、やれることが徐々に増えていくので覚えやすい。
ひとつひとつの島はそれほど大きくない上に、島ごとに収穫できる作物や鉱物資源が違うので、それぞれの島の間で輸送をしながら経済を発展させていくのが難しくも面白い。段々と慣れてきてコツも判ってきました。様々なクエストをこなしながら進めるストーリーモードも程よく物語があってモチベーションも上がります。
しばらくはこちらを中心にプレイしていこうと思います。


そして新年恒例の人気ひとけのない都心散歩、今年は日比谷公園辺りから内堀に沿って半蔵門に出て、新宿まで歩くというコースでした。法務省旧本館や国会議事堂、半蔵門など、様々な時代の建築を見ながら歩いているウチに大都会へと繋がるという時空トリップコースです。

桜田門辺りの法務省旧本館。エンデとベックマンの基本設計による明治28年竣工です。
そして霞ヶ関の官庁街が無人でした
国会議事堂前も無人
半蔵門前の新宿通りも閑散としておりました
途中で今年もお世話になるサンモールスタジオさんに寄ったりして

写真を撮ったり寄り道をしたりしながらの約9km、約2時間という手頃なコース。新宿に近づくとさすがに人は増えますが、中々に静かな都心でしたよ。


さて、前回も書きましたが昨年末には世田谷文学館で開催中の「江口寿史展 ノット・コンプリーテッド」に行ってきました。

江口寿史さんといえば、今では「キュートな女の子を描かせれば天下一品のイラストレーター」という印象かもしれませんが、私にしてみれば「ベタもシュールも自由自在なギャグ漫画家」という記憶の方が強いかもしれません。

入口からして江口寿史に乗っ取られています

私には姉がおりまして、その影響で子供の頃に読んだ漫画といえば少女漫画が中心でした。同世代男子ならば「ジャンプ」や「サンデー」などの少年漫画に夢中な頃ですが、私は「りぼん」や「ぶ〜け」などの集英社系や「LaLa」などの白泉社系の少女漫画ばかり読んでおりました。
だもんですから、今でもイラストを描く時にはこの頃の体験が影響しているように思います。Gペンによる強弱の強いゴリッとした線よりも、丸ペンによる繊細なカリッとした線の方が好きですね。いや、今の私が使っているのはロットリングの製図ペンなんですけども。

そんな私ではありますが、もちろん少年漫画を全く読まなかったワケではありません。友人から借りた少年誌を時々は読んでおりました。時々ってコトは飛び飛びってコトでして、つまりストーリー性の強い連載作品は追い切れません。となればどうしても一話ごとにオチが付くギャグ漫画の方が読みやすいってコトになります。
そんな中でも特に印象が強かったのが鴨川つばめさんの「マカロニほうれん荘」(少年チャンピオン)と江口寿史さんの「すすめ!!パイレーツ」(少年ジャンプ)なのです。
江口寿史さんといえば「ストップ!!ひばりくん!」の方が有名ではありますが、私はあまり読んでいないんですよね。でも、その後の「寿五郎ショウ」とか「江口寿史の爆発ディナーショー」などは大好きで、今でも単行本を保存しております。時にはアイデア一発なシュールさもありますが、勢いと画力で持って行かれるんですよね。

そんな江口寿史さんの、漫画家としての一面をメインに置いた展覧会が「ノット・コンプリーテッド」なのです。近年のイラストレーターとしての仕事ではなく、あくまでも漫画家としての仕事を中心にしているので、70〜80年代の漫画原稿やイラストなどが大量に展示されていました。
もうね、原稿です。生原稿の嵐です。瑞々しい線画がクッキリと描かれています。それに加えて鉛筆書きのセリフが残っていたり欄外の指定書きが残されていたりしてレア感満載です。

今にして思えば、背景のカラートーン一面貼りっぱなしとか衝撃的な驚きでした。江口さんが最初というワケではないのでしょうが、とにかくインパクトが大きかったことは覚えています。わたせせいぞうさんの「ハートカクテル」や、イラストレーターの鈴木英人さん、安西水丸さんなどと共にフラットな画面構成が流行した時代でもありました。
80〜90年代では特にバブリーな時代だったこともあって、先鋭的でオシャレなイラストが多かったように思います。ああ、なんだか浮かれた時代だったなあ。そんなコトも思い出しながら食い入るように見て回りました。漫画原稿を読んでオチで普通に笑い声を上げたりして。その本持ってるのにね。

そういえば、館内にずっと音楽が流れているのも画期的でした。展覧会会場では無音なのが通常というかそういうものだと思っていましたが、確かにBGMが流れていたって良いよね。良いはずだよね。
BGMは江口さん自身による選曲で、今風のシティポップというよりかは80〜90年代のシティポップ黎明期の曲が多めでした。山下達郎やサディスティックス、吉田美奈子、佐藤博とかね。もちろん私も大好きです。
会場に貼り出されているQRコードからそのプレイリストをダウンロードもできますが、有志の人がSpotifyにプレイリストを作って下さっていましたよ。ありがとうございます。

BGMも相まって会場は明るくポップな上に、ほとんどの作品の写真撮影もOKなところもありがたい。カッコいいやら懐かしいやらで、とはいえ全部撮影するワケにもいきませんから何枚かだけ撮影させて頂きました。

「すすめ!!パイレーツ!」最終回の原稿。これは良く覚えているなあ
カラートーン貼りっぱなしの雑誌表紙イラスト
そしてこれぞ江口寿史といったキュートなイラストたち
様々なアーティストのカバーアート。インパクトが強い!
缶詰にされていた旅館の再現。ラジカセなども当時のモノだそうです

「江口寿史展 ノット・コンプリーテッド」は世田谷文学館にて2/4(日)まで開催されています。昨年にはライブドローイングや音楽ライブも開かれていたようですが、今からでも本展にはまだ間に合いますので気になる方は京王芦花公園駅から行ってみて下さい。
ちなみに、世田谷文学館のすぐ横には烏山川跡も走っておりますから暗渠好きにもオススメです。もちろん私も当然のように川跡沿いに散歩しながら帰りましたよ。


じゃ、私は急いで街造りに戻らなくてはなりませんので、この辺で失礼しますね。
では、本年もよろしくお願い致します。