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ファザーズ・デイ【Sandwiches #74】

 日曜日もひとり押し黙って過ごしておった、やあ、この週末は誰とも会わぬままに終わりを迎えようとしております。ちょっぴしさみしい気持ちもあるけれど、今日はタイトルの通り「父の日」だったもんで、家族とメールのやりとりなどする機会があった。

 父の日にしろ、母の日にしろ、これまでなにか特別なことをしてきた覚えはあまりありません。実家にいたころは手料理をつくったり(きまって手ごねハンバーグをふるまっていました)、皿洗いをしたり、あとは「いつも、ありがとう!」と定型文の礼を述べる程度のものでした。

 ただま、両親としてはひとり東京に出て音楽などやっているぼんくら長男のことはさぞかし気が気でないやろう、とくにこのウイルス渦にあってはずいぶんと心配をかけたから、今年はささやかな贈り物を送ることにしたのです。「こちらは元気にやっておるからねえ、過度に気にせずともいいからねえ」と、そういう宣言もこめて。

 で、なにを贈り物として実家まで送りつけようかと、そう考えたときに浮かんだのは、書籍でした。真剣に選書するものでもないが、なんとなく両親に送りたいなと思えるものを、自分の本棚にあるお気に入りから選ぶ(そちらの方がレコメンドしやすいですから)ことに決めた。

 先日の母の日には、講談社クレストブックスの短編小説コレクション『記憶に残っていること』(堀江敏幸 編)を母宛に。そして今日の父の日には、山と溪谷社から出ているフォト・エッセイ『山小屋ごはん』、ついでにトマトジュースを一箱添えて(どちらかといえば本がおまけの様相やけど)父宛に送りました。

 すぐに「届きました!」と喜んでいる写真付きで連絡があるもんだから、こちらとしてもうれしい気持ち。こりゃ、今後はことあるごとに実家には本を送ろうと決めた次第です。

 しかし、家族は抜きにしても「だれかに本を贈る」っちゅう行為はちょっぴりの緊張をも伴うものです。映画や音楽と同じように、ひとにはひとの趣味趣向がありますから、適当に渡したんでは気に入ってもらえないでしょう。えてして本なんてものは「読む」以外の方法で活用することなどほとんどできぬわけで、最悪の場合、当人にはいらない紙の束を押し付けるだけのことになってしまう。

 そのぶん、贈る相手の顔やふだんの様子、好きなもの、さまざまなことがらを思い浮かべながら注意深く選ぶことになるわけで……それは難儀でしんどいけれど、もちろん、同時にとても楽しい作業でもありますね。

 どれくらい喜んでもらえるか、どうや、そのあたり最後は相手次第。それでもわたしはときたま、このささやかな博打に挑むことにしています。

●本日の一曲

boy pabloからかわいいビデオが出ていたので貼っておきますねえ。

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