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【夢の欠片詩】「顔のない女」

いろんな夢をる たくさん見る
どれも これも
なんのつながりもないのだが
主人公がぼくである物語が 延々と
ぼくの頭の中で勝手に上映される
夢というスクリーンを ぼくは見ている

目覚めたときの記憶は あっという間に拡散
どこかに行ってしまう
少しだけ残る欠片を
ぼんやりとした頭で メモし拾い集める
夢の――ぼくが見た夢に
何かの意味が きっとある
そう思うから 欠片を拾う

今朝の夢――
目が覚める直前まで
ぼくは長いながい物語の中にいた
どんな話だったのか どんな話でも
目が開く瞬間まで
ぼくは物語の主人公 それは間違いない

女と一緒に居た
どこで会ったのか
ネットの世界を通じて―いわゆるマッチングアプリ―
いやいや そんなんじゃなく 出会い系サイトでの で・あ・い
30歳くらいの女
ぼくから見れば ずいぶんと若い女 高身長170センチはある
すれ違えば 振り返って顔を確かめたいような 美しい女
好みのタイプ 夢の中――だもん
ぼくと一緒に歩く どこをどう歩いたのか……
下り坂 階段を降りて行くと
彼女の体が飛び ゴロゴロと落ちていった
驚いた――すぐに駆け下りた
彼女は 長い手足をバタバタさせる
それが止まった
顔を見た
顔がなくなっていた
目も 鼻も 口も 消えた――
だが 彼女は生きている
ぼくはその体を抱き起こし
また一緒に歩き出す
顔のない女を連れて
あの美しい顔はない
それでもぼくはどこかへ 行こうとする

ひどく周りから視線を浴びている

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