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溶接 『レーザ溶接肉盛り』

 「今日からモノ知りシリーズ とことんやさしい レーザ加工の本」著者片山聖二 2019年1月30日 初版1刷 日刊工業新聞社 発行の本書はとことんやさしくありませんでした。(笑)本書全8章の構成はわかりやすいですが中身がやはり初学者にとってはむつかしいです。

今回は『レーザ』の幅広い加工方法の中で、本書 第5章 レーザで表面を改質 項目44で紹介されている肉盛り(レーザクラッディング)について思うところをしたためます。

本書は、本書では加工分野での記述が主ということで『レーザ』という言葉が使われています。レーザは金属やプラスチック、セラミックス、ガラスなど、どのような材料でも、いとも簡単に加熱、溶融、蒸発をさせることが可能なため、様々な加工に利用されます。

上記の現象を利用して、肉盛り(クラッディング:cladding)、ろう付(ブレージング:blazing)、はんだ付け(ソルダリング:soldering)、焼き入れ、溶接、切断、穴あけ、マーキング、クリーニング、3Dプリンティングなどの実際の加工が説明されています。

 業界用語で肉盛りという言葉を使っていますが『牛丼屋の大盛』とか『肉多め』という意味ではありません。笑笑 肉盛りを簡単に言えば、『基本の母板の上に別の金属を溶かせてその金属を載せて熔接することで、その熔接した場所がじょうぶになるようにつくるということです。

例えば、ズボンの膝が破れたあとに膝当てを貼って丈夫にしたり、ズボンが破れるまえに膝当てを貼ってズボンを丈夫にするようなイメージです。

この肉盛りの仕事をしているところが、私の知り合いの顧客になりますが、そこではドイツ製の最新鋭のレーザ熔接機をランクごとに3台導入され、日々の業務に使用されています。

この最新鋭機は、溶接場所へのピンポイントへの移動が容易でスピードが速く、0.1mmの極小ワイヤ材を使った熔接(肉盛り)が可能で、従来の溶接場所への調整に時間がかかっていた作業を短縮して効率と高精度の仕事(肉盛り熔接)に転換、成功されています。

また業務のほかに溶接アートとして作品をつくったりもされておられて、ご興味のある方は下記吉村熔接所ホームページをのぞいてみてください。吉村熔接所(URL: http://www.yoshimurayousetsu.jp/)

以上がレーザ加工の肉盛り熔接(レーザークラッディング:laser cladding)に関しての内容でした。



補足説明

肉盛りとは材料表面に金属や合金、化合物、混合物などの粉末を塗布する方法もしくは、粉末またワイヤを供給しながら基板表面(母材)をあまり溶融させずに供給添加物の溶融凝固層を形成する方法です。 
高機能表面とは、熔接することでその熔接した場所がじょうぶになるということになります。(今回の場合は耐摩耗性などの表面特性を基板(母材)に持たせるということです。)
肉盛りの特徴:①低入熱処理で高品質な局所溶融部が生成され、母材(金型など)の劣化が少ない ②母材の希釈が少ない合金層が生成 ③密着性の良い合金層が生成 ④厚膜の生成が可能 ⑤高速加工、処理が可能 ⑥自動化が容易で品質の安定した加工処理部が形成 ⑦ニア・ネットシェイプ(near net shape);製品に近い形の肉盛り部の形成 ⑧熟練者が不要、等です。


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