第4話 銃撃


「ちょっと、何やってんのよ。もっと飛ばして!!」


意を決して運転席に乗り込んでこうして車を走らせているが、何せ、免許がない。だから優良ドライバーになるしかない。


「追いつかれるじゃない!まさか、そのつもり?」

「んなわけないだろ!運転はできても免許がないんだ。安全運転してなきゃ、本物の警察に捕まる!」

「先にアイツらに捕まるわ。なんでこんなことになるのよ・・・」

「こっちのセリフだよ!」


バックミラーの中に見える車はやがて2人の車に追いつき、2人の前方に出た。ぶつかるかどうかの距離を保ちながら、後方座席の男は身を乗り出し発砲してきた。


「け、拳銃?ここ、日本だよ。こんなことってあり?」

「なんでもあり、なのよ。アイツらは!」

「しかし、どうやって本物の警官じゃないって見抜いたんだ?」

「制服警官じゃない他のヤツらの装備みた?マシンガン持ってる。そんな厳重装備で大事件なら手配されてニュースになってる。でもまったく騒がれてもいない」


わかったようでなにも。とにかく、どう逃げるか?が今は最優先だ。


「仲間に助けを頼めないの?」

「頼んでるに決まってるでしょ。バカじゃないの?」


ひどい言いようだな、まったく。


十字路に差し掛かる。ヤツらの車はその交差をもう過ぎようとしている。


「そこ、横に入って」

「右?左?どっち?」

「どっちでもいい!!早く」


怒んなよ、まったく。


なんとか撒いたか?少し安堵していたのも束の間、早くも後方に迫手がきてるのが見えた。


「しつこい!コスプレ野郎め」

「万事休すか・・・」

携帯電話に届いた通知を確認して安堵した様子のケイは言う。

「アイツらじゃないわ。助かった」


その後少し進んだ場所で止まる2台。


「もっと早く来たかったけど・・・遅くなった」


後の車から降りてきた女性はケイに言った。

また女性?彼女たちはレッドルーム※ のような何かの諜報部員か?
(※マーヴェル映画『ブラックウィドウより)

弾痕が複数残る車をざっと見渡して、


「ずいぶん“派手”ね。そんなんじゃ目立つ。こっちに乗って」


と顎で合図する。


「とりあえず撒いたけど直ぐにまた追ってくるわ。行きましょ」

長身の彼女は言った。


「ねえねえ、ちょっと聞いて聞いて。せっかく車用意してもらって、いざって時にさ、免許ありませーん!だって。呆れたというかさ・・・」

「え?でもオタク、運転していたわよね」

「運転はできる。免許がないだけで。だから仕方なく」

「下手なジョークでもぜんっぜんおもしろくない!」

「ずいぶんな言われよう(笑)」

「だろ?少しは年長者に敬意をもってほしいね。こっちは無免許で捕まるリスクを犯してまで運転してるのに」

「ねえ、アサミ。この人、ムカつくんですけど!?」

「あら、ずいぶん仲良しになったようね(笑)」


彼女はアサミって言うのか。ん?アサミ?なんだか聞き覚えがあるような・・・。



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