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【本人訴訟シリーズ】本人訴訟で未払い残業代を請求する

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未払い残業代問題を取り上げます。自分だけの力で労働審判を起こしてブラック企業から未払い残業代を取り戻す!そのための実務的なノウハウや労働審判手続申立書など書面の作成について解説し…
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2019年6月の記事一覧

「管理者には残業代は出ない」にだまされるな!

今回のコラムで言いたいこと。それは、「課長や部長など管理職には残業代は支給されない」は必ずしも正しくはないってことです。 労働基準法第41条には「労働時間等に関する規定の適用除外」が定められています。その同条2号に基づけば、管理監督者や機密の事項を取り扱う従業員であれば、残業をしても普通残業については割増賃金を支給する必要がありません。これを「管理監督者性」と言います。確かに、労働者が管理監督者であるならば、普通残業代は支給されないということになるのです。 しかし、だか

「労働者」じゃなければ残業代は支給されない!

労働審判手続申立書の次は証拠説明書の解説に入りたいと思いますが、切りが良いので、ここで、いくつか大切な用語について説明をしておきたいと思います。今回は「労働者性」についてです。 「労働者性」とは、「法的に労働者として捉えられるための適格性」くらいの意味に考えてください。 私は、このコラムシリーズの第一回で、「労働者なら、法律で定められた一日の労働時間は8時間。8時間を超えて仕事をすると、それは時間外労働になります。時間外労働をすると、労働基準法にしたがって割増賃金(残業代

労働審判手続申立書の書き方~その8~

前回のnoteをもって労働審判手続申立書の本文の説明を終えました。「当事者」「請求の価額」「第一 申立ての趣旨」「第二 申立ての理由」それぞれの箇所について、私が実際に使用した申立書をもとに説明しました。今回は、申立書の一部としてみなされる「証拠方法」「附属書類」「別紙」について解説していきます。 やはり、私の申立書から該当箇所を抜き出します。 ================================== 証拠方法 甲第1号証  雇用契約書 甲第2号証  給与支給明

労働審判手続申立書の書き方~その7~

第21回のnoteまでに、労働審判手続申立書の主要部分についての説明は終わりました。第16回のコラムで「第2 申立ての理由」の構成を示していますが、残りは「5.付加金の請求」と「6.申立てに至る経緯・概要」の箇所です。 まず、私が使用した申立書の当該箇所を書き出します。 ================================== 5.付加金の請求 相手方は残業代の支払い義務を履行していないことから労働基準法第37条1項を遵守しておらず、このことは同法第114条の要

労働審判手続申立書の書き方~その6~

第16回、第19回、第20回のnoteで、労働審判手続申立書の「第2 申立ての理由」の「1.当事者」「2.所定労働時間、及び基礎賃金」「3.残業の実績」まで解説してきました。これで「当事者の定義」⇒「事実関係の明確化」ができたわけですから、次は「(相手方の)支払義務の主張」です。その主張をするのが、申立書の「4.未払い残業代の請求」の箇所です。では、解説していきましょう。 まず、(1)残業代請求に際しての基礎賃金。ここのまでの申立書の記述から、「年間の給与の基礎額÷年間の所