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地域ケアと町中華

最近、社会的処方という言葉が我々の界隈で話題になっていました。

「社会的」+「処方」

なんじゃそれという感じなんですが、「処方」という言葉はやっぱり薬をだというイメージなので、医者が患者さんに出すものが「社会的」つまり社会とつながっているという意味です。

薬以外のものを医者が指示する、つまり、地域にある社会資源や福祉のサービスなどに患者さんをご紹介することだと私は思っています。

なので、その社会的処方をするが地域にたくさんあるのがいいだろうということになります。医者もその先を知っていないといけないし、地域も豊かな資源があってほしい。

医者が指示するなんて偉そうだという話もありますが、診察室で気づいた時にはやっぱり誰かに頼みたいわけなので、「処方」という言葉は悪くない気がします。

で、私は多分、その「社会的処方」する先をつくっている気がしています。クリニックの周りに何かあったらすぐに行けるのかなと思いながら、2階でも保健室やこども基地やいろいろと作ってしまっているのです。もちろん地域にないものを。


荒川に住んでいて本当に良かったと思うのは、中華料理屋の豊富さです。コロナのためにこの2年全く行けていないのですが、テイクアウトなどを利用して思うのです。中華料理屋のその奥深い世界に魅了されています。

私の専門である家庭医療はなんでも診るなんでも屋として皆さんに役立とうと思っているのですが、これはまさに町中華のなんでもある感とほぼ一緒だということに気付きました。ごはんものに麺類に一品料理にデザートにビールにチューハイとまさに全方向。しかも安くて量が多いのが売りですから、まさにジェネラリティ。家庭医=町中華説を唱えたいぐらいです。

とくに西尾久は町中華天国で、私が好きなのは、定食が美味しい「栃木屋」、もう閉店してしまったけれど奥の座敷が楽しい昭和町の「五番」、ほかにもそこかしこに中華屋が。お腹が空いた時にはよく行っていました。ちょっと足を伸ばして東尾久の「一番」とかもうとにかくたくさんあります。最近ではテレビに出た「永新」も女子医大通りにあります。

といって結局食べ物のことを書きたいだけだったりしますが、荒川区のような下町であっていいなと思うのが、中華料理屋に銭湯、クリーニング屋にパン屋、ケーキ屋さんが点在していることです。それらをつなぐことで街が出来上がっていて、ご近所で用が済むというか、大きなスーパーがなくても歩ける範囲で生活できたんだと思います。家庭医もそんな歩ける範囲の患者さんを対象にして医療ができたらいいなあと思っているので、まさに地元密着の共通点ここにありというところでしょうか。

最後にいくつか写真をのっけて終わろうと思います。ぜひお近くの町中華で楽しく飲っちゃってください。

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