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【本人訴訟シリーズ】本人訴訟で未払い残業代を請求する

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未払い残業代問題を取り上げます。自分だけの力で労働審判を起こしてブラック企業から未払い残業代を取り戻す!そのための実務的なノウハウや労働審判手続申立書など書面の作成について解説し…
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#残業

証拠説明書の書き方~その1~

労働審判の申立てに際して作成・提出する書面については、第12回のコラムで説明しました。そのうち、まず「労働審判手続申立書」の書き方について、第14回、第15回、第16回、第19回、第20回、第21回、第23回、第24回のコラムにて、私の申立書の事例を書き出しながら、詳しく解説しました。また、労働審判手続申立書のテンプレートを(有料ではありますが)第25回のコラムで提示させていただきました。 今回から数回にわたっては、証拠説明書の書き方について解説していきたいと思います。

「固定残業代制」で残業代をごまかされるな!

前回のコラムでは、会社(雇い主)による「裁量労働制」の悪用に対抗するポイントについて解説しました。今回は、やはり、悪用されてしまえば、未払い残業代が発生する恐れのある「固定残業代制」について述べたいと思います。 「固定残業代」とは、読んで字の通り、あらかじめ固定額として設定された残業代です。労働基準法上の規定がある「裁量労働制」とはちがって、「固定残業代制」には法律上の定めがありません。なので、固定残業代制は、法律に基づく制度ではなく、雇用契約ないし就業規則や賃金規程による

「裁量労働制」で残業代をごまかされるな!

未払い残業代を請求された会社(雇い主)が労働審判や民事訴訟で「あなたとは労働契約を結んでいるわけではないので、あなたは従業員じゃない」、「あなたは課長なので、あなたは管理監督者だ」と主張してくることがあります。ともに、未払い残業代を請求された会社がその支払いを免れるための戦術。それぞれの反論ポイントは、前々回のコラムでは「労働者性」、前回のコラムでは「管理監督者性」について解説しましたので、そちらを参考にしてください。 今回と次回のコラムでは、やはり残業代の支払を避けるため

「管理者には残業代は出ない」にだまされるな!

今回のコラムで言いたいこと。それは、「課長や部長など管理職には残業代は支給されない」は必ずしも正しくはないってことです。 労働基準法第41条には「労働時間等に関する規定の適用除外」が定められています。その同条2号に基づけば、管理監督者や機密の事項を取り扱う従業員であれば、残業をしても普通残業については割増賃金を支給する必要がありません。これを「管理監督者性」と言います。確かに、労働者が管理監督者であるならば、普通残業代は支給されないということになるのです。  しかし、だか

「労働者」じゃなければ残業代は支給されない!

労働審判手続申立書の次は証拠説明書の解説に入りたいと思いますが、切りが良いので、ここで、いくつか大切な用語について説明をしておきたいと思います。今回は「労働者性」についてです。 「労働者性」とは、「法的に労働者として捉えられるための適格性」くらいの意味に考えてください。 私は、このコラムシリーズの第一回で、「労働者なら、法律で定められた一日の労働時間は8時間。8時間を超えて仕事をすると、それは時間外労働になります。時間外労働をすると、労働基準法にしたがって割増賃金(残業代

労働審判手続申立書の書き方~その8~

前回のnoteをもって労働審判手続申立書の本文の説明を終えました。「当事者」「請求の価額」「第一 申立ての趣旨」「第二 申立ての理由」それぞれの箇所について、私が実際に使用した申立書をもとに説明しました。今回は、申立書の一部としてみなされる「証拠方法」「附属書類」「別紙」について解説していきます。 やはり、私の申立書から該当箇所を抜き出します。 ================================== 証拠方法 甲第1号証  雇用契約書 甲第2号証  給与支給明

労働審判手続申立書の書き方~その5~

まず復習から。第19回noteで解説したように、割増賃金(残業代)を算出するための計算式は、      割増賃金(残業代)=基礎賃金×割増率×所定外労働時間 です。基礎賃金はいわゆる時給。割増率の最低ラインは労働基準法第37条1項に基づいて1.25(会社によっては、就業規則や賃金規程で割増率を1.30など高めに設定しているところもあるかもしれません。)。所定外労働時間は残業をした時間。例えば、時給が1310円として、ある月に残業を合計20時間したとします。であれば、その月の

賃金請求権の消滅時効は2年!

今回も、前回と同じくちょっと休憩して、労働審判手続申立書の書き方から少し離れたいと思います。今回は、賃金請求権の消滅時効についてです。 まず、賃金とは、労働基準法第11条によれば、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」とされています。給料、残業代、アルバイト料、時給、日給、報酬など名称はともかく、正社員・契約社員・アルバイト・パートタイマーなどといった立場に関係なくいかなる人(労働者)にも、その提供した労務の対

雇主に対するペナルティとしての付加金

第14回、第15回、第16回のコラムでは、労働審判手続申立書の書き方について、私が実際に使用した書面を書き出しながら解説してきました。続いて、立証活動の中核である申立書の「申立ての理由」欄の解説に入っていきたいと思います。 でも、その前に、今回はちょっと休憩して、これまでも何回か出てきている「付加金」について解説しておこうと思います。 付加金は、残業代を支払ってもらっていない従業員・労働者にとって、いわば「切れ味鋭い懐刀」のようなものです。確かに切れ味は鋭そう。でも、あく

労働審判を選択するメリットとリスク

前回までのコラムで、労働審判についておおまかにはご理解いただけたでしょうか?今回は、法律や訴訟のことをあまり知らない労働者が本人訴訟を起こすにあたって、民事訴訟ではなく労働審判を選択するメリットとリスクについて書いていきます。 労働審判には民事訴訟と比較していくつかのメリットがあります。原則3回以内の期日で終わるので、解決まで時間が短い。訴訟の提起に比べて収入印紙代と郵便切手代が安いので、費用面でお得。時間とお金。確かに、これらはメリットと言ってよいでしょう。しかし、私は、

労働審判と民事訴訟の違いとは?

今回は、労働審判と民事訴訟の相違点について述べていきます。 まず、費用面での違いです。訴訟にかかる費用については、【本人訴訟で未払い残業代を請求する(3)】で解説しました。民事訴訟なら「訴訟費用+実費+弁護士費用」となるところ、労働審判では「申立て費用+実費+弁護士費用」となります。そして、労働審判を本人訴訟で申立てる時の費用は「申立て費用+実費」のみ。 とりわけ、民事訴訟の「訴訟費用」と労働審判の「申立て費用」。両方ともに、基本的には「収入印紙代+郵便切手代」の合計と考

本人訴訟は不利なのか?-最も大切なのは事実を立証すること

本人訴訟は不利なのか。読者の皆さまはどのように思われますか? 原告たる労働者が本人訴訟を起こす一方で被告たる会社に代理人弁護士が付けば、「原告たる労働者本人 VS. 被告代理人弁護士」という構図になってしまいます。労働者には弁護士は付かないのですから、訴訟の経験と法律の知識についての原告・被告間の差は圧倒的かつ一目瞭然でしょう。前コラム【本人訴訟で未払い残業代を請求する(4)】で書いた通り、労働者には「必要な弁論ができないために、本来持っている権利にもかかわらず、その保護が

本人訴訟のデメリットは必要な弁論ができないリスクがあること

今回は本人訴訟のデメリットについてお話しします。 提訴の手続きがわからない、争点がわからない、どのような証拠を用意すればよいかわからない、法的な主張ができない、法律や判例を知らない、裁判官や被告代理人弁護士の言っている意味がわからない、主張や反論が感情的で争点に関係ないものになるかもしれない、事実関係や法的な主張を訴状や書面でうまく表現できない。まず、こういったテクニカルな問題が起こってくるでしょう。そうすると、必要な弁論ができないために、本来持っている権利にもかかわらず、

本人訴訟のメリットは費用を節約できること

今回は本人訴訟のメリットについて書きたいと思います。一番わかりやすいメリットは、やはり、費用を節約できることです。 ここで、民事訴訟にかかる費用の説明をしておきましょう。民事訴訟にかかる費用は「訴訟費用+実費+弁護士費用」の合計です。 第一に訴訟費用。訴訟費用とは提訴にあたっての収入印紙代のことです。例えば、被告へ請求する額が300万円なら、2万円の収入印紙が必要です。そして、予納する郵便切手が6千円分。原告が郵便局で収入印紙と郵便切手を購入、印紙は訴状の正本に貼って、切