道岡みちお / ディレクター

少しずつ離れていく友達、岡田との出来事を綴ります。 記憶を遡りながらなので、時系列やデ…

道岡みちお / ディレクター

少しずつ離れていく友達、岡田との出来事を綴ります。 記憶を遡りながらなので、時系列やディテールは曖昧。 僕にとって大切な友達であり、友達だった。

最近の記事

#7 こだわりの塊

皆から愛される岡田。 そのキャラクターを紐解いていこう。 まずは岡田の好きなものをざっと上げていく。 音楽 昭和歌謡全般 吉田拓郎 キャンディーズ 映画 寅さんシリーズ 小津安二郎 成瀬巳喜男 脚本家 山田太一 倉本聰  男性芸能人 森繁久弥 女性芸能人 伊藤蘭 これだけみていると、今年40歳とは思えない渋いチョイス。 興味を示さないもの ・食 ・ファッション ・車 ・スターバックスコーヒー 気に入ったものを使い続ける。(物持ちが良い) ・僕が中学校時代に使っていたラ

    • #6 岡田の代表作

      鳥取の海を眺め、君は何を思う。 赤坂にあったシナリオの学校で、遅れてきた青春を取り戻していた話を前回したが、決して遊んでばかりいたわけではない。アルバイトをしながらシナリオの執筆に励んでいた。 シナリオを提出をすると、皆が翌週までに読み、教室で批評を受ける。それを書き直しの指標とし、仕上げていく。最終的にはコンクールに応募することが多いのだが、それは賞の受賞がシナリオライターになる大きな一歩となるからだ。 学校に通う生徒には大きく2つの傾向に分けられる。 書きたいものが

      • #5 青い春

        鳥取の海を眺め、君は何を思う。 僕はそれまで「青春」というものには縁がないと思い、諦めていた。 高校卒業後、役者になるために上京。大学進学という口実で福岡から出てきた。理系の大学に通い始めて最初のゴールデンウィークから行かなくなった。友達もいなかった。僕は自分からそれを捨てたのだと思う。 だから午後の陽光に輝く校舎の中庭で友達と過ごすというようなキャンパスライフを連想させるものから、目を背けてきた。 赤坂にあったシナリオの学校は、ただ単純にシナリオを勉強しようと思い通い始

        • #4 僕≒岡田

          鳥取の海を眺め、君は何を思う。 岡田との15年以上の日々を振り返ると、いくつかの期間に分けられる。 コロナ禍を過ごしたここ数年を滞留期だとすると、その黄金期はやはりシナリオの学校に通っていた頃だろう。 学校は週に2日なのだが、岡田とは週に5日会っていた事もある。 学校終わりにいつものメンバーと居酒屋で終電まで呑むのだが、稲城市に住む岡田は終電が早い。なので彼が解散まで飲めるように、品川に住んでいた僕のところに泊まるようにして、メンバーとの語らいの時間を少しでも稼いだ。帰り

          #3 あいつとの出会い

          鳥取の海を眺め、君は何を思う。 20xx年春。 当時赤坂にあったシナリオの学校に通い始めて、しばらくが経った頃。 1クラスにおよそ30人。そのほとんどは昼間働いている社会人で、スーツ姿の人もいれば、学生服の人もいた。年齢でいうと、おじいちゃんから孫までの世代をカバーする大所帯。 その中で僕はというと、当時は配送のアルバイトをしていた。 福岡から上京し、役者を目指して養成所に通っていたが、芝居をするうちに脚本の重要性を感じ、次第に書くことへの興味を持ち始めた。それから役者

          #2 岡田という男

          鳥取の海を眺め、君は何を思う。 岡田という男を一言で表すと、 「神様の指令により地上で修行している天使」 と言ったところだろうか。 40歳独身、派遣社員。 東京の稲城市にある家賃4万円台のアパートで一人暮らし。 右隣にはお爺さん、左隣にはお婆さんが住んでいる。 女絡みでこしらえた借金は100万ほど。 と言っても、異性関係が激しいというわけではなく、僕と知り合って20年近くになるが、その間に彼女がいたことはない。 身長は小柄で体型は普通。 見た目に頓着せず、大体いつも同じ

          #1 師走の告白

          鳥取の海を眺め、君は何を思う。 昨夜、下北沢の居酒屋で忘年会があった。 そこで聞いた今年最後のバッドニュース。 きっとこれは2024年の幕開け以降も、僕の生活に影を落とすことになる。 その動揺は未明頃も僕を揺さぶり続け、目覚めたのが午前5時。未だにグラつく心を鎮める手段として、noteを始めた。 僕は以前、シナリオ(脚本)を学んでいたことがあり、この日集まったメンバーもそれにまつわる面々だ。長年テレビドラマを中心に活躍してきた師匠の篠塚女史。来年にデビューを控えている狩野