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【本人訴訟シリーズ】本人訴訟で未払い残業代を請求する

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未払い残業代問題を取り上げます。自分だけの力で労働審判を起こしてブラック企業から未払い残業代を取り戻す!そのための実務的なノウハウや労働審判手続申立書など書面の作成について解説し…
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2019年10月の記事一覧

雇用契約書と就業規則、どちらが優先?

前回まで労働審判手続申立書・証拠説明書の作成方法やその内容について解説してきました。次は、申立人(ないし原告)の労働審判手続申立書(ないし訴状)を受けて相手方(ないし被告)が作成・提出する答弁書について解説していきたいと思います。 ですがその前に、私自身の本人訴訟から学んだ知見をいくつか紹介したいと思います。今回のnoteは「雇用契約書と就業規則」についてです。 雇用契約書とは、雇主(会社)と従業員の二者間で、賃金や勤務時間などの労働条件を明確にするために締結する契約書で

本人訴訟で未払い残業代を請求する(44)-証拠説明書の書き方10【給与支給明細書】

今回のnoteも前回に続き給与支給明細書についてです。 口座振込での給与支給に関する通達(平成10.9.10 基発第530号)によれば、給与支給明細書では①賃金の種類毎の支給額、②差し引かれる控除額、③控除された後の差引支給額の3つが明示されなければならないとされています。通達は法律ではありませんが、これら3項目が給与支給明細書に記載されることは当たり前でしょう。 一般的に、給与支給明細書は「勤怠」「支給」「控除」の3つのパートから構成されています。 「勤怠」パートには

本人訴訟で未払い残業代を請求する(43)-証拠説明書の書き方9【給与支給明細書】

雇用契約書とタイムカードと給与支給明細書は最強の証拠3点セット。今回から給与支給明細書について解説していきます。 まず、給与(賃金)とは、第18回noteで解説したように、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」(労基法第11条)です。そして、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(以下略)」(労基法第24条1項)、「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。(以

証拠説明書の書き方~その8~【自己申告勤怠管理表テンプレート付き】

今回のnoteがタイムカードについてのラストの解説です。 まず、おさらいから。第36回noteで述べたように、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない」と労働基準法第109条に定められています。タイムカードなど勤怠記録は「労働関係に関する重要な書類」に相当します。また、労働安全衛生法の改正(「第66条の8の3」の追加)では、雇主には、従業員の労働時間の客観的な把握が義務付けられています。