音楽について書こう 〜Maison book girl〜 (その0)
エコムスアイドルフェス2022というライブに行った。
2022.12.19 Zepp羽田にブクガが削除されて以来はじめてエコムスが絡むライブに行くことになった。ブクガのことしか考えられない状況だったので、理屈ではなく感情でエコムスとは距離を置いていた。
エコムスというのはMaison book girlが所属していた事務所でほかにもクマリデパート、クロスノエシスがいる事務所だ。ブクガの楽曲からコンセプトからをプロデュースしていたサクライケンタが社長をしている。
2020の中野サンプラザでのイベントのチケットもとっていたが、諸事情で行けなくなったので友人にお譲りした。2019に渋谷のO-EASTで行なわれたのが初開催だった。2021には行なわれていないので、今回は3回目の開催だった。
なぜ今回、自ら進んでエコムスに絡もうとしたのか、それはひとつの答えを知りたかったからなのかもしれない。サクライケンタの創る楽曲は原音ポップと言われていた。それはスティーブ・ライヒに大きく影響されているサクライケンタが、現代音楽をポップソングに落とし込み変調や変拍子など多用して作曲していた。その際たるかがMaison book girlであり、それに魅了されていた自分は昏倒していったのであった。そのエコムスを立ち上げるタイミング、ブクガの前に「いずこねこ」というユニットをプロデュースしていた。それはブクガで完成形とも言える原音ポップのはじまりだったのだ。いずこねことは、泉茉莉という方が演者として2011年から活動をはじめていた。ブクガがはじまる前、2013年にその活動は終わっていた。
ブクガの曲が好きだった自分はいずこねこまでさかのぼりよく聴いていた。ブクガとの関連性はないことになっているが、曲調や歌詞など正常に進化していったものだと自分は感じていた。その原点たるや、いったいどんなものなのか、それを知りたいのだ。
などと前置きが非常に長くなってしまったが、そのいずこねこが、このエコムスアイドルフェスで一日だけの復活を遂げるのだ。
なので、しばらく距離を置いていた現場へと行くことを決めたのであった。
会場に入り席に着く。ブクガのいないエコムスフェス。そう思うと何ともやるせない気持ちになる。エコムス所属ではないアイドルグループ3組のあと、所属ではないが最初のエコムスフェスから出席し続けているゲイアイドルグループ「二丁目の魁カミングアウト」の出番となる。この人たちはホントにパフォーマンスがすごい!観客を引きつける力が伝わってくる。少しやるせない気持ちを和ませることができた。
そしていよいよいずこねこの出番。サブスクやYouTubeでは見ていたものの、もちろん初見!なんといっても8年ぶりのステージなのだ。
グループアイドルしか出てない中、ただ一人での出演。しかしその存在感たるいなや……語彙力ないけど、すごい!観客全員を味方につけ、今までスピーカーからしか聞いたことの無いいずこねこがついに歌った!あたりまえだけどホンモノだ!サクライケンタのポップな曲、暗い歌詞を明るく元気に体全体を使って表現する。
これがあのいずこねこ!!!
声出し禁止で実際に誰ひとりと声は出していないけど、コールとミックスが脳内に流れる。観客との一体感!あれだけ元気に踊り飛び回るけど、しっかりと伝わる声量と歌声。リアルタイムの時代に聴いていたらどーなってたのだろう等と考えるが、いま目の前にいるのがホンモノのいずこねこなんだ。
ブクガから入ったサクライケンタの楽曲の原点、もちろん過去に戻ることはできない!でも自分の過去が改竄されるほどにブクガの前にいずこねこ有りきとなるほど、感情を揺さぶられるステージだった。
いろんな感情がいり混じり涙を流しながら腕を回していた。圧巻だった。いろんな感情が吹き飛んだ!
取り留めのない思いを持ったまま、エコムス所属のクロスノエシスとクマリデパートのステージを見て、フェスは終わった。
さて、特典会である。チェキ撮ってお話ができる。この満願の思いを直接いずこねこに伝えられるのだ。本当にすべてがつながったかのような思い。この気持ち、感謝を伝えられる。その溢れんばかりの思いを持ちつつ特典会の列に並ぶのだが、なかなか列がえぐい。ほかの列はグループだけど、いずこねこはひとりだ。それを考えるとかなりの列。これは本当にいずこねここと泉茉莉さんの人柄からくることだと思う。列でのオタク同士の会話を聞くと8年ぶりということで多くの人たちが再会を楽しんでいる。自分の順番が近づくのだが、8年間待ちわびていたその人たちといずこねこが話しているのが聞こえてくる。茉莉さんは本当にオタクたちと仲が良くて、信頼関係ができているんだなと感じた。再会を喜ぶ、相手の様子を聞いたり、オタクの近況報告を聞いたり懐かしい出会いに皆さんの会話も弾む。特典会でこれほどまでの光景見たことないな……本当にみんな会えて良かったなぁー。しかし新参者である自分も思いのたけを伝えたい!自分の分が回ってきて、なぜいずこねこにたどり着いたかを話せた。
特典会では購入者にサイン入りのポストカードが配られた。ありがとう。
もう恐らくこれが最初で最後であろう。しかし自分の「好き」の音楽の系譜、そして取り返せないはずの過去が手に入った満足感。そして演者とファンの信頼関係から受けた幸福感。おなかいっぱいになれた。
ただただ感謝でした。
過去はもちろん戻らない。でも直接ブクガの前の部分を感じることができた。自分の中でなにか答えの一部が埋まったようだった。なので今回のタイトル、出会う前の歴史を知れたと言う意味での「その0」なのだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?