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【22/6/18】日日是好日【犬王・腕塚】

犬王‥‥最高でした。
こんな素晴らしい作品を生み出してくれてありがとうございました。

犬王公式 main

「一の谷の合戦で片腕を失ったといえば、武将では平忠度(ただのり)である。薩摩の守として知られる忠度は、その右腕を肘の上からぷっつりと斬り落とされた。」

平家物語 犬王の巻

この話を犬王が歌った「腕塚」がまた良いです。

時は寿永三年 一ノ谷源氏と平家の合戦
平家 忠度 右腕を肘の上からプツリと落とされ
首も取られた!いやちがう いやその目で この柿の木を見よまだ実はないこの木は だがいつか必ず実を付ける誰が船で逃げただと!? それより平家の軍兵よいずこ? いずこ

犬王 腕塚

忠度は、源氏方の岡部六弥太忠澄に右腕と首を切られて死絶してしまう。
忠度の部下は、寄せ集めの部下100騎ほど。
戦闘が得意でもなく、忠誠心も強くなかったのだろう、
みんな我先と逃げていく‥‥
しかし、そうじゃない、私は逃げていないと訴えかける魂があった。
それが今回の腕塚を語っている主となる。


逃げる船へと群がった 一千もの軍兵 沈むぞ!
すがりつく腕を斬り離せば 無惨
悪あがきもむなしく 沈む船は泡を掴む
数多の腕を斬り落とす 身分だけが正しさ
しがみつくな!離すな! 雑兵たちは腕だけ
ぶらさがり残るは腕 腕だけ!

犬王 腕塚

敗北した軍は、海へ逃げようと船にしがみつくものが多くあらわれる。
その数およそ1千騎‥‥
「沈むぞ」
ドンドン沈んでいく船をみて「位の高いもの以外は乗せない」ようにする。そのため、船にしがみつく腕を切り落とすが悪あがき空しく、船はどんどん沈んでいく‥‥
「腕」は身分の低い者たちが生きた姿。

まさか薩摩守その護衛が 皆逃亡したとはまさかな!
急げ!まさか忠度様の元へ しかし間に合わず目にしたものは
首も胴もなく 右腕だけ残された
渚に打ち上げられた大量の腕と無念をただ
お命救えず口惜しく 拾い集めては弔った
この腕がする罪滅ぼし 安らかになんて言えない!
木端武者一千の腕 薩摩守の腕と共に!

腕を埋めて腕塚 奉れや!いざいざ

茂る枝の先には千もの腕を実らせ
あぁここは腕塚 さぁはじまりだ!

犬王 腕塚

まさか忠度を残して逃げるわけがない!忠度のもとへ急ぐも間に合わず、
首も胴もないただ、「右腕」だけがその場に残されていた。
忠度の右腕、大量に死んだ仲間の「腕」その数一千。
恨めしい恨めしい、と腕を拾い集め、
いまだいくぞ!!と言わんばかりの亡霊が語る話。

ただの腕塚ではない、未だ平家の熱い魂は消えてない!!
闘いは終わってないと言わんばかりの能の舞だ。

忠度は、武芸や歌道にもたけていたようで、惜しい大将軍を失ったと、敵味方にも悲しまれたそうだ。
歴史を知るのは面白い。

この映画の本質でもあるが、「消えた過去」
消された(かもしれない)過去だからこそ、創造できる。
人間の可能性を感じた!!!

松本大洋のキャラクター原案

兎に角、余韻がすごい‥‥
映画を見たというよりも「1つの芸術」をみたが正しい。


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