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医療の大衆化

私の目標。そして私自身がそんな医者であるように振る舞いたい、いわば行動指針のようなもの。

先日の夜遅く、こんなことがありました。
患者さん(女性)のご家族からメッセンジャーで私に連絡あり。伺うと、お母さまの話し方がちょっと変だと。本人は入れ歯が合ってないからだと言っているけどと。ご家族は大丈夫の一点張りだけど、ご家族は心配で、双方のおもわくが噛み合わず平行線だったようです。
チャットでやりとりすると、どうも脳卒中が怖い。リアルに見たほうが早いと思って、時間は遅かったのですがテレビ電話でやり取りすることに。
『おばんでございます』
「あら」
『なんか、いつもより呂律がまわってないんじゃないですか?』
「入れ歯があわなくて、なんともないのよ」
『両手をバンザイしてもらえますか』
「はいはい」
などなど、あれこれやりとりしました。遠方の患者さんだったので、盛岡までは来れませんから、近隣の総合病院にすぐ受診してもらうことにしました。その数時間後連絡があって脳梗塞疑いで緊急入院。さらに翌日の詳しい検査で脳梗塞と診断と。ひとまず早期発見、早期治療で良かったと安堵しました。

この話を、私の美談にするつもりは毛頭ありません。ご家族が思い切って私に連絡してくれたからこそ、次に繋がったので、その意味ではご家族の勇気を称賛していただきたいと思います。
そう、勇気なんです。

仮にかかりつけ医であっても、夜遅くに連絡するって、きっと勇気が必要。やっぱり医者は敷居が高いというか。だから、今回のご家族もそれなりの勇気をもって、私に連絡してくれたと思うのです。

でも、私はそういう勇気を不要にしたい。勇気を振り絞らなくとも、医者に気軽に相談できること。相談だけではなく、同じ住民同士としてざっくばらんに語り合えること。結果、健康面について、安全で安心、願わくば豊かな日常が送れるようになればいいなと考えています。

医療機関が地域で遠い存在(陸の孤島)ではなく地域と陸続きであること。何かあれば駆け込んだり、何もなくともふらっと立ち寄れたり。
医者が地域の中に普通に溶け込み、普通にあること。

私はこういうのを「医療の大衆化」と呼んでいます。

私は、患者さんやご家族には、緊急連絡先や個人携帯、メールなどをお伝えしています。いつでも連絡くださいと。診療所にも診察以外でもどうぞと伝えています。でも、まだまだ気軽まではいきませんね。もっと、もっと精進が必要です。


話は患者さんに戻って、現在入院中のこと。早期退院を願っていますし、また外来で元気に語り合えることを楽しみにしています。私はかかりつけ医として、一人の患者さんに太く、長く、ずっと伴走したいと思っています。


ちなみに写真は男子の大先輩と同じポーズで。
大衆化だなぁと思ってるのは私だけ!?


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