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【エッセイ】9月の亀島一徳「〜この一球は、絶対無二の一球なり〜ビーダマン亀島」

9月上旬。引っ越しがひと段落して…と言いたいところだが、全くひと段落しなかった。新居が、忍者ハウスだったのである。一体我々に何が起きたのか…順を追って説明しよう。

まず、8月中に亀島と筆者は内見を行なっていた。もちろん、現在住んでいる新居の、である。8月の内見がどんなものか、皆さんは想像できるだろうか・・一言で、地獄である。長いこと人の出入りがなく蒸し風呂状態の部屋の中、しかもカーテンがないため日の光はこれでもかと入っている。もちろん、エアコンは付かない。玄関を開けた瞬間我々を襲う熱気…部屋に入って数秒で命の危険を感じた。

※全国の大家さんには、空室にカーテンをつけることをお勧めしたい。じゃないとそのうち死人が出る。

死と隣り合わせの状況だったが、我々は気を引き締めて内見を行なった。絶対に欠点を見つけてやるぞと目を光らせたにもかかわらず、良いところしか見つからない。その部屋は、素晴らしかった。家中に取り付けられた意味のわからない棚、大きなシステムキッチン、そして、なぜか二段だけ階段を降りる寝室・・・ここだと思った我々は、すぐに契約に進んだ。そして8月の終わり、意気揚々と荷物を運び入れた我々は、新居で一休みしている時にあることに気づく。

「なんか・・変じゃない・・・?」

連日の引越し作業の疲れで目眩でもしているのかと思ったが、ポカリも飲んでいるし、部屋の中も涼しい。なんだ・・この違和感は・・・その時、亀島一徳が動いた。

コロコロコロコロ……トン

ガムテープを転がしたのである。この時点で、筆者はまだ亀島の行動の意味がわかっていなかった。何事かと思い亀島の顔をみると、親友にペットを殺された直後のような顔をしていた。

「これは・・ちょっと待って」

亀島はいつも、なかなか結論を言わない。「なんか」とか「あの〜」とか言いながらはぐらかすのである。何故だ。何故早く言ってくれないのだろう。立ち上がった亀島は、部屋の別の場所に立ち、再度ガムテープをそぅっと床においた。

コロコロコロコロ……トン

「やっぱり…」

やっぱりなんだよ。何故結論を言わない。「何?!」と叫びそうになった時、遂に亀島が審判を下す。

「傾いてるよ、この家」

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