物書きの音。vol.4「雨の輪郭」

物書きの音。
2020年の年明け頃に書いたものです。
Googleドキュメントに眠っていたものを、投稿してみます。


「雨の輪郭」

雨だ。
雨が降っていた。

降っているのが、見えるか見えないか、くらいの強さ。

傘をさすか、ささないか、迷う、それくらいの強さ。

何も考えずに歩く。

目の前に見えることも、頭の中に浮かぶことも、どこか遠くに置いて。

どこか遠くで、たくさんのスクリーンに映像が流れるみたいな。

近くの高架道路では、車がびゅんびゅん走ってる。
そんな音が聞こえる。

この街に来て、雨が降る日は暖かいことを知った。

雨の日の、空気の柔らかさが好き。
雨の日の、ちょっとゆっくりになる感じが好き。

あれ。
世界がにじんでみえる。
雨で世界がにじんでる。

流されてしまいそうな、不安定さ。
掴めるようで、掴めない。
雨の輪郭のような、曖昧さ。

曖昧さのなかにあるきらめきが、今日もわたしを動かしていく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?