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アランマーレ熱烈応援ブログ「編集長のひとりごと side アランチャ vol.11」

【Welcome Back ―おかえりー】

読者の皆さん、大変ご無沙汰しております。世間を騒がせ、苦しめ続けているコロナウイルスは、私という元記者からも、さまざまなものを奪っていきました。その最たるものは、取材機会。そして撮影機会。試合がないことには、こんなブログを書く意味もないわけで(笑)練習見学について書けばいいのかもしれませんが、公開しているとは言え、基本的にチームの戦略に関わることは、私という素人が書いた拙い文章とはいえ、その端からも外には漏らしたくないもの。特に今シーズンは、各チームの動きが見えにくいだろうだけに、練習について書くのはやめようと思った次第。

そして、シーズンがスタート。しかし今シーズンは、有料チャンネルとはいえ、試合の模様をVリーグが中継してくれるため、私より数十倍も目が肥えた方たちも、現地に行かずともその試合展開を目にすることは叶うわけで。なのでアウェーもツイートするに留めていました。

しかし・・・ホームゲームはそうはいきません(笑)2試合がっちりこの目で見て、会場の空気を吸い、雰囲気を感じて撮影・取材をこなしたわけなので、思ったところをここで書かせてもらおうと思う。昨シーズンまでと違い市の記者ではなく、チームのプレス(ボランティア)として入っているため、試合後の記者会見には出席しておらず、選手のコメント等はありませんのであしからず。

〔DAY1 千葉エンゼルクロス戦〕今シーズンのホームゲームは、観客数が1/2に制限される。アランマーレの本拠地・酒田市国体記念体育館の2階観客席には、1席飛ばしに段ボールで作られた人型が配置され、その間に観客は座るスタイルとなった。しかも声出し応援が禁止。国体名物「アランマーレ大応援団」の地鳴りのような声援は、今シーズンは残念ながら聞くことができないのだ。そんな中、アランマーレはいつも通りに会場に降り立ち、淡々と準備を進める。前座の小学生の試合を撮影しているとき、会場に到着した選手と目が合い会釈を交わす。冷静だ。これは期待できると直感した。

大事なホーム初戦の相手は、千葉エンゼルクロス。選手たちのノリ、雰囲気共に非常にいいチームで、勢いに乗った時に止められない・止まらない印象があるチーム。公式練習の後、キッズエスコートもなく、静かに試合は開始された。序盤、活躍を見せたのは榎本里歩選手と小泉春葵選手の新人コンビ。昨シーズン内定選手ながらレギュラーに定着した驚異の新人榎本と、笑顔の破壊力同様、いやそれ以上にライトからの攻撃の破壊力が驚異的な小泉の2枚看板は、片方のサイドに的を絞らせない、恐怖のセットと言える。実際1セット・2セットは2人の活躍が非常に大きかった。

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加えて「ビューティフルブロッカー」菅原里奈選手は、持ち前の高さとスピードを存分に発揮し、ファンも「えっ?」というタイミングの超速クイックを次々に突き刺し、またコミット気味(違ってたらゴメンナサイ)のドンピシャブロックで、千葉攻撃陣に手痛い反撃を食らわせたのも大きかった。そんな変幻自在の攻撃をまとめたのは、セッター投野ひかる選手。昨シーズンに比べ、明らかに安定したトス回しと、アタッカー陣との強固な信頼関係で、アランマーレの攻撃を地道に・愚直に作っていた。そして何よりサーブで攻めまくっていた。ベテランセッター田村選手の陰に隠れがちだったこの可憐なセッターが、ついに表舞台に躍り出た・・・そんな印象を強く抱いた試合でもあった。

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2セット連取の後の第3セット。自らのミスをきっかけに連続失点を喫し、その点差を跳ね返せないままセットを失う。嫌な流れが会場を包み始めた第4セット。やはり競った展開。ブレイクしてもなかなか離せない。一瞬よぎった「フルセット」という言葉を払しょくしたのは、酒田に舞い降りた一人の天使だった。千葉のエースアタッカーがこじ開けようと狙うアランマーレのライトサイド。そこに突如出現したのはアランマーレ名物「ライトの巨壁」。改めて言うまでもないだろう。177㎝、チームナンバーワンの長身を誇る「ハイ・エンジェル」宮本菜月選手である。宮本選手は元ミドルブロッカー。身長180㎝に迫る長身で、ブロックセンスも抜群な選手がである。センターに菅原・伊藤・柳沢という超強力なブロッカーがいるにもかかわらずである。それを超える高さの壁がサイドにあるのである。そんなの反則だと私なら思う(笑)以前宮本選手にインタビューした際には「ブロックの高さのギャップを狙われることもある」と警戒していたが、試合終盤・・・両チームともヒートアップした状態では、サイドの方が高いなんて非常識は頭から吹っ飛んでも不思議ではない。実際、彼女は止めた。止めまくった。そして高さを生かして空に舞い、長い右手を振って無慈悲な鉄槌を下し、見事にアランマーレに勝利をもたらしたのである。試合後のインタビュー。「破壊天使」のような激しいプレーとは反対の、優しい女の子らしい表情が印象的だと感じたファンも多いのではないだろうか。「王子萌え」・・・アリだと思います(笑)

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〔DAY2 フォレストリーヴス熊本戦〕開けて15日(日)前日の大勝利に雰囲気最高潮の国体記念体育館。迎えるは今季参入の熊本。前の試合を見たが、粗削りながらレシーブ力が高く、元V1アクア所属の白岩選手をはじめ、各所にパンチ力のある選手をそろえた好チームと映った。最初に言うが、そして批判を恐れずに言うが、この日の試合は展開的には褒められたものではないと思う。格のようなものがあるとすれば、そして一般的にチーム力を考えれば明らかにアランマーレの方が上。そんな相手に対しアランマーレは「受けて」入ってしまった。序盤・・・明らかに選手の動きがおかしい。表情が固い。そして劣勢に立った時に声が出ない。対照的に熊本の元気なこと。どっちがホームチームかわからないくらい、気合で圧倒されていた。必然的に落とした第1セット。これ以上ないくらいに嫌な雰囲気が会場を満たしていた。ここで気を吐いたのが、爆弾エース・榎本里歩。この選手、寡黙ながらプレーでどこまでも引っ張っていくタイプと見た。実際榎本はアランマーレをここからいつものペースまで引っ張り上げてみせてくれた。圧巻は第2セット序盤のジャンピングサーブによる連続得点。今期の北原アランマーレが標榜する「爆発力」を体現するかのように、何度もエンドラインから舞い上がっては、熊本のコート内に重爆撃を繰り返した。

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正直、これがなかったらと思うと背筋が凍る思い。まずアランマーレはここで1回榎本に救われ、1セットを取り返した。続くセット、普通ならばアランマーレの流れである。自分たちの勢い、そして戦い方を思い出したのだから、あとは走るだけのはずなのだが、時折出るミスと、相手チームの粘り強い守備に苦しめられ、どうしても点差を広げることができない。それどころか逆転されることも。そんな苦しいときに決めたのが、木村友里選手。正直、榎本や小泉のような破壊力、そして菅原のようなプレーの派手さは木村には無い。しかし、この選手は間違いなくアランマーレの攻守の要。トータルディフェンスの最重要ピースである。木村はその事実をまざまざと見せつけてくれた。レセプションで長い足を限界まで折りたたんでボールを処理し、今度はサイドに開いて高く舞い上がってフェイントを織り交ぜ硬軟自在の攻撃。相手の攻撃の際には献身的にブロックに飛び、ラリーの最後にしぶとくスパイクを相手コートに突き刺す。終わってみればこの日両チーム最多の19得点で、決定率は実に51.4%。この数字以上に、木村友里のすごさは「決めた場面の厳しさ」に表れていたのではないだろうか。胃がしめつけられるような空気の中、最後に上がるオープントス。その放物線の終着点にことごとく舞っていたのは、木村だった。

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もちろん活躍したのは榎本と木村だけではない。押される流れながらも、スタメンはもちろん、交代で出てくる選手がことごとく活躍する、活躍できる準備をしているのが今のアランマーレ。加えてベンチの雰囲気も最高で、厳しいときに最高の声援をコート内で戦う仲間へ送り続けている。最後にチーム一丸になったからこそ、勝てた熊本戦。敢えて言うが「薄氷の勝利」だったと思う。

声が出せないことがこんなにもどかしいと感じたことはこれまでなかった。私はカメラマン。本来は声など出さず、シャッターを押し続けているべきなのかもしれない。でも私は試合中、何度もガッツポーズをしたし、決めてほしい選手の名前を叫んできた。そうしないととてもじゃないが見ていられないから(笑)今回のホームゲーム、そう思ったファンの方は多いのではないだろうか。そして、選手たちもいつもの年に比べれば、ホーム感は薄かったかもしれない。でも、やはりホームはホーム。ファンにとっては、愛するアランマーレが自分たちのまちで戦って、勝利してくれることのうれしさ、そして一緒に戦っているという一体感を再び共有することができたと思う。

アランマーレは帰ってきた。

とっくに帰ってきているだろうって?むしろ最初から酒田にいるだろうって?確かにそうだけれど・・・私たち酒田のファンにとって、国体記念体育館で「地元山形・酒田を元気に」と戦うアランマーレの姿を見る機会は、やはり何物にも代えがたい喜びなのである。

お帰りアランマーレ。オレたちのホームゲームに。12月の天童も、1月の鶴岡も、2月の酒田も全部勝とうぜ。どんな強敵でも厳しい状況でも大丈夫さ・・・オレたちがついてる!

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