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アランマーレ熱烈応援ブログ「編集長のひとりごと side アランチャ vol.14」

【Prepare to Victory-準備-】

東北地方に、冬がやってきた。市街地こそ積雪はないが、遠くに見える山並みは雪化粧を施し、さらに強い冬将軍の訪れを待っている。我らがアランマーレは今シーズン、絶好調。酒田ホームから始まった連勝を5まで伸ばし、臨んだ群馬銀行戦では、第1セットを奪う最高の出足を見せるも、その後ミスから崩れ、最後は1-3で今シーズン初黒星を喫した。悔しさを隠さない選手たちの横顔には、勝利への渇望がいまだ消えず、熱い闘志を燃やしたまま、今シーズン2回目のホームゲームである、天童ラウンドに乗り込んだ。

[DAY1 12/4]

天童市はこの日、灰色の雲に覆われ、時折雨がぱらつく天候。しかし懸念された積雪は無く、酒田から快適なドライブで山形県総合運動公園へと到着した。数人のファン仲間とあいさつを交わし、フロアへ。プレス席に腰を下ろして練習を眺めていると、真っ先にあいさつをしてくれたのは、柳沢紫子選手。この選手、本当にいつも礼儀正しい。私なんかただのアマチュアカメラマンだってのに、わざわざ頭を下げてもらって恐縮しきり(笑)「シイコさん、本当にいつも通りだな~」とつぶやき、カメラに望遠レンズを装着した。この日の対戦相手は、フォレストリーブズ熊本。好選手・白岩蘭奈選手を擁する攻撃力に秀でたチームである。とはいえ、アランマーレも今シーズンは圧倒的な攻撃力を標榜し、そしてそれを体現している。攻撃力が売りのチーム同士、負けられない戦いの火ぶたが切って落とされた。

熊本は昨シーズンのリーグ加入後、いまだ勝ち星に恵まれていない。言い方は悪いのだろうが、現在上位にいるアランマーレにとって、絶対に落とせない一戦。圧倒して取りたい・・・そんな試合だった。しかし、幕を開けてみると、熊本の粘り強い・・・というより本当にボールを落とさない、We never drop the ballというVリーグの横断幕に書いてある通りのプレーが展開され、アランマーレは思わぬ苦戦を強いられる。1セットはじめこそ、メソマチや菅原里奈などの高いブロックが相手の攻撃をシャットアウトするも、その後粘られ、最後まで突き放す展開に持っていけないまま、1セット目を辛くもものにしたといった印象だった。

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迎えた第2セット、1セット目に感じた悪寒のようなものが現実となって襲い掛かる。熊本の猛攻に遭ってペースを乱されると、焦ったかのようにスパイクを打ち下ろし始める選手たち。普段なら巧みにブロックアウトで得点を陥れているはずの場面でことごとくブロックにやられて一時は10点差をつけられてしまう展開に。こうなってくると、なかなか引き戻せないのがかつてのアランマーレ。そんな展開からの逆転負けを、古参のファンなら何度か目にしたことがあるのではないだろうか。くしくも4年前だったか・・・同じ天童HGでの群馬銀行戦、2セット先取からの悪夢のフルセット逆転負けも確かこんな感じだったと記憶している。思い出したくない展開が頭をよぎった瞬間、ブザーが鳴った。サイドラインをまたいで笑顔でコートインしたその選手は、朝、自分に挨拶してくれたあの選手。天才肌のミドルブロッカー、柳沢紫子だった。

とはいえ、柳沢が送り込まれたのはミドルとしてではなく、サイドアタッカーとして。誰がどう見ても、これ以上ない重苦しい空気。他の選手たちがその重圧に押しつぶされそうになっている中で・・・

柳沢だけが完全に別次元だった。

果たして”シイコ劇場”が幕を開ける。ミドルと連携しての時間差、2シーズン前にブロック賞を獲得した天才ブロック、そしてミドルならではの移動攻撃まで飛び出し、あれよあれよという間に10点差を縮め、アランマーレは大逆転で2セットを取った。実は私が一番しびれたのは彼女のサーブ。外したら流れがまた一気にあちらに行ってしまうという場面での、柳沢が放つボールの走り方・・・もともとサーブの名手である柳沢だが、まさにぶっつけ本番での「ゴン攻め」っぷりに鳥肌が立ちっぱなしだった。柳沢の活躍、そして同じく途中投入されてしっかり結果を残した前田美紅の活躍もあり、アランマーレは苦しみながらも3セットを立て続けにとってストレート勝ち。シーズン6勝目とホームゲーム13連勝を達成した。

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この日のVOMはもちろん、柳沢。ヒロインインタビューでの久しぶりの笑顔。試合後にエキシビションを控える教え子「アランマーレジュニア」とのやり取りもほほえましかった。

ホテルに帰ると、どっと疲労が押し寄せる。それくらい熊本との戦いは甘いものではなかった。夢うつつになるなかで、思い出されたのは練習見学での柳沢の姿。彼女はどんな時も手を抜かない。スタメンを外れていようとも、常に自分が試合に出たらどうするか、自分が投入されるのはどんな場面かを想定して日々の練習に臨んでいると、私は素人ながらに思っていた。私の知人がよく口にする言葉「練習でできないことは試合でできない」。柳沢を見ているとそれを思い出すのである。彼女はいつも臨戦態勢。その証拠に、コートに入った瞬間に目の色が変わる。そう、勝利への準備はいつでも万端整っている・・・そんな選手が、スタメンの背中を押しつつも、自らの出番を虎視眈々と狙っている。それを思い知らされた1日となった。

[DAY2 12/5]

前日の苦戦を頭に描きながら、2日目の会場へと向かう。この日は日曜日。隣の陸上競技場では、モンテディオ山形のシーズン最終戦が行われるということで、運動公園内はモンテブルーに埋め尽くされていた。「いつか国体もこんな感じでオレンジ色一色にしたいな」と思いながら、体育館へ。目の前でアップする選手たちの表情と動きは、昨日とは比べ物にならないくらい軽く、明るかった。対戦相手は大野石油広島オイラーズ。オイラーズとはいつもフルセットになるというイメージがあるが、この日ばかりは「すっきり勝ってもらわんと、年が越せない!」というファンたちの思いに選手たちは躍動で答えを返してくれた。

口火を切ったのは、セッター投野ひかる。はっきり言うが、彼女のサーブは魔球である。左右に揺れてから落ちるのだ(時々伸びたりもする)。あの弾道は実にエグい。この日も連続サーブポイントで、チームに勢いをつける。

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アランマーレのサーブは投野からはじまり、木村友里、伊藤摩耶と続く。いずれもサーブの名手で、この3人が続くなんて相手チームは嫌だろうなと思う。伊藤摩耶も、ほとんど狙撃レベルのサーブを次々に放ち、また流れが膠着したところでは強烈なクイックを打ち込んでは要所で勢いをチームにもたらした。

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またこの2日間を通じて印象的だったのは初日の柳沢も加えた、サブメンバーの活躍。久しぶりの出場となった尾花、そして副キャプテンの草島も、役割をきっちりとこなし、監督の期待に応えた。

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尾花の高いブロードとブロックは試合の終盤を締めた。

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草島のサーブには「祈り」という言葉が似合う気がする。祈りは通じ、相手のレシーブは大きく乱れ、得点をもたらした。

特に危なっかしいところもなく、3-0ストレートで試合をものにしたアランマーレ。この日のVOMは木村友里。トップスコアラーでもあり、決めてほしいところで確実に決める決定力、そして安定したディフェンス力はチームの要そのもの。そして、ファンへの感謝が色濃く表れる彼女のインタビューは見ていて心が温かくなる。

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本当に、強いチームになったものである。誰か一人に依存するでもなく、スタンドプレーに走る勝手な選手もいない。調子が悪い選手がいれば、それを監督はじめスタッフが即座に察知し、交代選手を送り込んでは、その選手が活躍する。

「全員バレー」

この言葉が本当の意味で似合うチームが、今のアランマーレだと思う。全員というのは、何も選手・スタッフだけじゃない。スミコさんも言ってたけど、会社から駆けつけてくれた人、試合運営に協力しているバレーボール協会の皆さん、スポンサーの皆さん、そしてファンも含めての「チームアランマーレ」が一丸となっての今の強さなんだなと強く感じた2日間となった。

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今回柳沢選手が体現して見せてくれた「勝利への怠らぬ準備」。これ、いい形でチーム全体に伝播していってほしいと思う。年内リーグ戦は終了。年明け1週目もアランマーレは試合がない。疲れた体を休めながらも、次の戦いへの準備を着々と進めてほしい。

とはいえ、今は少しだけ、勝利の余韻にも浸ってほしいと思う。だってシーズン7勝、そしてホームゲーム驚異の14連勝だぜ?こんな誇らしいことははないよ!

これからもどんどん行こう!アランマーレ!!俺たちファンも応援の準備は怠らないぜ!!!

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