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アランマーレ熱烈応援ブログ「編集長のひとりごと side アランチャ vol.17」

【Shipmateー航海の仲間ー】

本当にいろんなことがあった開幕2連戦を終えていま、自宅で写真と向かい合い、キーボードを叩きながら、この2日間を思い出していると、一つのキーワードが浮かんでくる。

今、私の脳裏に浮かぶ言葉、それは「仲間」である。

開幕である。V2リーグ女子が開幕する。昨年に続き、開幕戦イコール酒田でのホームゲーム。国体記念体育館で千葉、仙台との2連戦が行われる。今期の北原アランマーレが掲げるキーワードは「超超攻撃型」。素人だからよくわからないが、レフトとセンターなどの前衛に加えてバックアタックまでが、同時とは言わないまでも似たような早いテンポで攻撃態勢に入るんだそうだ。TUYさんの直前特集、その名も「フカボリ」で取り上げてくれていたのを見て「すげーな・・・」と思っていたくらいで(笑)そんな攻撃型のアランマーレに大きな希望を抱き、自分は今年もチーム広報としてフロアに入らせてもらった。

【DAY1 10/29 vs 千葉エンゼルクロス】

くしくも昨年とまったく同じ組み合わせの両日となった開幕戦。観客席を見上げれば、土曜日にしては結構な客入り。withコロナの情勢下、収容人数イコール定員となり、昨年までの「ソーシャル君」はその役目を終えたようだ(東北電力さん本当にありがとうございました)。でも相変わらず声出し応援は禁止。今年はハリセンを叩いての「クラップ」が我々ファンの主な武器となるわけだ。滑り出すように、試合は始まった。

そして航海の進む先に暗雲が立ち込め始めたのは、ほぼ同時だった。

スタメンセッターの石盛が最初のアタッカーとして選択したのは、エース・メソマチ。当然だろう。アランマーレの攻撃を象徴する「最強の矛」はメソマチ。この事実は揺るぎないのだから。しかし、トスが合わない。1本目、そして2本目と、メソマチの右手はボールを変形させることなく、ソフトタッチでボールに触れた。ここで「ドカーン!」と決まっていれば、この日の展開はもっと楽だったのではないだろうか。ほころびは他のアタッカーにも伝播し始める。木村、菅原、そして宮本。とにかく千葉のブロックにワンタッチを取られて、それをディガーがしぶとく拾い上げる。これはアランマーレが得意とするトータルディフェンス。相手にお株を奪われあっという間に1セットを落としてしまう。
攻撃が決まらなくなると、どうしても単調になりがち。あれだけテレビで深掘りしてくれていたシンクロ攻撃は見ることができず、速攻も極端に少ない。それでも2セット目を取り返し、試合は五分のまま、長期戦の様相を呈する。

我慢のトスワークを続ける石盛

再び押し込まれて3セット目を失い、後がなくなったアランマーレ。セット前の円陣で、監督が厳しい表情でチームに指示を与える。
ここで木村に代わって出てきたのは、新人の有村涼美。昨年、内定時点で安定感のあるプレーを見せていたが、この日有村は別格の落ち着き様と、冷静かつ冷酷、強力無比な攻撃力を発揮した。

初登場でチームの危機を救った有村

とにかく、落ち着いていた。この日のアランマーレ、とにかくブロックアウトが少なかった。攻撃力は確かに段違いにアップしたのかもしれない。しかし、アランマーレの攻撃の良さのひとつに「相手の力を利用して得点を陥れる」があったのではなかったか。ブロックアウトはその最たるもののひとつだったと自分は思う。有村がすべてブロックアウトを狙っていたわけではない。しかし時にブロックアウト、次のプレーではそれを恐れたブロッカーの手が逃げたのを見て強烈に角度のあるスパイクを叩き込む。有村の攻撃には明確な狙いと「変化」が感じられた。
有村の活躍に加え、厳しいことこの上ない場面で光ったのは、MB伊藤摩耶の安定感とパワー。そして何より「狙いのはっきり感じられるプレー」だった。ミドルなのに、フツーにサイドから打つ。次は中に切れ込んで打つ。混乱する相手をよそに、次は強烈なクイック。「強打者」と言われたパワーと、正確無比なサーブで千葉の急所をえぐりまくっては、流れを何度も引き戻し、ほとんど有村と2人で4セット目を奪い返して、フルセットへ。
ファイナルセットももつれにもつれる展開。一時追い詰められるも、またも状況を打開したのはリザーブの選手。

「鋼のメンタル」の面目躍如。サービスエースを決めた草島

まずは草島華穂。投入されるや否や、狙いすましたサーブは地面に引っ張られているかのように落ちながらブレて、相手の手をはじいてサービスエース。ここでアランマーレは一度救われる。しかしまたももつれて、デュースに。ここで出てきたのが「スーパーサブ」という言葉も霞む「求められた結果を必ず出す選手」。天才・柳沢紫子その人だった。

もう、この人の活躍を形容する言葉は見当たらない。あるとすれば感謝と感動だけだ。

できるなら写真を拡大して見てほしい。柳沢のボールを見るまなざしを。その目に宿った光を。外せば負けるという場面で、この輝き、そして結果は必ずついてくる。酒田のバレーボールキッズたちには、柳沢選手のこのメンタル、試合に対する気持ちを切らさないところこそ、学んでほしいと改めて思った。試合を決めたのは、柳沢のブロック。もう、説明不要。彼女の背中にはこの日、羽が生えていた。

辛くも勝利を拾ったアランマーレ。しかし、このままでは明日の仙台戦はもちろん、長く続くシーズンを戦うことはできないのでは・・・と一縷の不安がよぎった。

【DAY2 10/30 vs リガーレ仙台】

明けて日曜。スポ少は休みの日だ。したがって、2階席には市内のバレーボールスポ少の子どもたちも応援に駆け付け、アランマーレ応援団はその厚みを増す。前日の試合、劣勢に立たされることが多かったアランマーレだが、そのたびに会場のどこからともなく巻き起こった「クラップ(拍手)」が、彼女たちを鼓舞していた。この日は前日よりさらに力強い応援団を得て、アランマーレは、サマーリーグ以来の「東北ダービー」に臨む。

前日に続き、突出していたのは伊藤摩耶の存在感。とにかく、決めてほしいところでズバっと切ってくれる。あのクイックの切れ味は、石盛も大いに頼りにしているようで、押し込まれそうになると決まって伊藤のクイックが火を噴いていた。

強く、早く、切れ味抜群。2日間の安定度もチームトップクラスの伊藤

言い方は悪いが、初日から復活したのは、メソマチ。ライトから何度も角度のあるスパイクを叩きつけ、仙台の出鼻をくじいていた。ただ、やはり少し安定感に欠ける感じも。彼女の成長はアランマーレの戦力アップに直結するはず。今後、あの豪快なスパイクがリーグを席巻することを祈ろう。

高い!最強の矛はやはりメソマチ

そしてもう一人。主将として常に安定と活躍を求められる木村もまた、前日の有村との交代のくやしさ(彼女はそう思っているとは限らないが)を糧に、この日は安定かつ決めなければいけない場面で、高い決定力を発揮。またブロックでも3ブロックと気を吐いた。

中盤のストレートスパイクの切れ味はため息レベル。変幻時自在の攻撃は健在だった

そして、この日のヒロインを挙げるとすれば、満場一致ではないだろうか。チームトップの22得点。サイドもバックアタックも強打もフェイントもブロックアウトもサーブもレセプションもディグも・・・ブロックまで。

前田美紅のバレーセンスと爆発力に、国体記念体育館は完全に魅了された。

まさに「なんでも持ってこい」状態。石盛も困ったらミク!って感じでレフトにバックセンターにトスを供給する。それをことごとく仙台のコートにねじ込んだ前田は、聖地に舞う戦乙女のように、アランマーレのストレート勝利を力強く手繰り寄せ、現実のものとした。

声は出しちゃダメなんだけど「ミク~」と叫んだ諸氏も少なくはないと思われる。それくらい彼女の活躍はズバ抜けていた。

試合後、前田と言葉を交わした。「すごい活躍でしたね。みんな…本当に会う人全員がミクさんをほめていましたよ」と言っても「イヤイヤ…」とあくまで謙虚。「一体何点取ったんです?」と聞いたら「わかりません!(笑)」と。そりゃそうだ(笑)

試合後のインタビュー、木村、伊藤の大学先輩後輩コンビが応援してくれたファンに感謝を述べる。
感謝。そう。この2日間、楽な瞬間は決してなかった。

選手たちは口をそろえる。それでも勝てたのは、ホームだから。ファンの応援が、あのクラップがあったから。
追い込まれた千葉戦、硬さはあっただろう。でも磨いてきた攻撃力に過信はなかったのだろうか。それが通用しなくて「あれ、おかしい」と思ったときに、コートのメンバーは明らかに静かになってしまっていた。いつもの元気がなかった。それを打開したのは、監督はじめスタッフの冷静な判断と的確な指示、そして交代策。そして投入される仲間たちが次々に役割を果たし切って、危機を救ってくれた。
それでも押し込んでくる千葉。敗北まであと一歩まで追い込まれた時に、背中を押したあの拍手。見上げれば熱いまなざしで勝利を後押しする力強いファンが目に映ったはず。
今回のホームゲーム、自分で作って会場に貼ったポスターに書いた言葉がある。

「国体記念体育館に駆け付けてくれたあなたは、ただのファンではない。Shipmate、つまり航海の仲間なのだ」

ちょっとカッコつけて書いたつもりだったが。明らかに今回、アランマーレは勝たせてもらった。相手の恩情でもミスでもなく、仲間の後押しに。

これから続く長い航海、つらいことも多いと思う。ダメだと思う瞬間もあるかもしれない。そんなとき、思い出してほしい。アランマーレは16人だけじゃないことを。酒田に、全国に仲間はいて、みんなのことを思い、応援しているということを。

今、船は走り出した。オレンジの帆に風を受け、青き海原へと。
羅針盤が指し示す島の名は「V2優勝」そして「V1昇格」。

大丈夫さ、絶対たどり着ける。君たちにはオレたち仲間がついている。

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