note「街を読む」について

 「書を捨てよ町へ出よう」とは寺山修司が言ったそうだけど、本は捨てたくないし街は面白い。歩いていると興味をそそるモノがいっぱい、街は宝の山だ。心ゆくまでコレクションした後は、本で知識を深めよう。座学もフィールドワークも同じくらい大事だ。

 note「街を読む」は、Sergey "Kumagusu" Yanapongski(セルゲイ・ヤナポンスキー、やなぽん)による、北海道岩見沢市(や札幌市など)を主なフィールドとしたマンホール鉄蓋など雑多な路上観察、そして趣味と仕事(研究)を兼ねた北海道近代史に関する小文をあつめたnoteです。

 岩見沢市は、北海道の中では道央・南空知地域に位置します。道都札幌からはJRの普通列車で50分ほどかかる、人口7万5千人弱(2024年8月現在)の地方都市です。明治~戦前にかけては、三笠や夕張の炭鉱と札幌・小樽方面をつなぐ鉄道輸送のハブとして大いに栄えましたが、現在は札幌のベッドタウン的な、よくある田舎のおとなしいマチになっています。道内でも豪雪地帯として知られ、冬は身長以上の高さの雪山が道路と歩道の間に積まれるのが当たり前の風景となり、NHKなどのテレビでもしばしば全国ニュースとして取り上げられます。

岩見沢市の位置

 そんな地方の小さなマチの路上にも、ただ通り過ぎるだけでは気にも留めない、けれどもよく見ると興味深い、路上観察の対象が多く潜んでいます。それらを見つけ出し、鑑賞し、同好の士に共有することが、路上観察趣味の愉しみとなっています。
 また、「北海道は歴史が浅い」とか、甚だしいと「歴史がない」などと言われることがありますが、そんなことはありません。確かにアイヌの人たちは文書での記録を残していませんが、彼ら彼女らが生きてきた証はyukarやattusなど口承文芸や身の回りの物品として、また北海道内に多く見られるアイヌ語由来の地名として、現代に伝わっています。また和人は、松前地などごく一部を除いてほとんどの場所は明治以降の入植になりますが、近世末期の紀行文や明治期初期の開拓使文書を初めとして多くの記録が残されています。北海道に歴史はあるのです。それも濃密に凝縮された、特に近代日本の歴史が。

 このnote「街を読む」では、私の路上観察や北海道近代史(郷土史)に関する文章を公開していきます。拙い文章ですが、少しでもこうしたことに興味・関心を持ってくれる方がいれば、とても嬉しいです。

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