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僕らにはこの音楽がすぐ側にある

30周年アニバーサリーツアーPart2 全国クラブハウスサーキット“ソウルボーイへの伝言”
佐野元春&THE COYOTE BAND 2010年11月26日 熊本バトルステージ

「この街で演奏するのは3年ぶり?4年ぶり?」

途中、そう聞く佐野さんに「3年ぶりー!」って会場からの声。前回は2008年1月25日(SSBBツアー)、今回は2010年11月26日だから2年10ヶ月、約3年ぶりだ。
僕も頑張るので皆さんも頑張ってください、と言う前回公演の“佐野さんとの約束”。僕は果たせているかなぁ?少なくても果たすための努力はしてきた。今回は、佐野さん自身、これまでの活動の中でも初めてと言うライブハウスを回るツアー。全国クラブハウスサーキット「ソウルボーイへの伝言」と言うタイトルが付いた30周年アニバーサリーツアーPart 2。

仕事を早めに切り上げて熊本市中心部、上通りアーケードにあるライブ会場へ。この日は鹿児島の友人と待ち合わせ。アーケードに近づくとすでに開場を待つ人達が並び始めている。僕らも合流する。

前方に今夜のライブのインフォメーションボードを2人の学ランボーイズが眺めている姿が見える。微笑ましいと言うか、嬉しくなる。彼らは佐野さんのこと知ってるのかなぁ?
そして、友人には通りすがりの初老の女性が何があるのかと尋ねている。佐野元春さんのコンサートと告げると、ああ、佐野元春さん!という感じで何度もうなずきながら。

会場しますの声を聞き、歩を進める。熊本バトルステージが入るビルは改装中。会場の5階までは階段。20年近く前、麗蘭のライブの時は確か、エレベーター使ったなぁ。そして会場内へ。比較的若い整理番号。僕らは3列目くらいのところ、センターマイク付近に陣取った。ライブハウスだし、ステージにかなり近い。後方にはスクリーンが。何が映し出されるんだろう?

約5分押しでスタート。後方スクリーンに新春スペシャルドラマのスペシャルプレビューが「RADIO DAYS」をBGMに映し出され、終わると同時にコヨーテバンド登場。今回はコヨーテバンドオリジナルメンバーのみでスパムさんはいない。佐野さんは黒いシャツ姿。

ライブ序盤は昨年のコヨーテライブの再現。コヨーテアルバム頭から順に2曲終わった時点で佐野さんがドラムセット横のテーブル(佐野さんのドリンクなどが置かれている)に行き、何やら指示と言うか、小松くんに話しているように見える。そして3曲目は去年、僕ら(バンド)が初めて演奏した曲と言っていた「ヒナギク月に照らされて」。そうだよ、佐野さん。今僕らはここで幸せにイカレテルんだぜ。またアルバムに戻りライブは進んでいく。

熊本のセットリスト。コヨーテアルバムからピックアップされた曲は同じでも、他会場とは若干違っていた。他会場ではアルバム収録順に演奏されているが、熊本では「US」の後に「世界は誰のために」が演奏された。これは北による砲撃に対するメッセージでは?と感じたのは僕だけか?萩原健太さんとのJ-WAVE25での対談(2008年、佐野ロック VS 健太ロック)で健太さんが語っていた。「佐野さん、もっと怒ってくださいよ」。そんなことを考えていたからか、この2曲の時の佐野さんの表情は怒っているようにも見られる。砲撃の翌日博多で公演があったが、そこでも曲順はアルバム通り。単なる偶然、思い過ごしかなぁ。

中盤からは元春クラシックス。

「このメンバーでスタジオに入ってると、楽しいね(笑)」。

新作について、「80年代90年代の曲を今の解釈で歌ってみました。1月頃には皆さんに聴いてもらえると思います。ちょうど3,4日前にアメリカからマスタリングした音が返ってきました。何曲か聴いてください」と言うようなMCの後、「ジュジュ」、そして新作のタイトル「月と専制君主」。20周年ツアーでも披露されたバージョンでの「レインガール」。さすがに?みんな大人になったねとは言わなかったけれど、「僕は大人になった」と続く。
この時のツアークルーの若いスタッフたちの楽しそうな姿が凄く印象的だった。
ここからはさらに場内は大盛り上がり大会で、最近の定番MCの「歌ったり、踊ったり、楽しんでいってください」。そして、あと一曲踊れる曲をと、若干どもりぎみの佐野さんに場内微笑。そして「ダウンタウンボーイ」で一旦終了。

アンコールではギターの深沼くんと二人で登場。何演るんだろう?「フルーツと言うアルバムに入れました」、「THE BARNと言うアルバムに入れてます」とアコースティックでツアータイトルの「ヤア!ソウルボーイ」「ヤングフォーエバー」の2曲。「ソウルボーイ」は僕自身、初めてライブで聴くな。(このテキストを書いた当時はそう思ったが、実際には違った。)

2回目のアンコール。今度はバンドで登場。「街を歩いていると、クリスマスのイルミネーションがとても綺麗です」とMC。僕はここで感嘆の声。時期が時期だからねぇ~。佐野さん、前乗りしたんだ。

「この街でこの曲を演奏できることをとても嬉しく思います」

平和な街で 戦ってる街で。やっぱりメッセージ?考えすぎか?「クリスマスタイム イン ブルー」の終盤で“SANTA CLAUS is comin’ …This Town♪”と歌う佐野さんに場内大歓声。そうだ、元春サンタがやって来たんだ!
時期的にこの曲演奏されたと思っていたら、ツアー初日(10月末)から演ってるんだね。

そしてデビュー曲。いつもの赤いストラトじゃなかった。

ここで終わり?的な空気も若干ありつつ、「もう一曲いく?」

最近の熊本公演の定番MC。「30年前、火の国まつりというステージで初めて熊本で演奏して、6000人の人達がいたんだけども、拍手の一つももらえなかった…だけども、それでやる気が出たんだ!(笑)」

そして、

「この曲は80年代に書いて、そしていつのまにか僕の手を離れていった…」「でも僕の曲だよ!?」

とおどける佐野さん。

ダダン ダン ダン。小松くんのドラムに続き渡辺くんのキーボードが鳴る。熊本中が泣いた(映画の宣伝風。笑)。タクチャン(山本拓夫)がいないけれど、そのパートは佐野さんのブルースハープで。「SOMEDAY」、コヨーテバンドバージョンも好いなぁ!そして、マイクをオーディエンス側に向けるいつものムーブ。(一瞬ハウってました。笑)

もしも僕らが気高く名もない孤独でも、僕らにはこの音楽がすぐ側にある。

「熊本に行って元気に演奏するので、みなさん待っていてください」

9月末に発行された地元フリーペーパーのインタヴューでそう答えていた佐野さん。ほんとに元気いっぱいだった。

バンドメンバー紹介は早い段階だった。確か、2曲終わった時点。途中、「この街では初めてのお披露目です!THE COYOTE BAND!」。深沼くんのギタープレイ見てて思った。僕って、ギターロックが好きなんだなって。佐野さんは別格さ。あ、自己申告ですが、高桑さんと何度となく目が合いました(笑)。そうそう、終止ビデオ回ってたなぁ。

ライブハウス、良いなぁ! なんと言っても、ライブ後のビールが美味い!(笑)

「また間を空けずにこの街で演奏したいと思っている」

と佐野さん、言ってくれたしね!

■セットリスト
星の下 路の上
荒地の何処かで
ヒナギク月に照らされて
君が気高い孤独なら
夜空の果てまで
Us
世界は誰の為に
ジュジュ
月と専制君主
レインガール
ぼくは大人になった
約束の橋
ヤングブラッズ

ダウンタウンボーイ
ヤア! ソウルボーイ

クリスマス.タイム.イン.ブルー
アンジェリーナ
サムデイ

THE COYOTE BAND are
佐野元春(vocal,guitar,tumbalin,brucehearp)
深沼元昭(guitar)
高桑圭(bass)
渡辺シュンスケ(keyboard)
小松シゲル(drums)

サカグチマコト(backing vocal 熊本公演のみ。笑)

※2010年12月執筆 2015年4月加筆

#佐野元春 #ライヴレポート

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