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令和五年十月二十四日ジロキチ詞章

もうやめてください

祈りとかもういいから
さかしまなことはやめてください
あざやかできれいな服着てても
あざとい君の嘘はいつかばれるよ

本当のこと隠す
うつろな言葉はやめてください
うつくしい顔、それ見せるなら
ひとの気持ち知ってくれ

ひざまづいてももそれは無理だね
あなたの犬はもうとうに川を越えたよ

腕を組んでももうそれは無理だね
あなたの犬はもうとうに町を過ぎたよ
まぼろしの夢の国から魅力的な笑顔、見せても
あなたが言ったいまの台詞
やばすぎだよ

笑いとかもういいから
さかしらなことはやめてください
あざやかにいままた萌えだした花に手を伸ばし

ひざまづいてももうそれは無理だね
あなたの犬はもうとうに死んでいるんだ
いつわりの愛を語って人と人の絆、説いても
鏡の前のあなたの顔
やばすぎだよ

コロナ節

なにもかもがくだらないのは
夜の町の皆が知ってる
だけど歌声はいまも響いてる
ジャジャジャジャーン

女たちはドレスきらびやか
楽士たちは銀のタキシード
楽屋、出番前、注射打ち合ってはじける

屯田兵たちが鼻ふくらして行く。
今生から裏返り、すぐサヨナラだよ
中島らも、聞こえるか?
みんな朝から晩まで飲みづめだ。

よろける足で世間の舞台
踏んでライト浴びて歌えば
人は愉しげな意味を弄び、
ダンスしてホール、愛が飛び散った
マスクつけろよ

愛の流行歌、恋の盆踊り
歌え、酔い痴れて
踊れ、咳き込んで
今日の花吹雪、明日の石礫
今日の花吹雪、明日の石礫

あふれるよろこび

渇いたときは水飲んで指の先みつめてみたり
小さな家の窓際で君のこと思ってみたり

それは初めての少年さ、フラフラボロボロさ
惨めな愛のかたち
上になっても、それでもずっとやまない五月雨
白い花が雨に濡れて滲んだ愛しさ

山の中ではぐれて
空を見れば虹が出てた
遠くに

それは素晴らしい少年さ、キラキラクラクラさ
意外な愛のはなれわざ
下になっても鳴り響くずっとやまない音楽
長い指が闇に触れて激しく奏でて
あふれるあの、あふれるあの、あふれるよろこび


ゆれていた花びら

このまま真っ直ぐ行って左に曲がれば家に着く
左に曲がらず俺がよろめいて咳きこみ駆け込むのは
四時過ぎ、まだ明るい飲み屋

掃除が終わったばかり。ピカピカ光ってすべる床
酒のんで忘れる、君の嘘を。それでも俺、悲しかったよ

南から風が吹いてきて揺れていた花びら
長いまつげがとれても暫くはきれいだよ
境目を超えて燃え上がる人間の篝火
君の姿が照らされ俺、眩しかったよ

その輝く瞳
紅い唇
細い肩を
ながめて俺、苦しかったよ

南から風が吹いてきて揺れていた花びら
髪がほどけて揺れても昨日よりきれいだよ
左から右に過ぎていく人間の毎日
君の笑顔が浮かんで俺、寂しかったよ
俺、悲しかったよ
君がこわれて解けてく
花が風にまた揺れる


世界は祈りでできている

人がいろんな場所から現れ消えていく
君はトランク提げあのバスに乗りこんでいく

バスはひた走っていく輝く闇のなか
君は眠ってしまって楽しい夢を見て

今日はいろんな事実を伝えるよ
頭からっぽだけども見てくれ
聞いてくれ今夜

子供たちが嘘をさけぶ
晴れた日には祈りだよ
悲しみは

いつもいろんな場所から伝えるよ
誰も喋ってないけど聞こえるよ
頭からっぽだけども僕たちは
高いベランダから飛び降りても死なないよ

子供たちが嘘を叫ぶ
夢の中で夢を叫ぶ
雨の日には雨が叫ぶ
晴れた日には祈りだよ
世界

誰も止まったバスから降りてはこなくて

だから君は今日も神を見る

カネがなけりゃ君の明日はない
生きていてもなんの意味もない
寒い日には花に穢れてる
花のなかでひとり痺れふるえて

狭い場所に潜り込んでいく
水が溢れ、滾り、迸る
早い安いやつをぶちこんで
インスタントすぐに神を視る
ありがたいよ春の夜の夢
点と線をMENにぶちまける
価値がなけりゃどれも全部クズ
老いて朽ちてすぐに消えていくのさ

君は笑って、あどけない顔で、大好きだって、誰にでも言うよ

勝ちも負けもいまはついにない
だれもかれも悪い汗をかく
たきぎ背負うくらい道のロバ
パンも葱も恋も愛もない
なにもかもが夜のクズになる
夜のクズが意味と嘘になる
意味と嘘がメシの種になる
メシの種が白い花を咲かせて

金持ちたちは、なにげない顔で、愛してるって、誰にでも言うよ

君の顔は今は豚の顔
君の脚はついに豚の脚
君の息はもはや臭すぎる
だけど君は今日も出掛けてく
だれも彼も君が大好きだ
君は今日も白い服を着て
笑顔うかべゴミと媚を売る
速い深い君の愛の渦
君はいつもそうだ裏切りと
禿とバカとデブを抱きしめて
狭い道に奴ら誘い込み
意味と罪の犬を撃ち殺す

だから君は今日も神を見る
だから君は今日も神を見る
だから君は今日も神を見る
だから君は今日も神を見る
だから君は今日も神を見る
だから君は今日も神を見る
だから君は今日も神を見る
だから君は今日も神を見るんだ

ながれ節

言葉話す小さい馬は
人を乗せてトボトボ歩く
水を飲んで暫く黙り
首を振ってたてがみ揺らし、歩く

暗い道を静かに進む
小鳥飛べば睫を伏せる
道の向こう、林が燃える
人の影が揺らいで消える、義に渇いてる人たち

つくられた優しさが寂しさを打ち消して流れ出す

雨が降れば少しは急ぐ
泥の中に蹄が埋まる
濡れた身体、毛皮のうえを
雨の雫、流れて伝い、落ちる

人のために汚れて生きる
つらい嘘に黙って耐える
風が吹けば言葉も消える
高い嶺に白雪積もる、あの光ってる坂道

つくられた優しさとつくられた得意顔
ながれだす峰の雪、流れ出す過去の夢
ながれだす、溶けていく、ながれだす、消えていく

夏服の女

花は滅んでやばいくらい空が青い眼裏に
天子踊つて流れていく銀の粒

破れ傘を吁差してる夏服の女
今はもう十二月凍え震へてる

星に祈りを捧げ夏服の女、
人の道に跪き罪に汚れてた

正義盲いてむなしいくらい空が青い眼裏に
天子踊つて風をはらむ絹の襯衣

暗い夢を追ひ続ける夏服の女
愛おしさに気がちがい子供捨ててきた

智慧は眠つておそろしいくらい空が青い眼裏に
天子踊つて揺れて光る愛の意味、
問はれて辿り着いた空の果てで、
今は静かに今はおやすみ、吁吁


おどり狂ふ君ダウン花を抱いて

正しい聲が国に響いて誰にも会へなくて
弁天だけが今日の生き甲斐パイプに詰めてゐる
つめたい沼に溺れ沈んで此の世が溶けていく
夢の通い路あと少しでつながりそうだつて

君、こりずに走つて
君、こりずに踊つて
君、こりずに歌つて
君、こりずにくるよね

物語なら十日あまりで容易につくりだす
木偶人形に言葉与へて輪にして踊らせる
しおれた花を拾ひ集めて心を飾りつけ
乱れた髪で顔かくして無価値な真実を

君、こりずに握つて
君、こりずにしやぶつて
君、こりずに動いて
君、こりずに行くよね

「近くで見たら不細工だったね」
「いまさら気づいたの?」

もらつた命、叩き返して十字架用意する
逆縁ながら油注いで蹴飛ばし指を詰め
二千年間の人の恨みを二秒でチャラにして
命と意地と清い心と最後の真実を

君、またもや探して
君、またもや剥がして
君、またもや渡して
君、またもや来るよね

君、こりずに踊つて
君、こりずに狂つて
君、こりずに

おどり狂ふ君ダウン花を抱き儲けなしでターン


枚方節

山の中から出てきたよ、ソーレイ
暴れまくるぜバキバキだホンマのこと言やまずいのか?
背に負いたる観音菩薩
俺の心はきれいだぜ
ヒーラヒーラと彼岸花
風に吹かれて唄って踊る
バカだよねー

鼻の穴から出てきたよ、ソーレイ
いつもニコニコ阿呆らしわホンマのこと言や辛いのさ
回り続けるオランダ風車
持続可能のタコ踊り
飲み過ぎた茶碗酒
頭いたけりゃもう一杯呑めよ
バカだよねー

アー、阿呆だよねー

京阪電車に乗って二人で地獄に行こう
汚い心のなかに綺麗な悲しみ育て
「あそこの立て札みろ」
「なんにも書かれてない」
果てない山越えてもまだ枚方か

唄の中から出てきたよ、ソーレイ
広い世間は賑やかでホンマのこと言や楽しいわ
とかく此の世はダンダラ模様
なにがなんだかわからない
ウーカウーカと浮き草が
水に漂い流れて消えた

一度生まれてヨサホイのホーイホーイ
二度目生まれてのヨサホイのホーイホーイ
三度生まれてヨサホイのホーイホーイ
四度生まれりゃヨサホイで今夜もなんとかやれるかな
アァ、バカだよねー


世相

無難に生きる道探し奇矯の森に迷い込む
インチキ野郎の猿芝居うっとり眺めるクズ女

コンビニ袋ヘナヘナと風に吹かれているわいな
環境保護のバカ殿にエッサホイサと貢物

夜逃げ四回バックレ五回
アカ消し逃亡十二回
二十五年の昇り降り

NIKEの靴もすり減って女房子供ひもじかろ
スタバで飲んだコーヒーが家計圧迫パパブブレ

いつも気になる空模様たまにゃ気になる御政道
インスタグラムの更新は日に四十回と少ないめ

夜逃げ四回バックレ五回
アカ消し逃亡十二回
二十五年の昇り降り

寄ってらっしゃい見てらっしゃい
今宵限りの御開帳吹くは大風呼ばうは嵐
在所のことはもういいぜ

貧乏も因果も吹き飛ばせ

茶ァ行かへんけ?
言ふてみたのは十八年前
追ひ手に帆掛けてあの日の君が
小雨のなかで揺れてゐた

その三年後
知らんホテルでまた出会つてゐた
仏も見放す、昔の俺に
木枯らし吹いて後がなかつた

カネ呉れへんか?
イカしたねぇちゃん

昔はさうさユキちやんと
金もないのに湯豆腐して
二合三勺、キスしたら
おぼろ月夜に意味が芽ばえた

なんにもないと知りながら
両手合はせて拝んでみよう
花よ咲け、花になれ
花は咲いたら、枯れるだけ
雨よ降れ、風よ吹け
貧乏も因果も吹き飛ばせ

もう忘れたか?
昔のねぇちゃん

その場のノリでユキちゃんは
知らん男としゃぶしゃぶして
腕をからませ頬寄せて
スパナふりあげどつき回した

暮しの手帖、読み込んで
生きてなんぼだ、自由になれよ
花よ咲け、花になれ
花は咲いたら枯れるだけ
雨よ降れ、風よ吹け
歴史も文化も押し流せ

時代の空気、過去未来
暗い定めを横ちょにかぶり
雨のなか、風のなか
貧乏も因果も男も女もよたれそつねならむ


縁のめばえ


金がない奴あ、馬鹿にされる
金がない奴あ、隅を歩く
金がないから水を吞んで
栄養ないから骨よわい

金がある奴あ、羽振りきかす
金があるから、威張り散らす
金がある奴あ、女たちにも持てまくる

たまの休みは南千住
笑いころげる、どてかぼちゃ
君の彼女はどこの生まれなの?

今日も今日とて南浦和
腐乱したよな艶姿
君の彼女はなんの仕事なの?

俺は生まれて四十二年ただの一度も嘘つかぬ
それが嘘だと世間は言うが、本当なんだよ
東京、サイパン、米子

流れ流れてやってきた、ここは地の果てアルジェリア
みやこ官女、なれの果て、惚れたはれたの明け暮れに
社長大尽、相手せぬ、好きなお方と何処までも

君は莫迦だよ、君は莫迦だよ
君は莫迦だよ、君は莫迦だよ
君は莫迦だよ、俺もバカモノだよ

金がないから人生終わる、頭かかえたパンクマン
金はないけど楽しくいこう、ガンジャくわえたラスタマン
金があってもいつかは死ぬる、暑さ寒さも彼岸まで
金はこの世の果報の徴、夜ごと日ごとの賑わい、
縁のめばえ


つらい思ひを抱きしめて

会へない日は会へないけどでもそれでも会ひたい
会へるならとリュックサック背負つて
嘘を言つて、やばいカネを集めて
追ひ詰まつて、遠い空を眺めてたんだよね

ボウフラ売りに身を落とす若旦那
星の彼方を見つめて生きてた
悲しい思ひは今すぐ忘れてしまはう
甘い記憶に酔ひ痴れて夢を見ながら漂つていく

会へないなら、会へないよ、と最初から言つてよね
会へるかも、とお化粧して出掛けて
大事なもの、嫌だつた、だけども
あなたのためゲス野郎に渡してたんだよね

ウクレレ片手に歌つた女の子
星の彼方を見つめて泣いたよ
悲しい思ひが今でもビートを刻む
時の流れに流されて夢のかけらが漂つていく

順番、譲つて笑つた幼い子
君の両手に抱かれて死んだね
あの子の祈りがいまでもこの世を揺らす
つらい思ひを抱きしめて
時の流れに逆らつて

会ひたい、ああ、会ひたい、ああ、
いま勇気を出して
重い扉をこじあけて
光のなかへ飛び込んでいく



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