見出し画像

名盤ライヴ Someday

佐野元春 & THE BAND
2013年11月24日 大阪堂島リバーフォーラム

行けるかなぁ~?行きたいなぁ~、ではなくて、行くか行かないか。それが僕のスタンス。

6月末。Somedayアルバムを完全再現したライブが11月に東京と大阪で各2回開催されるというインフォメーション。佐野元春ならオールOK、残念ながら僕はその類のファンじゃない。まったく気がのらなかった。
ただ、いざ行こうとなった時チケットがなければ埒が明かないので、チケットだけは抑えていた。  

HIS SPECIAL BANDと名打たれた今回のバンドにダディ柴田の参加が決まった時、事態は変わった。
おそらく、こんな機会はもう何度もない。二度とないかもしれない。さらには、“プロフェッサー”伊藤銀次、西本明まで。この3人が佐野さんと同じステージに立つ。追い打ちをかけるようにH.K.Bメンバーでもある井上トミーのリハ後のTweet。
ようやくその気になった時には、東京公演まで1週間を切っていた。  

諸事情を鑑みて、日帰りを視野に入れると必然的に大阪第1部に。たまにはゆっくり行きたいな。大阪で佐野さんのライヴ、87年夏の城ホール以来だ。

堂島リバーフォーラムに着いたのは開場30分くらい前。午後の日差しが降り注ぐ会場前の広場にはすでに多くの人々が集う。この中の一体どれだけの人が今現在もリアルタイムで佐野さんの音楽を聴いているのだろう。貴方たち、カラオケ行っても佐野さん歌わんやろ。歌ってもそれこそSomedayくらいやろ、なんて思いつつ。しかし、“大人になった”僕たちには、正直、もうそろそろオールスタンディングはしんどい。あ、ティーンエイジのボーイズもいるぞ。  

ほぼ真ん中くらいのところに陣取って。いくつかあるバーの前。だから、しんどいってば。何かにもたれ掛からないと(笑)  

流れる音楽に耳を傾け、四方を観察。やっぱり“あの頃”熱心に聴いてたんだろうなって人が多い。すぐ後ろから「ドキドキしてきた」って聞こえて来た。なのになんなん?僕のこの驚くまでの平常心(笑)

ボーイズ・タウン・ギャングが流れ(I Love You Baby~♪)曲間にまもなく開演を告げるアナウンス。ヒートアップする場内。すでに携帯の電源オフっているので時間は分からないがもう定刻か。次の曲の途中に場内暗転するとスクリーンが降りて来た。

カレンダーが今日(11/24)の日付から82年5月21日へと遡るとターンテーブルにアナログ盤のA面がセットされ、ほぼ同時にメンバースタンバイ。盤面に針が降りる時バンドの演奏がスタート。  

シュガータイムを歌う佐野さん。なにやら、“ああ、どうしてラヴソングは…”とでもリーディングしそうな、眼鏡かけてはるわ。良ー見てみると古田マイティしーたかに(西本)明さんも眼鏡姿。  

みんな大人になったって感じ?(笑。COYOTEトゥワーでのMC風)  

2曲目の時”裏の主役”ダディ登場。Swing My Soul,Soul Yea!!この時のサキソフォーンに半泣きになる45歳。

3曲終わってMC。

「みんな泣いちゃいそうになるくらい楽しんでいって下さい」

ハイ、遠慮なく。
そして、ビルボードライヴでも見られたオーディエンスとのやりとり。

「この中に今日誕生日だって人いますか?」

場内の声を聞いて「結構多いね(微笑)」僕は心の中で「僕じゃないけど、王子が昨日誕生日だったよ、棟梁」と。

演奏が静か目だからか、バスドラ響くね、しーたかくん。
そして曲順どおりに進んで行きSomedayになると場内大合唱のいつもの風景。僕はコーラス隊です。
A面ラストのこの曲が終わるとその時スクリーンでは盤面を裏返す場面が映し出される。  

B面一曲目はSomedayアルバムの中で僕が一番好きな曲、アイム・イン・ブルー。いやしかし。これ、みんなで合唱する曲か?  

「アルバムSomedayがリリースされたのは1982年…だよね?(笑)」

その頃からファンだよって声に、

「うれしいなあ~! どうもありがとう!」

直後に挙った声に、

「何?銀次?いないよ!」「何言うか忘れちゃったよ(笑)」

場内も笑に包まれて。  

そして、1月の夜が静かに降りて来る11月の大阪(笑)。あれ、コーラスの男性、ジュリー(沢田研二)じゃないよね?(笑)  

曲が終わるとステージ上に椅子が用意されて、いるはずのない(笑)銀次さんが登場。この日のハイライトの一つだ。もったいないなあ、銀次さん。この曲だけだなんて。  

すべての演奏が終わり一旦幕が締められて、すぐさま開けられた時メンバーが横一列に整列。メンバー紹介。ダディが一番最後なのはお約束。そして最後に。そして最後に。そして最後に!  

アンコールの声を受け再び登場した“THE BAND”(佐野さんはバンドをそう呼んだ。)  

「確かにアルバムSomedayはサンチャイルドで終わった。だけど、(このライヴは)それだけで終わらせるわけにはいかない!」
「82年、もう一枚アルバムがリリースされた。大滝詠一プロデュース、ナイアガラトライアングルVol.2! その中から何曲か演奏します。」

あなたの望みは大きくなるから包みきれないの。棟梁曰く「良い曲だね。自慢しても良い?15歳の時に書いたんだ(微笑)」、
言わば曰く付きの曲、Love is Here。 僕は“ここに ここに 愛はここに”とコーラス。  

そして、

「彼がいなかったらこのアルバムはできなかった。もう一度呼んでもいい?」

銀次さん再び。ローディーさんが銀次さんにギターを渡している。  

出発間際にベジタリアンの彼女は…と言うMCはなかったけれど、僕はすぐさま先日観たFilm No Damageの一場面を思い出した。  

コーラス隊の堂島孝平くんから再びメンバー紹介。順に進んで行きしーたかの番になると、「彼はなんとデビュー40周年。それを記念したイベントが明日(11/25)東京で行われます。意気込みは?」「サイコーですね!」(←答えになってないよ、しーたか。笑)「来てくれるんでしょ?」と問いかけると「たぶん」と棟梁(笑)   

これを機にバンドにダディ復帰とか… ないか。拓ちゃんには悪いけどこのライヴだけはやっぱりダディじゃなきゃダメだと感じた。  

「Somedayコンプリートライヴ?そんな日が来るとは思わなかった!」

そして、このアルバムがこんなにもみんなに愛されていると言うことが分かって嬉しい、満面の笑みを浮かべて佐野さんはそう言った。  

今この時代にSomedayアルバムを完全再現する意味。僕には未だそれを見出せない。しかし、何より佐野さん自身が楽しんでる。それだけでいいじゃないか。  

ところで、31年前の再現の後に聴いているのは2013年の音。“信念のままに 迷わずに歩け” 余計にこの言葉が響いて来る今日この頃。

佐野元春(Vo)
古田たかし(Dr)・長田進(Gt)・佐橋佳幸(Gt)・Dr.kyOn(Key)・西本明(Key)
井上富雄(Ba)・スパム(Per)・ダディ柴田(Sax)・堂島孝平(Cho)・佐々木久美(Cho)

and  伊藤銀次(Gt)

■セットリスト(アンコールのみ)
Bye Bye C−Boy
マンハッタンブリッジにたたずんで
彼女はデリケート

※2013年12月執筆
#佐野元春  #ライヴレポート

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?