2020.04.14

まだ食欲は完全に戻って来ていないが、無性にお刺身が食べたくなった。
妊娠中は避けなければならなかった。でももう生魚も生焼け肉も大丈夫。
彼の作るなめろうが好きなので、食べたいとダダをこねたら、立派な縞ゾイと、まだ生きている甘エビを買ってきてくれた。
暇なら捌いてみる?って聞かれたけど、ソイは背中の棘が怖いし、顔とか大きくて、こんなの私どうしていいかわからない。
とはいえ確かに暇ではある。そしてコテージのキッチンは、自宅と違って広くて使いやすい。
棘は先にハサミで切って落とせば良いし、頭も取ってくれると言うので、三枚おろしだけ頑張ってみることにした。
普段、キッチンが狭いことを理由に、頑なに魚の処理をしたがらない私だが、出来ない訳じゃない。
上手くはないが、そう下手という程でもなく、無難に三枚にして皮を引けたので彼は拍子抜けしたようだ。キッチンでキャッキャウフフしたかったのか……気がつかなくてまじスマンかった。

それよりも私がうまく出来ないのは、まだ生きているエビを剥くことだ。
ぎゅんぎゅんするし、身から殻が上手く剥がれない。無理してすぐ身がちぎれてしまう。
でもさすが本職だけあって、彼は器用に剥いているので、コツは?と聞いたら「海老と呼吸を合わせる」と謎の答えが返ってきた。
海老の呼吸……Σ(゜ロ゜;)!!
その日一日、彼の渾名が海老の呼吸の使い手、海老柱と呼ばれていたのは言うまでもない。
(そして海老の呼吸がまったくわからない私は、海老の呼吸の継ぐ子にはなれそうにない)

コテージのキッチンがかなり本格的だし、厨房みたいでカッコイイのを、彼は随分気に入っているのだけれど、なかなか食欲が戻らない私のせいで、ほとんど使えていなかった。でも今日は私の大好きな、具のほとんど入ってない茶碗蒸しも作ってくれたり、料理が出来て楽しそうだ。
彼が本当は毎日退屈してるんじゃないか心配だったので、少しほっとした。

水曜どうでしょうを見ながら、彼が若い頃に、イキって一人で海外旅行してた話しや、バイクでアメリカを横断したいという話しを聞いた。日本一周もだが、彼のいつか絶対やりたいリストに入ってる事なので、体力作りに筋トレを怠らないのは立派だ。でも旅の仲間に私が含まれていないのが、ちょっぴり寂しかった。

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