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JATEC

2019年以来のJATECが浜松医科大学で開催された。
コロナ禍で開催ができずにいた、
医療者の勉強会が再開されだし、
他施設、多職種の集まりの場が復活している。
私は救命士としては変わらないが、
会社員としての初参加である。

【本記事の目的】
医療に従事しない人たちに、
救急医療従事者がどのように自己研鑽して、
命を救うための行動をしているか知ってもらう。




JATECとは

HPをみると以下のように記載がある。

JTCR(日本外傷診療研究機構)では、「外傷初期診療ガイドライン」で示した標準的な外傷診療をすべての医師が実践できることを目標に「JATECコース」を開催しています。JATECコースは、外傷診療に必要な知識と救急処置を、e-Learning、ウエブ講義、スキル指導および模擬診療を介して学習いただくトレーニングコースです。

JATECホームページより
HP


受講生は医師で、インストラクター(指導者)も医師である。
今年は運営、受講生含め約100人ほどが、
土日の2日間を使って医療技術取得を目指して
コースに参加した。(事前にWEBで座学実施)
なお、コロナ禍前は約2倍の人数での開催だった。


カリキュラム

医療技術の習得のため、
どんな内容なのかを
簡単な言葉や用語で記載する。

外傷初期診療

医療はチームで行うことで、
命を救うことができる。
医療行為で医師が行う処置は
とても重要である。
ただし、処置の技術がどんなに優れていても、

  • 正しい順番

  • 正しい観察

  • 正しい評価


これらができないと処置の効果は
半減してしまう。
そこで、事前に決められた診療を、
抜けなく順序だてて行うために
プロトコールを学ぶ。
以下、まずは重症な状態への
緊急処置4つを紹介するが、
コースではそれぞれ訓練人形を使って
実技練習をする。

レールダルの訓練人形

胸腔ドレナージ

外傷において超緊急(命に危険)な病態が、
緊張性気胸。
簡単に解説すると、
肺の空気が胸の中(胸腔)に漏れてしまい、
呼吸ができないなどの状態になる。
そこで、医師が行える処置で、
胸腔ドレナージ がある。
これも簡単に解説すると、
胸の中の漏れた空気を、
身体の外にだす処置である。

看護ROOより

心嚢穿刺

こちらも致死的な状態からの脱却のため、
心臓の周りにある心嚢というところから
血を抜くための処置である。
心タンポナーデという状態になると、
心臓が自力で動けなくなってしまう。
そこで、胸から針を刺し、血を抜く。


看護ROOより

外科的気道確保

顔に怪我をすると、
呼吸ができなくなることがある。
例えば、
顎を骨折したり、口の中に血がたまってしまい
息ができなくなる。
この時、緊急的に喉の一部を切ったり、針を刺すことで
空気の通り道を作る。
輪状甲状靭帯切開

骨髄内輸液

通常、救急で受診すると輸液を開始する。
血管に針を入れることが多いが、
重症な患者さんの場合は、
血管に針を入れるのに時間がかかったり、
難しかったりする。
そこで、骨に専用の針を刺し、
骨髄に輸液をする。
この方法は、血管で輸液をすることに比べ、
早く確実に輸液路を確保することができる。

足の骨に刺した場合


Primary Survey / Secondary Survey

Primary - 主要な Survey - 調査 Secondary - 第二
直訳すると以上のような感じ。
交通事故などで怪我をした患者さんを、
救急車が病院到着後、
医師が対応する。

赤から青に患者さんが搬送されたところのことを示す

救急車の隊員が病院に情報を伝え、
受け入れる病院では、患者の状態に応じた体制を整える。
患者が病院に到着したら、
医師による診察がすぐに開始される。
その診察の手順を表したのが、
Primary Survey 
Secondary Survey
である。
中身を説明すると、どうしても医療用語が
必要になってしまうので省略するが、
血圧を測ったり、
レントゲンを撮ったりする。
その診察の中で、
命を助けるのに必要な処置を実施するが、
前の章に記載した、
胸腔ドレナージなどの緊急的な処置を
適切なタイミングで実施する。


まとめ

なぜ、救急救命士の私が、医師が受講するコースに
参加するのか記録する。
救急医療は、多くの人が関わっている。
医師、看護師、臨床検査技師/放射線技師、救急救命士
直接処置に関わらなくても、医療事務やさまざまな人も関わり、
患者さんを助けようと連携することで、
命を救うことができる。
救急医療においてチーム医療は必須であり、
チームのメンバーが
どんなことをして、(処置)
どんなことを考えて、(判断)
どんな苦労があるのかを
本質的に理解するには、
相手の立場になる必要がある。
そのためには、
同じ時間を過ごし(研修や飲食)、
コストをお互いがかけることで、
理解が自然とすすむのだと私は考える。


この本を読むと、チームの大切さがわかります。
「チームのことだけ、考えた。」



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